これまでこの構造解析編では、静的構造解析や固有値解析のモデルを利用してAnsys Discoveryの機能をご紹介してきましたが、Ansys Discoveryには他に「伝熱解析」というモードもあります。
今回は、その「伝熱解析」についてご紹介します。
Discoveryの伝熱解析では、固体の熱の移動を解くことができます。発熱や熱伝達境界などの境界条件を与えることで、温度分布や熱移動の様子をご覧いただくことができます。
今回用意した事例は、ICチップをヒートシンクによって冷却するモデルです。
モデルデータはDiscoveryを起動した際に選択できる「サンプル」から「HEAT_SINK_THERMAL.DSCO」を使用しました。
では早速見てみましょう。
このモデルでは定常状態の伝熱解析を行います。
ヒートシンクはアルミ製で、ICチップに接着されています。また、ICチップはモールド樹脂の物性を与えています。
チップの熱量は10Wとし、モデル表面全体に放熱条件として熱伝達境界(10W/m2℃,22℃)を設定しています。
解析してみると・・・
伝熱解析では、温度と熱流束の結果を見ることができます。
ICチップからヒートシンクに熱が伝わっている様子が確認でき、ICチップの温度も確認できました。
右下のメニューで表示をコンター からベクトル に切り替えることができます。
解析の様子がこちらです
伝熱解析で設定できる境界条件の種類は、温度・熱伝達(対流)・熱流束・発熱(吸熱)・断熱などです。複雑なオプション設定もないため手間がかからず、容易にセットアップできます。
解析時間も静的構造解析と同様に短時間で解析できるため、待つ時間が少ないのも嬉しいポイントです。
後編では、このサンプルモデルを利用して作成した基板モデルを用いて、モデルや解析条件の変更方法をご紹介します。
※使用したモデルのダウンロードはこちらから
・IT-EXchange Ansys Discovery特設サイトは次のリンクから
・Ansys Discoveryを使って効率化を実現した3つ事例をご紹介
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著者紹介
SB C&S株式会社
C&S Engineer Voice運営事務局
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