こんにちは、SB C&S ストレージ製品担当エンジニアの中田です。
FlashBlade、みなさまご存知でしょうか?
Pure Storageが2017年から販売している、ファイル/オブジェクトベースのオールフラッシュストレージです。
2022年、このFlashBladeに新モデル「FlashBlade//S」が登場しました。また、今月(2023年3月)にはその派生製品として「FlashBlade//E」が発表されるなど、いま非常にホットな製品となっています。
今回はこれらのFlashBladeシリーズについて、みなさまに解説させていただきます!
FlashBladeシリーズってどんな製品なの?
FlashBladeシリーズは、"Blade"の名前の通りブレードサーバーならぬ「ブレードストレージ」です。各ブレード上にはCPU、メモリ、NVRAM、ストレージ等が搭載され、Purity//FBというストレージOSが各ブレード上で分散して動作しています。
もちろん、これらのブレードがバラバラに動くだけではストレージとして動作しないので、スイッチとして動作するミッドプレーン、および背面側に接続されている「ファブリックI/Oモジュール(FIOM)」と呼ばれるコンポーネントによって、複数のブレードがまとめあげられ、一つのストレージとして動作しています。
この「ブレード」「ミッドプレーン」「FIOM」の3つによるFlashBladeシャーシの構成は、モデルに依らずシリーズで共通の構造となっています。
図1 FlashBladeの基本構造
FlashBladeシリーズってモデル間でどう違うの?
冒頭お話したとおり、FlashBladeシリーズは現在「FlashBlade」「FlashBlade//S」「FlashBlade//E」という3つのモデルが展開されています。
FlashBladeシリーズは「ブレード型」であることの特長として、ブレードの追加によるスケールアウトが非常に得意な製品です。ですがその一方で、初代「FlashBlade」は容量部分とコンピュート部分が一体化していたため「容量が足りない」「性能が足りない」といった際、足りない部分だけを補うことを苦手としていました。
また同様の理由から、Pure Storage製品の保守「Evergreen Storage Program」における「Ever Modern」(コンピュート部分を数年ごとに最新のものに交換できるプログラム)が適用できない製品でした。
図2 初代FlashBladeのブレード
これらの弱点を克服したストレージが「FlashBlade//S」です。
FlashBlade//Sでは、ブレード上のコンピュート部分と容量部分が分離しています。またコンピュート部分と容量部分でそれぞれ2種類(S200とS500 / 24TBと48TB)の製品が販売されており、これらの組み合わせによって、よりユーザーニーズに合わせた構成が可能となりました。
またコンポーネントの分離によって個別の交換が可能となったため「Ever Modern」が適用可能となりました。
図3 FlashBlade//Sのブレード
上記FlashBlade//Sから派生し、より容量効率を重視したモデルとして誕生したのが「FlashBlade//E」です。
FlashBlade//Eは、FlashBlade//Sのシャーシに対し、ストレージ容量のみを提供する拡張シャーシを追加したモデルです。
図4 FlashBlade//Eのシャーシ構成
ちなみにFlashBladeに限らずですが、Pure Storage製品は独自設計のフラッシュデバイス「DirectFlash Module(DFM)」を搭載しています。このDFMは独自設計であるがゆえ、ストレージOS「Purity」に最適化された、無駄のない構造となっています。
これにより、DFM1本あたり48TB、シャーシサイズである5Uあたり、最大で2PB弱という、圧倒的な容量効率を誇ります。
なお、初代「FlashBlade」は2023年5月での終息が発表されています。そのため、今後はパフォーマンス重視のFlashBlade//Sおよび容量重視のFlashBlade//Eの2モデルでの展開となります。
FlashBladeの利用用途って?
FlashBladeはモデルに依らず「Purity//FB」と呼ばれる共通のストレージOSが入っているため、どのモデルも「ファイル/オブジェクト」が話せることは共通です。
しかし、パフォーマンス重視のFlashBlade//Sと容量重視のFlashBlade//Eでは、その利用用途も異なってきます。
パフォーマンス重視のFlashBlade//Sは、そのパフォーマンスの高さを活かすため、初代FlashBladeと同じくAI/DL等、非構造化データの処理・分析といった分野での活躍が期待できます。
一方で、FlashBlade//Eは容量重視モデルである一方、最小構成が利用可能容量で2.6PB〜と非常に大容量であるため、用途としては映像データ等のリポジトリといった、非構造化データかつ大容量を必要とする分野での活躍が期待できるのではないでしょうか。
最新の事例はこちらにまとめられていますので、気になる方はぜひご覧ください。
いずれのモデルにせよ「容量と性能のバランス」という観点で見た時、FlashBladeがカバーできるレンジは、従来と比べ大きく広がったことは確かです。
図5 容量とパフォーマンス観点でのカバーレンジ
強化された容量密度を活かしたHDDからの置き換え案件や、オーバースペックであると採用を見送っていた案件など、従来のFlashBladeであれば検討から外れていた環境であっても、新しくなったFlashBladeシリーズの製品ラインナップであればもしかしたらニーズに応えられるかもしれません。ぜひご検討のほどよろしくお願いいたします。
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著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 2課
中田 浩嗣 - Hirotsugu Nakata -
VMware担当を経て、現在ストレージ担当の中でもPure Storageを専任に担当するプリセールスエンジニア