今回はAnsys Discoveryを用いたトポロジー最適化についてご紹介します。
近年のものづくりは、コスト削減のために材料をより少なくする必要性、ユーザーが手を取りたくなるような斬新なデザインの要求等、新たな困難が増えています。それだけでなく、壊れないよう剛性等の基本的な性能を担保することは必要です。
人の手や頭だけでは簡単に乗り越えられない上記の要求を解決するのに役立つのがトポロジー最適化です。Ansys Discoveryにはトポロジー最適化機能も備えており、様々な目的のために最適化された形状を得ることができます。
今回はトポロジー最適化機能を用いて、下図のようなブラケットの軽量化に挑戦してみます!今回は材料体積を削減しながらも元のブラケットの剛性を可能な限り維持できる形状を求めたいと思います。
固定支持や力などの基本的な構造解析の設定を行った後、トポロジー最適化の設定を行います。『シミュレーション』タブ⇒『解析関連』⇒『トポロジー最適化』を選択します。
始めに「体積の削減率」より元のブラケット体積から減らす体積の割合を制約条件として設定します。
次に『トポロジー最適化』にて、「体積を減らすという制約条件」を踏まえて達成させる目的関数である『剛性の最大化』を選択します。
それでは解析を開始します。繰り返し構造解析が行われ、剛性に寄与しない余分な材料が削られていることが確認できます!最終的に得られた形状・変位分布は下図のようになりました。元の形状と比べてT字の箇所の材料が大きく削られていることが確認できます。元形状と比べて穴や曲面で構成されており、有機的でなかなか人のアイデアでは生まれないような形状に仕上がっています! 最後に元形状とトポロジー最適化によって得られた形状との応力・変形量を比較してみます。元ブラケット体積と比べて55%と半分以上の体積が削減されましたが、最大応力は48%・最大変位は58%増加しています。しかし絶対量として見ると非常に微小な変形量ですので、トポロジー最適化による体積の削減は非常に有用であると言えます。
トポロジー最適化では『構造解析⇒結果を見て目的に悪影響の少ない箇所を削除⇒構造解析⇒...』というサイクルを繰り返すため、計算時間がどうしても増えてしまいます。Ansys Discoveryでは最大の特徴である高速解析を生かしてサイクルを繰り返すため、すぐに最適化された形状を得ることができます。得られた形状をそのまま使ってみるのもよし、結果を元にデザインの練り直しを行うのもよし、ものづくりの大きな手助けになるはずです。
もし、Ansys Discoveryに少しでも興味をお持ちでしたらSBC&Sまでご連絡ください。
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SB C&S株式会社
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