こんにちは、本連載ではVMware ThinAppのアーキテクチャやどのように使われているかの事例などを複数の記事で紹介していきます。
連載記事リンクの後に、本記事のThinApp概要がございます。
1. アプリケーション仮想化ソリューション ThinApp 紹介（本記事）
2. アプリ仮想化の流れ
3. 仮想化アプリ作成方法
4. Sandboxについて
5. Isolation Modeについて
6. 関連用語とバージョンアップ方法
7. 組込スクリプトについて
8. ログの取得と解析について
9. Package.iniによる各種設定（後日公開）
10. 各種事例（後日公開）
1. VMware ThinAppとは
VMware ThinAppは、アプリケーションを仮想化するソリューションです。
アプリケーションを仮想化することにより、管理者は、アプリケーションの管理や展開、バージョンアップの作業工数削減や、アプリケーションのコンフリクト等の問題からの解放などのメリットを得ることができます。
一方、利用者であるエンドユーザーはアプリケーションをインストールすることなく、仮想化されたEXEファイルをダブルクリックするだけで直ぐにアプリケーションを利用できるというメリットを得ることができます。
アプリケーションの実行に必要なランタイム環境を事前にインストールする必要もありません。
VMware ThinAppでは多くのOSがサポートされています。Windows ターミナルサービス/リモートデスクトップサービス環境やVMware Horizon / RDSH ,Citrix XenApp環境上での実行やWindows Embeddedが搭載されたシンクライアント端末でも実行可能となっており、様々なシチュエーションで仮想化されたアプリケーションを実行することができます。また、導入に関しても、専用のサーバーやクライアントモジュールのインストールが不要なため、既にあるファイルサーバーを利用しクライアント側で仮想アプリケーションを実行するといったことが可能となっています。
2. OS仮想化との違い
一般的に知られているOSの仮想化と比べると、下図に表しているようにレイヤーが変わってきます。
3. 仮想アプリケーションの動作
仮想アプリケーションは既存のOSとは別に、ThinAppが持つ仮想OS上で動作するため、現環境を汚さずセキュアにアプリケーションを動作させることが可能です。
4. ThinAppの特徴
VMware ThinAppには、以下3点の大きな特徴があります。
• VMware ThinAppにより対象アプリケーションのセットアップをモニタリングし、アプリケーションを仮想化します。アプリケーションを仮想化することにより、クライアントPCにはアプリケーションのインストールが不要になる、アプリケーションのコンフリクトが発生しない、OS環境に変更が加わることが無い、というメリットが得られます。
• VMware ThinAppで仮想化したアプリケーションには、ThinApp仮想OS（VOS）及び必要なDLL、レジストリ、ファイルシステムが全て組み込まれています。これら全てが単一のEXEファイルにパッケージされているため、専用のサーバーやクライアントモジュールのインストールは必要なく、EXEファイルを配布するだけで容易に仮想アプリケーションを展開することができます。
• ビルド設定の変更や、VBScriptの組み込みにより、仮想アプリケーションに様々なカスタマイズを加えることができます。
5. ThinApp仮想OS（VOS）について
VMware ThinAppで仮想化したアプリケーションのEXEファイルには、仮想OS環境（VOS）と仮想レジストリ情報、仮想ファイルシステムが組み込まれています。仮想アプリケーションは、クライアントPCのホストOS環境と分離された仮想OS環境の上で動作します。
仮想レジストリと仮想ファイルシステムに加わった変更は、Sandboxと呼ばれる特別なフォルダに格納されます。Sandboxを削除すれば、仮想アプリケーションの状態を容易に初期化することができます。
また、VOSとホストOSが分離されているため、ホストOS環境に変更を加えることなく仮想アプリケーションを実行することができます。VOSとホストOSとの分離レベルは、IsolationMode設定で変更することができます。
