こんにちは、SB C&Sの片山です。
昨今、仮想化基盤におけるハイパーバイザーの再選定や見直しを行う中で、Nutanixに興味を持たれるお客様が増えています。
前回の記事では最近Nutanixを知った、またはこれからNutanixを知りたいという方に対して、Nutanixライセンスの基本と買い方、そしてエディションや課金単位についてご紹介しました。
後編となる今回の記事では、エントリー向けエディションであるNCI Starterライセンスでどんなことができるのか、またどのような要件がある場合に上位エディションのライセンスが必要なのかご紹介します。
NCIライセンスのエディションについて
まず、前回のおさらいになりますが改めてライセンスのエディションについて確認します。
Nutanixを仮想基盤として利用するうえで、基本的に必須となるのがNCIライセンスです。このNCIライセンスにはStarter、Pro、Ultimateの3種類のエディションがあり、Starter < Pro < Ultimateの順に利用できる機能も多く、価格も高くなります。
各エディションで何の機能が利用できるかは、こちらのメーカーサイトに詳しく記載されています。
ただ、上記のサイトを見ても言葉だけではイメージがしづらい場合もあるかと思いますので、次章でNCIライセンスのStarterエディションで実現可能な環境の一例をご紹介いたします。
NCI Starterで実現できる仮想環境のご紹介
上記の前提の上で、NCIライセンスのStarterエディション(以降、NCI Starterと記載)でどのようなことができるのか、具体例をあげて紹介させていただきます。
例えば、メインサイトの5ノードクラスターと、DRサイトのDR用クラスター(SNRT)にNCI Starterを適用することで以下の図ような構成および機能を実現することが可能です。(画像をクリックすると大きいサイズでご覧いただけます)
※SNRT...Single Node Replication Targetの略。通常Nutanixは1クラスターあたり3ノード以上必要ですが、バックアップ用クラスターとして利用する場合1ノードのみで稼働することができます。
メインクラスターでは1ノード障害に対応することが可能です。その際に、障害が発生したノードで稼働していたVMは別のノードで自動的に再起動するHA機能を利用することができます。
また、リソースの負荷分散を行う機能や、アフィニティールールに関してもStarterエディションから利用することが可能です。
そして、Nutanixにはストレージリソースを切り出してiSCSIストレージとしてマウントすることができる「Nutanix Volumes Storage」という機能があるのですが、同じNutanixクラスター上のVMに対するiSCSIストレージの提供はStarterエディションから利用できますので、複数のVMの共有ディスクとしても使えます。
そして、Nutanixにはスナップショット機能もネイティブで搭載されており、さらに他のNutanixクラスターへスナップショットをレプリケーションすることも可能です。
Starterエディションでは、1ノードのバックアップ用クラスターであるSNRTにレプリケーションを行う場合はRPO最小6時間、3ノード以上のNutanixクラスターにレプリケーションする場合はRPO最小1時間の非同期レプリケーションが利用可能です。
このように、NutanixではStarterエディションでもHAや自動ロードバランシング機能が利用でき、さらにDR用クラスターも作成することでスナップショットのレプリケーション機能によるDR対策も行うことができます。
NCI Starterでは非対応!よく使われる上位ライセンス機能
続いて、NCI Starterでは利用できない機能についてもご紹介させていただきます。
NCIライセンスのProエディション以上が必要となる機能・構成でよく使われるものを以下の図にまとめました。(画像をクリックすると大きいサイズでご覧いただけます)
まず、1クラスターあたり13ノード以上の場合、Starterエディションは利用できなくなります。また、2ノード障害に対応する場合もNCI Pro以上が必要です。
そしてHAに関して、NCI Starterで使えるHA機能はあくまでベストエフォートのため、再起動用のリソースが無かった場合は再起動されません。確実にHAできるよう、HA用のリソースをあらかじめ予約(確保)しておく機能を使いたい場合はNCI Pro以上が必要です。
また、iSCSIストレージの提供についても、クラスター外にマウントする場合はNCI Pro以上、またはNCI Starterに追加のNUSライセンスが必要になります。
他にも、特定の仮想マシンのディスクをSSDに固定する機能や、ユーザー自身でスナップショットからリストアを行う機能なども上位エディション用の機能となります。
最後に、NCI Starterで可能な構成として図示した、クラスター同士が1対1になるようなレプリケーションではなく、1:多または多対多、多対1となるようなレプリケーションに関してはマルチサイトDRの対象となるためNCI Pro以上が必要になります。また、RPO15分以下のレプリケーションが行いたい場合もProエディション以上の対象となります。
おわりに
以上がNCIライセンスのStarterエディションでできること、できないことに関するご紹介でした。
また、上記はあくまでも各エディションで利用できる機能の一例であり、詳細および最新情報に関してはメーカサイトをご確認ください。
NCI Starterでも仮想環境の運用における基本的な機能やレプリケーション機能が利用できますので、ぜひNutanixを検討する上でご参考いただければ幸いです。
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著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第3技術部 2課
片山 佑香