今話題のAzure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop)が大型アップデート!
皆さまこんにちは。SB C&Sの井上です。
以前、全3回でお送りしました、AVD(旧WVD)の記事を大変ご好評いただきありがとうございます!
先日、AVD(旧WVD)の構築と管理がさらに簡単になる大型アップデートがプレビューで公開されました。
働き方改革やテレワークが推進されている今、仮想デスクトップ環境の構築がさらに簡単になるこのアップデートは非常にうれしいですよね。
そこで今回は新しくなったAVD(旧WVD)について、以前までのAVD(旧WVD)と比べてどこが進化したのかをご紹介していきます!
1.AVD(旧WVD)の概要 (おさらい)
Azure Virtual Desktop (以下、AVD)とは、Microsoft純正の仮想デスクトップサービスです。
仮想デスクトップサービスの提供形態には、RDSのようなSBC方式やVMware HorizonのようなVDI方式がありますが、AVD(旧WVD)で提供される「Windows 10 マルチセッション」はこれらの方式のメリットを併せ持つ全く新しい提供形態です。
AVD(旧WVD)のWindows 10 マルチセッションを利用することで、SBC方式のメリットであるユーザー集約性の高さでコストを削減しつつ、VDI方式のメリットである高いアプリケーション互換性を実現することができます。
関連情報:Windows 365と何が違う?AVDとの違いを比較解説
これ以外にも、仮想デスクトップ環境を素早く構築できることや、FSLogixの機能によりユーザープロファイル管理が簡単になるといった様々なメリットがあります。
AVD(旧WVD)についての概要、価格、アーキテクチャなどの詳細は以下の記事をご参照ください。
2.AVD(旧WVD) v2(※)とは
※ 本ブログでは便宜上、今までのAVD(旧WVD)を「AVD(旧WVD) v1」、新しくなったAVD(旧WVD)を「AVD(旧WVD) v2」と表記します。
AVD(旧WVD) v2の一番の変更点は、ARMに統合されたことです。
従来のAVD(旧WVD) v1では環境構築にPowerShellでの操作が必須であったり、Azure ADテナントへのAVD(旧WVD)サービスの登録が事前に必要でしたが、今回のAVD(旧WVD) v2でARM統合されたことでこれらの操作が一切不要になり、Azure PortalからのGUI操作で環境構築を完結できるようになりました。
また、AVD(旧WVD) v1ではPowerShellでの操作か別途GUI管理ツールをデプロイして行う必要のあった「ユーザー追加」、「アプリグループへのアプリ追加」、「ホストプール管理」なども、AVD(旧WVD) v2では全てAzure PortalからGUIで操作できるようになりました。
これは非常に大きなアップデートで、構築/管理の際の管理者の負担を大幅に減少することができます。
では、実際にAVD(旧WVD) v2を構築していきます。
3.AVD(旧WVD) v2の構築
AVD(旧WVD)構築前に用意する環境
まず前提条件として、AVD(旧WVD) v1で必要であったドメインコントローラーやAzure ADはAVD(旧WVD) v2でも引き続き必要となります。
AVD(旧WVD)構築前に以下環境のいずれかをご用意ください。
- Azure AD + Azure AD Domain Services
- Azure AD + Active Directory Domain Controller + Azure AD Connect
図1:Azureの認証基盤
※ 詳細は過去ブログをご参照ください。
次に、AVD(旧WVD) v1で必要であった、「Azure ADテナントへのAVD(旧WVD)サービスの登録操作」ですが、こちらはAVD(旧WVD) v2がARMに統合されたことにより不要になりました。
Azureでは外部サービスやアプリケーションをAzure ADに登録する操作を行うためにはグローバル管理者の権限が必要ですが、今回のAVD(旧WVD) v2で登録操作が不要になったことにより、グローバル管理者権限がなくてもAVD(旧WVD)環境構築を一気通貫で行うことが可能になりました。
図2:AVD(旧WVD) v2で不要になった登録操作
また、AVD(旧WVD) v2ではホストプールがサブスクリプションに直接紐づく構造になったため、AVD(旧WVD) v1で必要であった、ホストプールをまとめるための上層レイヤーである「テナント」の作成も不要になりました。
このテナント作成はAVD(旧WVD) v1環境構築手順の中で唯一PowerShell必須の手順であったため、AVD(旧WVD) v2でテナント作成が不要になることでGUIのみでAVD(旧WVD)を構築することが可能になりました。
実際の構築手順
では実際の構築手順についてご説明いたしますので、手順について気になる方は是非引き続きご覧ください。
今回は、ドメイン環境としてAzure AD + Azure AD Domain Servicesを利用し、事前に作成したAzure ADユーザーを同期しています。
1. Azure Portalで「Azure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop)」と検索し、AVD(旧WVD)の管理画面を表示
Azureリソース一覧内の[Azure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop)]がAVD(旧WVD) v2です。
Marketplace内の[Azure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop)- Provision a host pool]はAVD(旧WVD) v1です
図3:AVD(旧WVD)の管理画面
2. 必要なパラメータを入力し、ホストプールを作成
図5:ホストプールを作成
3. AVD(旧WVD)の管理画面から[Application groups]を選択
図6:[Application groups]を選択
4. [Assignment]から、AVD(旧WVD)の利用ユーザーか利用グループを選択
図7:AVD(旧WVD)の利用ユーザーか利用グループを選択
5. Remote DesktopクライアントやWebクライアントなどでAVD(旧WVD)に接続
※ Remote Desktopクライアントで[CAA20004]エラーが発生する場合は、こちらの手順をお試しください。
AVD(旧WVD) v2で作成したAVD(旧WVD)ホストプールは、Azure PortalのAVD(旧WVD)管理画面に表示されるため、環境構築後の運用管理もGUIで操作することができます。
また、AVD(旧WVD) v2ではユーザーだけでなくグループ単位でも利用ユーザー追加ができるようになったので、大規模ユーザーで利用する際のユーザー追加の手間を大幅に削減可能になります。
ただし、過去にAVD(旧WVD) v1構築したAVD(旧WVD)環境についてはAVD(旧WVD) v2管理画面には表示されません。
AVD(旧WVD) v1で構築したAVD(旧WVD)環境をAVD(旧WVD) v2管理画面で管理したい場合には環境移行が必要であり、移行用PowerShellコマンドは今後公開予定とのアナウンスがされています。
移行コマンド公開後はAzure相談センターでも移行検証を行い、移行手順の紹介記事を執筆予定です。
AVD(旧WVD) v1からの移行をお考えの方は移行コマンドと記事の公開をお待ちください。
4.まとめ
今回はAVD(旧WVD)の構築と運用管理がさらに簡単になり、完全にGUIで操作できるAVD(旧WVD) v2についてご紹介しました。
Azure ADへのAVD(旧WVD)サービス登録やテナント作成が不要になったことや、ユーザー追加などの構築後の管理がAzure PortalからGUIで操作できるようになったことで、AVD(旧WVD)の構築管理の技術的ハードルがぐっと下がって非常に使いやすくなりましたよね。
現状では以前のAVD(旧WVD) v1環境の移行はまだできませんが、これから初めてAVD(旧WVD)環境を構築する予定の方や、既存のAVD(旧WVD)環境とは別で新たに環境構築する予定の方は、ぜひAVD(旧WVD) v2を利用していただくのがおすすめです!
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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【 著者紹介 】
井上 雄貴 | JDLA Deep Lerning for ENGINEER 2019 #1
SB C&S株式会社 技術統括部 第1技術部 2課
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