【カサレアル インタビュー:Vol.2】
Opsに光を!求められる役割とは
IT化の重要性が叫ばれる中、DXやクラウドネイティブよりも前から定着しており、改めて注目されているキーワード"DevOps"。
今回、DevOpsをテーマにSB C&S社から株式会社カサレアルへのインタビューを企画。DevOpsの現状や実践のために必要なこと、DevOpsにおけるエンジニア像などを4回に亘りお送りします。
本編では、Opsに光を当てたDevOpsについてお伝えしていきます。(Vol.1はこちら)
▌ Opsに求められる役割
----Vol.1 では、国内でDevOps実践が進むために必要なことを伺いました。そうしたことは、どのような領域で必要とされるでしょうか?
DevOpsにしてもクラウドネイティブにしても、全体最適型の考え方が中心になるかと思いますので、どの領域というのはあまり意識しない方が良いのではと思います。ただ、圧倒的に取り残されている運用を拾い、引っ張っていかなければ、DevOpsと言いつつDevだけで終わってしまっている現状から、脱却・改善できずにずるずると進んでしまうでしょう。そうした意味では、運用側に光を当てる必要があるかと思います。
----運用側に光を当てるという点には賛成です!ただ現状では差が大きすぎるため、開発側が運用側の方も対応した方が良いのではないかと考える企業、対応しようとしている企業もありますよね。後れをとっている運用側を追いつかせることと、開発側が運用側も対応してしまうこと、植草さんとしてはどちらを重視した方がいいと思いますか?
私としては、運用は運用で頑張ってほしいと思っています。開発が運用をカバーする場面も、基盤やセキュリティが運用をカバーする場面ももっとたくさんあって良いと思う一方で、運用にも開発・基盤・セキュリティのことを一緒に考えられるようになってほしいですね。
運用担当者は長年、運用に関して様々なことを経験してきているので、エンドユーザーの目標や課題の最も近いところにいます。開発担当者が見える範囲でCIを作り、CDができていないという話をよく耳にしますが、これに対して感じているのは、(役割分担はあるものの)開発担当者がいかに運用について考えたり関わったりせずに進めてきたかということです。また運用担当者が経験してきていることは非常に重要なことではあるものの、Kubernetesのような技術が当たり前に使われてくると、人はあまり手を付けなくて良いというところに行きつきます。ですが、どういう運用が理想的であるかを考えたり、場面に応じて必要な答えを出したり、技術云々よりもっと上位のレイヤーで見られる人材は絶対に必要です。その役割を、今までずっと開発を担当してきた方が担えるかというと、やはり運用担当者と比較してポテンシャルは下がるだろうと思います。
企業の情報システムは、その企業の情報システム部門の中で基盤・開発・運用といった課やチームを作り、柱として支えるというのが、いままでのやり方でした。各チームが一定の距離を保ちながら支えることでむしろバランスが保てていたのです。しかしクラウドにシステムを上げることによって、役割が重なる部分が出てきます。登山にして表現し、基盤・開発・運用という登山口にいる人たちがそれぞれのルートで、システムという山頂を目指していくとします。当然、山頂は裾野よりも狭いので、身を寄せ合わないと全員で立つことができなくなってしまいますね。このように身を寄せ合うこと、すなわち役割が重なる部分こそがDevOpsないしはクラウドネイティブの真骨頂、醍醐味なのではないでしょうか。開発担当者も運用担当者も、今まで自分が担ってきた役割における経験を軸足・得意分野としてしっかりと持ちつつ、他の領域についても、課題共有をしながら共に考えられるチームを作っていくことが大切だと感じています。
よくDevOpsの実践には、"フルスタックエンジニア"が必要という様な声を耳にします。まるで一人の人が何でもできる、スーパーマンのように聞こえますよね。しかしフルスタックと言われる人でも当然、得意不得意があったり、未経験の分野があったりします。ではなぜ"フルスタック"のように感じるのかというと、様々な課題に対し色んな人と共に考えていくような仕事の仕方だったり、色んな人と仮想的であってもチームとしてエンジニアリングをするような姿が、その人一人をみたときに、"フルスタック"であると感じさせるのではないでしょうか。課であれチームであれ、所属しているところの中で、課題や目標を共有しながら議論していくような場面が多いほど、一人一人がフルスタックエンジニアのイメージに近づくのではないかと思います。
話を戻すと、運用は運用で頑張ってほしい、運用側にも他領域のことを一緒に考えられるようになってほしいと申しましたが、次の課題や目標を他領域と共有しながら、何が最善なのか、どういう方向に進めるべきなのか、新しいインパクトが来たときにそのインパクトが与える影響や対処法は何かということを、多面的・総合的に考えるというのが必要となります。それはコミュニケーションかもしれませんし、他領域の知見かもしれませんが、そういったことをしっかり身に着けていくことが大切だと考えています。
----ビジネス的に人月単価での考えが沁みついていて、ある意味その枠外に動きたくても動けない、動こうとも思わなくなってしまっているところがあるように感じますが、いかがでしょうか。
まさに「何人月いくら」というように、ビジネスでやる以上利益は得ていかなければならないというのはありますが、ビジネスモデルという点では大きく変化していると感じています。情報はお金を払って得るものという感覚から、様々ある情報の中からお金になりそうなものをお金になりそうな場所へ持っていくという仕組みができ上ってきたように、企業の利益の得方も変わってきているでしょう。
技術においても価値観やあり方が変わってきています。かつては「自分が苦労して得た技術・知見は安売りするものでない」「自分だけができることが素晴らしいことだ」といった価値観を持っていたかと思いますが、現在では「特定の人しかできない技術よりも、大勢の人ができる技術で対応した方がリスクが少ない」という考えから、一人で握ることに価値があると思っていたものが、逆にあだとなってしまう場合もあります。
技術とは人に伝えられる、人の利益を引き出す道具として使われることが多いですが、人のために残し伝える、役立てるという、より本質的なところに戻ってきたと感じています。最近の言い方ですとT字型・π字型人材と言われますが、縦一本に掘り下げて強みとして持つだけでなく、それを横に広げたり、さらにその先を見渡したせるような人材は必要ですよね。
本編のインタビューはここまでです。次回はDevOpsにおけるエンジニア像をお伝えします。お楽しみに。
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この記事の著者:情野 あずみ
営業部 マーケティング担当
新卒でアウトソーシングサービスを展開する企業に入社、Webサイト運用やLP制作ディレクションを担当。カサレアル入社以降、ホームページ改善・制作からイベント出展など、マーケティング全般を担う。
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