【カサレアル インタビュー:Vol.3】
DevOpsにおけるエンジニア像とは
IT化の重要性が叫ばれる中、DXやクラウドネイティブよりも前から定着しており、改めて注目されているキーワード"DevOps"。
今回、DevOpsをテーマにSB C&S社から株式会社カサレアルへのインタビューを企画。DevOpsの現状や実践のために必要なこと、DevOpsにおけるエンジニア像などを4回に亘りお送りします。
本編では、DevOpsにおけるエンジニア像についてお伝えしていきます。(Vol.2はこちら)
▌ DevOpsにおけるエンジニア像
----カサレアルの顧客には、DevOpsに関心の高い方が多そうですが、実際の問い合わせ、研修受講者の傾向はありますか?
問い合わせ、受講者の声として、「クラウドネイティブのこの範囲内の技術を学ばせたい、勉強したい」「いまの得意領域の他に、クラウドに関係したものを深堀したい」という傾向にあります。私としては、一度クラウドネイティブの周りがどうなっているのか全体像を理解した上で、後から掘り下げる部分をご自身で考えていただきたいと思っているのですが、予め範囲を絞った形でのお話を多く頂戴します。
しかし限られた範囲だけでなく、全体像も見ていただきたいと考えています。範囲を限って深掘りすることを否定するわけではありません。ただこれだけ変化が速い世の中で、いま一生懸命深掘りしているものが10年後には使われていないという可能性も大いにあります。そのため木を見て森も見ていただくのが良いのではないでしょうか。バランスとして、あえて範囲を狭めない・深掘りしないということも、大事であるということです。
現在のメジャーなクラウドサービスとしてAmazon Web ServicesやMicrosoft Azure、Google Cloud Platformなどが挙げられますが、そういったサービスが出てきている中で多いのが、「Azureでどうしたい」「AWSでこうしたい」というお話です。クラウドの技術としてどうこうというお話ではなく、その次にあるブランドにまず目が行ってしまっていて、課題の本質から反れてしまっているんですね。本当に自分たちが必要としているものは何かというのを見極めるためにも、まず全体像がどうなのかというのを見ることが必要であると感じます。
----DevOps関連のスキルを身に付けた先には、どういった活躍の場が考えられるでしょうか?
あえて「〇〇エンジニア」という言い方をすれば、「ビジネスエンジニア」になるのではないかと思いますが・・・最終的には自らビジネスのことを考えて関われるエンジニアでしょうか。エンジニアリングのためにエンジニアをやっている、というよりは、ビジネスとしてエンジニアをやっている―役割としてエンジニアなだけで企業の一員としてビジネスをきちんと考えている、という意識がもっと強まればいいですね。ビジネスの部分をいかに考えてエンジニアリングしていくか、そんな視点を持ったエンジニアが多ければ多いほど、企業として強くなっていきますし、そういった企業が、世の中で健全に競争しながら育っていくのではないかと思います。
特に運用担当者はエンドユーザーに近い分、開発担当者以上にビジネスを感じられるのではないでしょうか。Vol.1 でお話したことと重なりますが、DevOpsやクラウドネイティブのような技術の取り込みによって「人手で対応する部分がなくなっていってしまう=自分の仕事がなくなってしまう」という危機感を持つのではなく、自分がそれらをコントロールするのだと考えていただきたいです。今まで人手で対応していたことを仕組みに置き換えたところで、少なからず意思決定は人がするものだと思いますので。少し話が逸れますが、人が意思決定するために、作業や情報収集をコンピューターや仕組みに任せるといったリバランスを進めていく。そうしたリバランスも含めて開発側の方はすでに一度実践されているのですが、開発としての枠に留まっていると感じるので、ぜひ運用側の方から壁を壊していけるような仕掛けを作りたいですね。
----リバランスというところで、例えばChatGPTやOpenAIについて考えるには、今が良いタイミングなのではないかと思いますが、植草さんはどう思いますか?
最近のインフラ構築をコード化しているような場面で申しますと、例えば画面で一つ一つ設定をするのは時間がかかりますし、たくさんの項目をどう設定すればどうなるかといったイメージがしきれない場合もありますし、そういったところはChatGPTのようなAIに書かせる、考えさせる方が良いのではないかと思います。ただAIから提案されたものを、瞬時には判断できなくとも、検証環境で一定期間運用してみて判断をするのは大事ですよね。それが最もできるのは開発担当者だと私は思っています。ChatGPTやOpenAIをうまく使い、開発担当者の仕事のステージを次に進めて確立していくという事例がもっと出てくると良いですね。バージョンアップについても、「これは今見送っても良さそうだ」「これは運用としてすぐに上げられない」というような、自社の都合も含めて総合的に判断することは難しいと思いますが、AIが情報からロジカルに考えて最適解を出し、それをもとに人が最終判断をするというのは非常に合理的なやり方になると思います。
----「ビジネスエンジニア」のようになっていくために、どのような経験や準備が必要でしょうか。
まずは新しいものに目を向けていくことですね。今のやり方がどういうものかを再認識してもらいつつ、次どうなるかというところを考えられるようになると良いと思います。またこれはエンジニア個人でどうということではありませんが、そういったことができるようになった先にどんなキャリアがあるかというのを、もっと表に出していくことが大切なのではないかと思います。
例えばですが、ITILはV3からV4でかなりの項目が見直されましたよね。私としては、ChatGPTの導入なども踏まえて次のバージョンを考えて良いのではないかと思うのですが、エンジニアがそういうところに関わる機会が文化的に少ないので、そういった文化を打破したいです。関わるというのは、どんな議論がされているかを知ったり、そこで出てきたアイディアを一旦試してみようとすることですね。クラウドについてすぐに関われるところで申しますと、Cloud Operator Daysのようなクラウドの運用者に光を当てたイベントなどもありますので、そういったイベントで登壇される方の声を聴いても面白いかと思います。
本編のインタビューはここまでです。次回最終章では、スキル向上に必要な原動力についてお伝えします。お楽しみに。
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この記事の著者:情野 あずみ
営業部 マーケティング担当
新卒でアウトソーシングサービスを展開する企業に入社、Webサイト運用やLP制作ディレクションを担当。カサレアル入社以降、ホームページ改善・制作からイベント出展など、マーケティング全般を担う。
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