【知っておきたい】GitLab最新ブログのご紹介 Part18

本記事では、GitLab公式ブログで公開された「GitLab Duo Agent Platformを始める:完全ガイド」についてご紹介します。
GitLab Duo Agent Platform:導入メリットと活用ガイド
GitLab Duo Agent Platform(以下、Duo Agent Platform)は、GitLabに複数の高度なAIアシスタント(エージェント)を統合した新しいAIソリューションです。ソフトウェア開発ライフサイクル全体で開発者とAIエージェントが非同期に協働できるオーケストレーションレイヤーとして機能し、従来の直線的な開発ワークフローを動的で並列なプロセスへと変革します。
例えば、コードのリファクタリングやセキュリティスキャン、調査といった日常タスクを専門のAIエージェントに委任することで、開発者はより複雑な課題の解決やイノベーションに専念できるようになります。Duo Agent PlatformはGitLab Duo Proや Duo Enterpriseの後継となる進化版であり、1対1の対話からチーム対複数AIエージェントの協働へと発展したものです。これにより、AIがソフトウェア開発チームの一員として複数のタスクを自律的に処理し、開発全体の効率とスピードを飛躍的に向上させることが期待されています。
導入メリット
Duo Agent Platformを導入することで、開発組織には次のようなメリットがもたらされます。開発者の生産性向上: コードリファクタリングや脆弱性スキャンなどの反復的な日常タスクをAIエージェントが代行するため、開発者は高度な問題解決や創造的な作業に集中できます。
開発スピードの加速:
複数のエージェントが並行してタスクを処理できるため、従来は順次行っていた作業を同時進行でき、全体としてリリースサイクルの短縮が可能です。実際、GitLab社によればAIによるコード作成で個々の生産性が向上しても、コード執筆は開発時間全体の20%に過ぎず、他工程がボトルネックとなっていました。Duo Agent Platformはこの課題を解決し、コードレビューやセキュリティチェックなど開発サイクル全体の高速化を実現します。
標準遵守と品質向上:
GitLab上のリポジトリ情報(コード、イシュー、マージリクエスト、CI/CD結果、セキュリティレポート等)をAIが参照するため、チームや組織のコーディング規約・コンプライアンス要件に沿った形で提案や自動化が行われます。この結果、AIによる提案や生成物も組織の基準を満たしやすくなり、品質と一貫性の向上につながります。
DevSecOps全体の最適化:
Duo Agent Platformはコーディングだけでなく、課題のプランニングからコードレビュー、CI/CDパイプラインの修復、セキュリティ対応までソフトウェア開発ライフサイクル全体でAIを活用する基盤です。これにより、開発プロセスのあらゆる段階でボトルネックを解消し、エンドツーエンドで開発速度と効率を高めることができます。
主要機能
Duo Agent Platformは、AIエージェントを活用した以下の主要機能で構成されています。
Duo Agentic Chat(エージェントチャット):
AIエージェントと対話するためのチャットインターフェースです。GitLabのWeb UIやIDE上で利用でき、課題やマージリクエスト、パイプライン結果、セキュリティ検出結果などプロジェクト全体の文脈を踏まえてマルチステップの推論対話が可能です。ユーザの指示に応じてエージェントが自律的にアクションを実行し、複雑な質問にも包括的な回答を提供します。
エージェント(AIアシスタント):
特定のタスクに特化したAI協働パートナーです。GitLabから提供される組み込みエージェント(例:課題プランナー、セキュリティ分析など)が複数用意されており、必要に応じてカスタムエージェントを自社で作成することもできます。さらに、Anthropic社のClaudeやOpenAI Codexなど外部AIサービスを統合した外部エージェントも利用可能で、用途に応じて使い分けや組み合わせができます。
フロー(マルチエージェントワークフロー):
複数のエージェントを連携させ、一連の手順を自動化するワークフロー機能です。一つの例として、課題作成からマージリクエスト提出までを自動化する「デベロッパーフロー」や、CI/CDパイプラインの失敗を検知して修復提案を行うフロー、コードレビュー支援フローなどが提供されています。これらの基本フローはGitLabがあらかじめ構築してGA版に含めており、将来的にさらに追加予定とされています。ユーザーは自社のプロセスに合わせたカスタムフローをYAMLで作成することも可能で、複雑なタスクの自動化を柔軟に実現できます。
AIカタログ:
エージェントやフローを検索・共有するための中央リポジトリです。プロジェクト内で利用可能なエージェントやフローを一覧できるほか、新たに作成したカスタムエージェント/フローを組織内で共有し、再利用することができます(アクセス権限に応じて公開範囲を制御可能)。これにより、チーム内でベストプラクティスとなるAI自動化を横展開しやすくなります。
外部ツール統合(MCP対応):
Duo Agent PlatformはModel Context Protocol (MCP)に対応しており、JiraやSlack、Confluenceといった社内の他ツールとも安全に接続できます。例えば、IDE環境からMCPクライアントを通じてJiraのチケット情報やSlackの会話内容にアクセスし、それらを踏まえたAIアクションを実行することが可能です。この機能により、AIエージェントがDevSecOpsツールチェーン全体のコンテキストを理解・操作できるため、開発者がツール間で手動でコンテキストを切り替える手間を減らし、より包括的な自動化ワークフローを実現できます。なお、GitLab自体がMCPサーバー(外部AIツールからGitLabデータへアクセスするための窓口)として機能する拡張も現在ベータ版で提供されており、今後のリリースでの一般提供が予定されています。
導入手順の概要
Duo Agent Platformの基本的な導入・利用開始までの流れを概説します。GitLab本体への追加インストールは不要で、必要なプランとバージョンにアップグレードすればすぐに利用を開始できます。
利用条件の確認:
Duo Agent PlatformはGitLab 18.8以降のPremiumまたはUltimateプランで提供されています。まず自社GitLab環境が対応バージョン・プランであることを確認してください(GitLab.comのSaaS利用者であれば2026年1月現在すでに利用可能、オンプレミスの場合は該当バージョンへアップグレードが必要です)。
機能の有効化:
対応するGitLab環境であれば、管理者またはプロジェクトメンテナーがDuo Agent Platform機能を有効化する設定を行います。GitLab.comでは既定で有効になっている場合があります。オンプレミスの場合、必要に応じて機能フラグの有効化やライセンスの適用を確認してください。機能が有効になると、プロジェクトメニューに「自動化」セクションが現れます。
AIエージェントの利用開始:
プロジェクト内で新たに現れた「自動化」メニューにアクセスし、Duo Agent Platformの各機能を利用できます。例えば「セッション」「フロー」「エージェント」といった項目が表示されますので、まずはDuo Agentic Chat(エージェントとのチャット機能)を試してみましょう。GitLabの画面上でチャットUIを開き、「コードをリファクタして」や「このマージリクエストの概要を教えて」といった指示を入力すると、AIエージェントがプロジェクトのコンテキストを踏まえた回答やアクションを返してくれます。Web IDEから直接チャットを呼び出すことも可能です。
組み込みフローの実行:
次に、あらかじめ用意されているエージェントフローを実行してみます。自動化メニューの「フロー」一覧から、例えば「デベロッパーフロー(イシュー作成~MR作成支援)」や「CI/CDパイプライン修復フロー」などを選択し、実行してみてください。エージェントが複数ステップにわたり自動で処理を行い、その結果をプロジェクトに反映する様子を確認できるはずです。処理の進行状況やログは「セッション」画面でリアルタイムにモニタできます(パイプラインの実行ログやエージェントのアクティビティが表示されます)。
カスタムエージェント/フローの構築 (任意):
自社のワークフローに合わせて自動化をさらに拡充したい場合は、AIカタログを通じてカスタムエージェントやフローの作成に挑戦してみましょう。例えば、社内独自のコード規約チェックに特化したエージェントや、特定のJiraチケット処理に対応するフローなどを作成できます。カスタムエージェントの定義はGitLabリポジトリ内のAGENTS.mdで行い、フローはYAMLファイルで記述します(高度な設定方法については公式ドキュメントやガイドのパート8を参照してください)。初期段階では無理にカスタマイズせず、標準エージェント/フローで十分な効果が得られるケースも多いので、まずは既存機能でAI活用の感触を掴むことをお勧めします。
以上のように、Duo Agent PlatformはGitLab本体に組み込まれているため導入手順もシンプルです。基本的にはGitLabのアップグレードと設定有効化だけで利用を開始でき、専門的な環境構築なしに既存プロジェクトでAI機能を試せます。
注意点
Duo Agent Platformを活用するにあたり、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
対応プラン・利用料金: 前述の通り本機能はGitLabの有料プラン(Premium以上)で提供されており、利用には該当プランの契約が必要です。
またAIリクエストの実行には使用量に応じたクレジット課金モデルが導入されています。ただし現在はプロモーションとして、PremiumおよびUltimateユーザーにはそれぞれ月額12ドル分・24ドル分のGitLabクレジットが自動付与されており、この範囲内であれば追加コストなくDuo Agent Platformの全機能を試すことが可能です。導入検討時は最新の料金体系とクレジットポリシーを確認してください。
AI出力のレビューとガバナンス:
AIエージェントが生成するコードや提案は便利ですが、最終的な責任は人間の開発者にあります。エージェントはプロジェクトのコンテキストを考慮して動作しますが、その出力が常に組織の意図や品質基準に合致するとは限りません。
したがって、自動生成されたコードや変更提案はチームのレビュープロセスを通し、内容を検証する運用が望まれます。また、社内ポリシー上AI利用に制約がある場合(機密データの取り扱い等)も考慮し、必要に応じてエージェントのアクセス範囲を調整してください。
新機能ゆえの注意:
Duo Agent Platformは2026年に一般提供が開始された新しいプラットフォームであり、一部機能はまだベータ段階です。例えばGitLabがMCPサーバーとして外部ツールからのリクエストを受け付ける機能は執筆時点ではベータ版となっており、将来のアップデートで正式リリース予定です。最新バージョンへの追随とリリースノートの確認を行い、機能追加や変更点に注意しながら段階的に展開すると良いでしょう。GitLab公式ブログの8部構成ガイドやドキュメントも参照し、ベストプラクティスに沿った導入を心がけてください。
まとめ
Duo Agent Platformは、AIエージェントを活用してソフトウェア開発のあらゆる工程を支援・自動化する革新的なプラットフォームです。
今回のリリースは、既存のDevSecOps環境に大きな付加価値をもたらすソリューションだと感じます。従来は人手に頼っていた領域にAIを組み込むことで、開発チームの生産性向上やリリースリードタイム短縮に直結する効果が期待できます。
また、GitLabという一元化されたプラットフォーム上で動作するため、ツールチェーン全体を統合した形でガバナンスやコンテキスト管理ができる点も実務上大きなメリットです。
現在Duo Agent Platformは正式リリースされたばかりですが、既に基本的なエージェントやフローが提供されており、段階的に導入しやすい構成になっています。
まずは限定されたプロジェクトで試行し、小さな成功体験を積み重ねることでチームへの浸透を図ると良いかと思います。
さらに、今後エージェントやフローの種類が増え、外部サービス連携も強化されていく予定とのことで、AI活用の幅は一層広がっていく見込みです。
Duo Agent Platformは単なるAIチャットボットではなく、「チームの一員として働くAI」を現実のものにするプラットフォームです。開発現場における反復作業の自動化やナレッジ活用を新たな次元に引き上げるこの仕組みは、これからGitLabを導入・活用しようとする企業にとって大きな魅力となるかと思いますので、ぜひこの機会にGitLab Duo Agent Platformのメリットを評価いただき、AIと人間が協調する新時代のソフトウェア開発をご体験ください。
参考記事
この記事の著者:近藤泰介 -Taisuke Kondoh-
SB C&S株式会社
主にデジタルワークスペース実現のためのソリューション展開、案件支援、先進事例の獲得、協働パートナーの立ち上げを経験。
現在は新規事業開発やDevOps・クラウドネイティブに関する提案活動、販売代理店の立ち上げ、
国内外の新規商材発掘(目利き)/調査といったTec Scouting活動に従事。
また、Microsoftを中心としたビジネス領域の調査・プリセールスも行う。
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