2018.04.25

リモートワークはより強いDevOps文化を形成する

加藤学
SB C&S株式会社
テクニカルフェロー
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今回は、GitLab社より報告されています 2018 Global Developer Report から一部を抜粋してご紹介します。

2018 Global Developer Report

2018 Global Developer Reportによると、リモートワークを基本としているチーム(以下リモートチーム)は、オフィスで仕事をしているチーム(以下インオフィスチーム)に比べてより高いビジビリティとDevOpsへの達成度合いを持つ傾向があるそうです。 仕事という場面でのビジビリティは、やり遂げたいことを他のメンバーに認識してもらい、認めてもらうことと表現できると思います。


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リモートチームの意見としては、

  • 67%が、他メンバーの仕事に対するビジビリティがある
    (インオフィスチームは57%)
  • 41%が、DevOps文化が定着していると思っている
    (インオフィスチームは34%)

これに対して、インオフィスチームの意見は、

  • 60%が、根付いた習慣を変えることが最大のチャレンジであると言及している
    (リモートチームは49%)
  • 40%が、彼らの組織が強いDevOps文化を採用できていないと思っている
    (リモートチームは27%)

といった結果になり、リモートチームの方が変更への許容やDevOps文化の定着意識が強いという結果になったそうです。

DevOpsへのチャレンジ

DevOpsモデルを採用するにあたって組織が直面する困難の一つは、いままでの文化が変わっていくということです。なぜなら、DevOpsを実践することは、チーム間で頻繁に新しいタイプのコミュニケーションをすることになるからです。長いことサイロ化された組織にとって、これは難しいことでしょう。文化的な側面における急速なシフトは許容し難く、結果的にメンバー間の衝突やフラストレーションを増大させます。

リモートワークはなだらかな変化を助ける?

GitLab社のサーベイによると、20%の回答者がほとんど、もしくは全ての開発をリモートで行っています。それぞれのリモートワーカーは効率よくコミュニケーションを取ること、他者の決定した事項やプロセスを頻繁に確認することの重要性を理解しています。

物理的に近くにいることの便利さがないので、リモートで働くということはオープンディスカッションをしていくという明確な意思表示や、開発プロジェクトの状況を相互に確認しやすくするよう個々が理解している必要があります。

さらに、同じタイミングで働くためのツールを使い、サイロ化されたワークフローを減らしていきます。効率的なリモート開発の文化とは、効率性、コラボレーション、ビジビリティを受け入れることです。もし、開発やオペレーションチームがすでに信頼関係と透明性のある文化を持っていたなら、彼らは容易に垣根を超えたコミュニケーションとワークフローを育てる新しいモデルへ移行できるでしょう。

リモートチームは、すでに透明性やコラボレーション、ビジビリティを前提に、そういったことに慣れていることが多いので、DevOps採用もシームレスに進むはずです。 なぜなら、リモートワークの生来の恩恵であるプロジェクト活動のリアルタイムなビジビリティはDevOpsモデルの優位性の一つでもあるからです。

まとめ

新しい組織文化形成という側面では、近くにいないからこそ、コミュニケーション、共感、一体感などを別の形で表現したり置き換えたりするリモートワークには大きな可能性があります。

また、労働時間ではなく、成果物(プロダクトやサービス)やそれにより生み出された価値(事業としての収益やコスト削減)によって生産性を図ることは、「なぜこの開発をするのか?」「働く場所も含めて、どうやったら価値を最大化できるか?」を再考する良い機会になると思います。

リモートワークが全て良いということではありませんが、開発者やエンジニアにとって働く場所に柔軟性を持たせることは、将来の生産的な活動に良い影響を与えて行くと確信しています。


本記事は、以下を参照意訳したものです。

●The people have spoken: Remote work creates a stronger DevOps culture
https://about.gitlab.com/2018/04/17/remote-work-facilitates-devops/

●2018 Global Developer Report
https://about.gitlab.com/developer-survey/2018/#section-state-of-the-union

●GitLab remote only culture - manifesto
https://about.gitlab.com/culture/remote-only/

この記事の著者:加藤学

SB C&S株式会社
テクニカルフェロー

エンタープライズ領域での開発から運用監視までの幅広い業務経験を活かし、事業開発やマーケティングチームと一緒になってビジネスの立ち上げを行っている。日本とアメリカ、特にシリコンバレーへ滞在し、新規プロダクトの発掘調査や国内外の新規パートナーリクルーティング、技術戦略、ポートフォリオの策定など、技術をバックグラウンドにしたさまざまな活動を行っている。最近では、DevOpsを始めとした開発者向けビジネスの立ち上げを行い、プロジェクトの責任者として慌ただしい日々を送っている。


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