2023.12.20

アジャイル開発への移行に向けた3つのチャレンジ ~DXのトビラを開く「DevOps-ABC」の疑似体験 2~

大塚正之
SB C&S株式会社 エバンジェリスト
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前回は発表者である私の主観でお届けしましたが、今回は参加者の目線でどのような講演だったのかをレポート形式でお届けします。

SoftBank World 2023 セッションレポート

変化の激しい市場環境の中で、開発チームと運用チームが連携しながら事業部門のニーズに迅速に応えるアジャイル開発へのシフトに向けて、DevOpsに取り組む企業が急増している。しかし、DevOpsにかぎらずDXを支える組織文化のあるべき姿を見いだせている企業は、現状ではまだ少数と言わざるを得ない。10月初旬に開催されたSoftBank World 2023のセッションに登壇したSB C&S株式会社 ICT事業本部 エバンジェリストの大塚正之氏は、自身のAI活用の経験を踏まえて、アジャイルな開発体制への移行に向けた3つのチャレンジを、同社が提供する短期教育プログラム「DevOps-ABC」の活用事例を交えながらわかりやすく解説した。

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アジャイル開発への移行を阻む
日本企業の「文化・マインドセット」の課題

3つのトビラを開けよう、AI活用と『ほんとうのDX』〜事例に学ぶ、変革への第一歩〜」と題したセッションの冒頭で、大塚氏は約5年間にわたる自身のAI活用からの学びについて次のように話した。

「私は自らの業務でB2B領域での新規顧客開拓などを担当していますが、ここでのAI活用はまさにトライ&エラーの繰り返しです。そこで学んだのは、以下の3つのポイントです。まず、AI活用の目的を明確にすること。次に、それまでの手法を見直す勇気、柔軟性。最後に、思い込みを排除したデータドリブンなプロセスの重要性です。この3つのポイントは、DevOpsの取り組みにもそのまま当てはまります」

SB C&Sが独自に実施したアンケート調査(202112月)によると、アジャイル開発への移行に向けて内製化に取り組んでいる企業は全体の半数にも満たない(43%)。また、開発領域における最優先の課題としては「文化・マインドセットの変革」(52.4%)がトップを占め、「新しい技術・スキルの追随」(27.2%)を大きく上回っている。

外部のITベンダーの力を借りながら、1つのシステム開発に何年もの時間を費やすスタイルは、すでに過去のものとなっている。しかし、この調査結果からは、企業は内製化によるアジャイルな開発体制への移行が競争力強化に不可欠であることを認識する一方、その多くが具体的な方策を見いだせていない状況がうかがえる。


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DevOps-ABC」の疑似体験がもたらす
組織のマインドセット、開発文化の刷新

このように企業において開発の内製化が進まない現状を踏まえ、SB C&Sでは内製化とアジャイル開発への移行を支援する短期教育プログラム「DevOps-ABC」を提供している。DevOps Agile BootCampの略称であるDevOps-ABCは、アジャイル開発に必要なマインドセットや開発プロセスの基礎を5日間の疑似体験から学ぶ教育プログラムだ。

具体的には、新たなマインドセットや組織文化、部門間協業を体験する「People」、ビジネスとITの相互関係、アジャイルなプロセスを理解する「Process」、そして開発と運用の相互連携や最新テクノロジーについて学ぶ「Technology」の各レイヤーに対応した実践的なプログラムが用意されている。

大塚氏は「これまでSB C&Sでは、主にIT商材やその活用を促すトレーニングサービスを提供してきました。しかし、これだけでは市場における変化対応力の強化にはつながりません。そこで、お客様の組織の文化やマインドセットを刷新して、変革の機会につなげていくための新たな教育サービスとして提供を開始したのがDevOps-ABCです」と話す。

ビジネスの持続的な成長のためには、市場や事業部門にニーズに応じた迅速なプログラム開発のスキルと、それを支える組織体制が欠かせない。その原動力となるのがDevOps-ABCだということだ。

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「縦割り組織の常識が覆された」
参加企業から寄せられる評価の声

大塚氏は、DevOps-ABCのトレーニングを通じてアジャイル開発に必要なマインドセットの醸成と組織文化の刷新に取り組むモデルケースとして、アサヒビジネスソリューションズ株式会社の事例を紹介した。酒類や飲料の事業で知られるアサヒグループのITパートナーとして、営業・販売・生産・物流などのシステム開発や運用をワンストップで手がける同社は、グループ全体のDX 推進を支援する役割も担っている。

多様化、複雑化する市場環境の中で、各事業会社の要望にスピーディに応えるアジャイル開発へのシフトを目指す同社は、SB C&S が提供するDevOps-ABCを採用。ここでアジャイルな開発文化がもたらす変化を疑似体験した同社では、クラウドネイティブな環境による継続的なサービス提供の理解を深め、開発と運用を横断した組織連携の重要性を再認識したという。

大塚氏は「アサヒビジネスソリューションズ様からは、『これまでの縦割り組織の常識が覆された』『自分ならどう動くか、自発的に考えるマインドが生まれた』『IT以外の分野でも応用できる知見が得られた』といった声が寄せられており、獲得したノウハウのグループ全体への展開や、IT部門以外からDX人材を発掘するために社員教育へ組み込むことも検討されています」とDevOps-ABCがもたらす成果を強調した。

アサヒビジネスソリューションズ株式会社のDevOps-ABC活用事例の詳細はこちら

DXを未来の成長につなげる
3つのチャレンジの実践

DevOps-ABCに実際に参加したアサヒビジネスソリューションズの事例は、DXを推進する上での「目的を明確化するリーダーシップ」「従来の手法を見直す柔軟なマインドセット」「デジタルを活用したデータドリブンなプロセス」の重要性をあらためて示している。これは、大塚氏が自身のAI活用から得た3つの学びとも一致するものだ。

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「リーダーシップ」はDXの目的を明確化して、組織・チームを牽引していく上で何よりも欠かせない要素だ。大塚氏は「新しい技術やサービスを導入すると、どうしても"How"に目を奪われがちです。しかし、技術やツールは導入したら終わりではなく、何のために導入するのかという真の目的"What"を常に意識しておくことが重要です。そのためには高い志を持ったリーダーの存在が不可欠です」と話す。

次に「マインドセット」は、既存のルールや固定概念にとらわれず、一度決めたことでも柔軟に軌道修正しながら、失敗を恐れずに新たなアプローチにチャレンジしていく勇気を意味している。

そして、3つめが「データドリブン」である。データを最大限に活用して新たな価値を創出するためには、これまで依存していた人間の勘や経験はできるだけ排除しなければならない。それまで意味がないと考えていたデータであっても、すべてをAIに学習させることで、思いもよらない発見が生まれる。このことが単なる業務の効率化だけではなく、新たな成長につながる戦略の指針にもなっていくのだ。

 

先の読めない時代、市場の変化に柔軟に対応していくためにデジタルで武装する企業は少なくない。しかし、DXにおけるD(デジタル)はあくまで手段であり、真のゴールはX(トランスフォーメーション)にある。新たなテクノロジー、AIに振り回されるのか、それとも3つのチャレンジを実践して、これらを新たな競争力に転換していけるのか。日本企業の未来の成長は、まさにここにかかっている。

関連リンク

新サービス「DevOps-ABC」のご紹介

VMware Tanzu特設サイト

この記事の著者:大塚正之

SB C&S株式会社 エバンジェリスト

「情報革命で人々を幸せに」を志に、全国を駆け巡り多数の熱気を届けている。
よくあるセミナー講演とは一味違う世界を演出し続ける彼のモットーは「難しい話よりも、まずリラックス」
熱いハートを武器に、今日も"愛と感動"をお届けする。


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