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【Pure Storage】FlashArray (Pure Storage) の基礎知識

ストレージ / HCI
2019.10.21
みなさまこんにちは。SB C&Sでプリセールスを担当している中田です。
 
本連載の第1回ではPure Storage社について、会社概要や製品ラインアップといった観点からご紹介いたしました。
今回の第2回は、今後FlashArrayを学ぶ前段としての基礎知識編となります。第1回の内容を前提として書かせていただいておりますので、まだお読みでない方はぜひ第1回も合わせてご一読ください。
 
 

搭載可能デバイスについて

Pure Storage社は「オールフラッシュストレージベンダーである」ということを前回お伝えしました。
そのためもちろんドライブベイに搭載するデバイスはフラッシュデバイスなのですが、FlashArrayのドライブベイには下記の3種類のフラッシュデバイスが搭載可能となっています。(モデルによって搭載可否があります。)
  1. SSD
  2. Direct Flash Module
  3. DirectMemory

それぞれ特徴があるため、まずこれらをご紹介いたします。

 

1. SSD

 
上記の写真は弊社のFlashArray検証機から抜き取った960GB SSDドライブです。(都合により一部ぼかしを入れています。)
第1回にてお伝えした「TLCの半導体」を用いたデバイスがこちらです。
FlashArray搭載のSSDドライブは2本のSSDを搭載していることが大きな特徴です。ぼかしのため見えなくなっていますが、こちらのラベルには"480GB"と記載されており、裏にはもう1本480GBのディスクが隠れています。
そして2本で960GBのドライブとして構成されています。
FlashArrayでは独自のRAIDを構成しますが、SSDを用いる場合にはこの1本1本のSSDをドライブ跨ぎで別々にグルーピングし、かつ別のRAIDグループとして構成することで耐障害性を向上させています。(詳細な内容に関しましては今後RAID構成など耐障害性について書く際に改めてご説明いたします。)
 

2. Direct Flash Module(DFM)

 
"Direct Flash Module" (以降DFM) は従来のSSDと異なり、cMLCのNANDフラッシュを搭載した独自開発のNVMe対応モジュールです。
従来のSATA/AHCIはもともとHDD向けに開発された規格でした。
HDDや小容量のSSDであれば転送速度がボトルネックとなることはありませんでしたが、SSD販売当初と比較すると1つのデバイスあたりの容量が増加してきた昨今では容量の増加に伴いデータの転送量も増え、データ転送速度がボトルネックとなるような環境が出てくることとなりました。
そこでDFMではPCIeのバスを直接利用するNVMeを採用することで転送速度のボトルネックを排除し、またSSDごとに搭載されていたNANDフラッシュのコントローラーを排除し筐体のコントローラーでNANDフラッシュの管理機能を実装することにより容量密度・パフォーマンスをあげたモジュールとなっています。
このモジュールはFlashArray・FlashBladeの両方に提供されていますが、上記の写真はFlashArrayに搭載されるDFMの画像です。黒の長方形のNANDフラッシュが敷き詰められていることが見て取れるかと思います。
※DFMを搭載できるモデルは現行の//X R2シリーズでは2019年10月現在、//X50 R2以上のモデルのみとなっています。製品モデルに関しましてはこちらをご参照ください。
 
またFlashArrayのシャーシだけではディスク容量が足りない場合には、シャーシに接続して利用する拡張シェルフによるディスク増設も可能です。
この拡張シェルフに対してもDFMの搭載が可能となっており(SSDとの混在不可)、DFM搭載の拡張シェルフを「Direct Flashシェルフ(DFシェルフ)」、SSD搭載の拡張シェルフを「SASシェルフ」と記載されている場合がありますのでご注意ください。
 

3. DirectMemory

DirectMemoryは、2019年9月15日(日) - 18日(水) にテキサス州オースティンにて開催されたPure Storageのワールドワイドイベント「Pure//Accelerate 2019」にて発表のあった、FlashArray//Xのハイエンドモデルにのみキャッシュとして搭載可能なデバイスです。
近年メインメモリとストレージの間に位置するデバイスとして「ストレージクラスメモリ(以降SCM)」が開発されましたが、このSCMをキャッシュとして利用する形となります。
 
また前回お話したEvergreenの保守はこのDirectMemoryに対してももちろん適用されますので、変わらずPure-as-a-Serviceの形での運用が継続できます。
※DirectMemoryはFlashArrayの上位モデルにのみ搭載可能となります。
 
 

ストレージデバイス構成の考え方について

Data Pack

Pure Storageでは「シンプル」をポリシーのひとつとしています。
そのため"Data Pack"という単位でSSD/DFMの構成/追加もシンプルに行います。
例えば、ベースシャーシのData Packは10本、拡張シェルフに対してであれば12本単位となっていますので、Data Pack単位でFlashArrayを構成し、容量拡張時にもこのData Pack単位で拡張を行う形となります。
詳しくはPure Storage社提供のサイジングツール"SizerV3"をご覧いただくとわかりやすいかと思います。(パートナーアカウントが必要となりますのでご注意ください。)
 
 
ここまでおつきあい頂きありがとうございました。
 
次回はセットアップ編となります。乞うご期待ください!

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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第1技術部 2課
中田 浩嗣

VMware担当を経て、現在ストレージ担当の中でもPure Storageを専任に担当するプリセールスエンジニア