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【Pure Storage】ゼロからわかるPure Storage

ストレージ / HCI
2019.10.07

みなさんこんにちは、SB C&Sでプリセールスを担当している中田です。
「連載Pure Storage」ということで今回から複数回に渡ってPure Storageについて情報発信していきます。
今回は第1回「ゼロからわかるPure Storage」ということで、「そもそもPure Storageってどんな会社?」「どんな製品ラインアップがあるの?」といった基本的な部分をご紹介していきます。

 

Pure Storage社について

図1.png

Pure Storageは、2009年にオールフラッシュストレージ専業のベンダーとしてシリコンバレーのマウンテンビューにて設立した会社です。2019年10月でちょうど設立10周年となります。

設立当時、フラッシュデバイス自体は存在はしていたものの高価な存在であり、ストレージを構成するデータ保存用デバイスはHDDがほとんどでした。
しかし、サーバー仮想化技術の浸透やアプリケーション自体の要求リソースの増加に伴い、フラッシュストレージの需要が高まってきた時代でもありました。
Pure Storageは上記のような時代背景を汲み取り「価格を抑えて、より広くフラッシュストレージを普及させること」を追求してきたベンダーです。
上記のポリシーのもと、なるべくフラッシュデバイスのコストを抑えてオールフラッシュストレージを提供するため、非常に効果の高いデータ削減機能やデバイスを長寿命化する仕組みがあるのですが、これらに関してはまた別の機会にお話しできればと思います。

そんなストレージアプライアンスの販売から始まったPure Storageですが、現在ではクラウド製品のラインアップ等もあり、その製品領域を広げているベンダーとなっています。

 

 

製品ラインアップについて

早速ではありますが、各種製品と特徴的なサービスについて解説していきます。

なお、各種FlashArrayの違いについては以下の動画をご覧ください。(2024年掲載)

FlashArray

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FA背面.png


黒いベゼルとオレンジ色のロゴのこちらがFlashArrayです。
Pure Storage と聞いて最初に思い浮かべる製品はこちらかと思います。

FlashArrayは、iSCSI / FCプロトコルに対応したブロックベースのストレージです。
FlashArray//X R2というシリーズが現行のシリーズとなっており、//X10R2のエントリーモデルから、//X90R2といったハイエンドモデルまでのラインアップが揃っています。
どのモデルも3Uのベースシャーシに2コントローラーの形で構成されており、上位モデルになるにつれてコントローラースペック、最大容量が上がっていきます。
詳細なハードウェアスペックに関してはメーカー資料をご覧ください。
メーカー資料はこちら

ハードウェア上では"Purity OS"と呼ばれるストレージOSが動作しており、このPurity OSの作り込みがデータ削減率等のキモとなっています。

想定される使用用途としては仮想化基盤やDBを動かす基盤など、高いパフォーマンスが要求されるTier1のワークロードです。
もちろんオールフラッシュですのでパフォーマンスの高さはもちろんのこと、ただパフォーマンスが高いだけでなく重複排除技術や圧縮といったデータ削減機能での容量効率の高さや、独自のRAID技術である"RAID-3D"など語りきれない特長がたくさんあるのですが、これらに関してはまた次回以降でお伝えできればと思います。
 

FlashBlade

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FlashArrayとは対称的に、白の背景にオレンジ色のロゴのこちらがFlashBladeです。
FlashBladeは、NFSv3,v4.1 / CIFS / S3 Object といったプロトコルに対応したファイル/オブジェクトベースのストレージとなっています。

ハードウェア構成としてはFlash "Blade"の名前の通りブレード型となっており、各ブレード毎にコンピューティングリソースやデータ保存領域をもち、これらを束ね上げてストレージとして動作しています。最小でブレード7基からの構成となっており、ブレードの追加によってリニアなスケールアウトが可能です。
詳細なハードウェアスペックに関してはメーカー資料をご覧ください。
メーカー資料はこちら

ストレージOSとしてはこちらもPurity OSが動作しますが、FlashArrayに搭載されているPurity OSとは異なるため、差別化する意味合いで"Purity//FB"と呼ばれます。

またその利用用途として、FlashBladeは複数のブレードから構成されている構造上並列処理を強みとしています。
そのためプロトコルとしてはCIFS/NFSといったファイルベースのプロトコルが利用できますが、単なるNASとは違い想定される使用用途は主に機械学習やログ解析等のデータ処理基盤となってきます。
また、複数ジョブを並行して行うことによる高速バックアップ用途での導入事例もあります。

FlashArray //C

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FlashArray//C は、2019年9月15日(日) - 18日(水) にテキサス州オースティンにて開催されたPure Storageのワールドワイドイベント「Pure//Accelerate 2019」にて発表のあった、FlashArrayの新たなシリーズです。

ご存知かもしれませんが半導体は「1セルに対して何ビットの情報を書き込むか」という点で種類が分かれ、SLC(1bit/cell) / MLC(2bit/cell) / TLC(3bit/cell) といった種類が従来からありました。
もちろん1セルに対して多くの情報を書き込むほど容量単価は安くなっていきますが、その反面半導体の書き込み可能回数は少なく、レイテンシが大きくなっていきます。

多くのエンタープライズ向けストレージではSLCや、ハードウェア的に耐久性を増したMLCの半導体を使用していますが、FlashArrayではTLCの半導体を用いその弱点をソフトウェアの作り込みでカバーすることで、より安価にオールフラッシュ製品を提供してきました。

そしてこの半導体の種類として近年新たに開発されたのが QLC(4bit/cell) です。
FlashArray//CではこのQLCを用い、「キャパシティに特化したフラッシュストレージ」として新たに製品ラインアップに加わります。

書き込み可能回数の弱点はソフトウェア側の仕組みでカバーできるもののレイテンシ面はカバーしきれないため、テスト/開発環境などTier2アプリケーション向けとしての利用が主に想定される製品ラインアップです。

上記が基本的なPure Storageのアプライアンス製品となっています。

 

Cloud Block Store

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Cloud Block Store(以下CBS)は先ほどまでの物理的なアプライアンス製品とは異なり、AWS上でクラウドインスタンスとして提供されるブロックストレージです。
Purity OSがクラウドインスタンスの形で提供されている、と考えていただければわかりやすいかと思います。

AWSのクラウドインスタンスとしてPurity OSを利用することで、AWSネイティブサービスとの連携やAWS上のストレージリソースをFlashArrayと同様のUIから操作できる、Purity OSの各種機能を利用できる、といったメリットがあります。

具体的に例をあげて説明すると、例えば上記の図のようにオンプレミスのFlashArrayとAWS上のCBS間でPurity OSの機能を利用した非同期レプリケーションを構成し、AWS上では各AZにCBSを配置し同期レプリケーションを構成する、といった形での災害対策や冗長化が可能です。
また全て共通してPurity OSが動作していますので、 後述の"Pure1"での一括管理が可能となります。

 
ここまでが具体的な製品です。続いて、Pure Storageの特徴的な保守サービスについてご紹介します。

 

Evergreen

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Evergreenは、Pure Storageの提供する保守サービスの名称です。

より具体的に見ていくと、Evergreenには"Silver"と"Gold"の2種類があります。
そして、Evergreen Goldでのみ利用可能な画期的な保守サービスが"Free Every Three"と呼ばれている「ストレージコントローラーを3年毎にその時点の最新のものに交換可能」というサービスです。
ディスク交換のみでなくコントローラーの交換も保守の範囲内で行うことで、保守費用のみで実質的に永久にストレージを使い続けることができます。
詳細なプログラム内容はこちらをご確認ください。(2019年9月時点のプログラム内容となります。)

そして上記保守サービスによる永久的なストレージ利用をベースに、オンプレミスとクラウドを包括的にOPEXのみで運用していくシステムがPure-as-a-Service (旧称Evergreen Storage Service) です。本名称の変更も、Pure//Accelerateにて発表されたものとなります。

 

Pure1

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Pure1は、障害監視、ログ分析、サポート(ケース作成やサポートとのやりとり)などを提供するクラウドサービスです。
FlashArray、FlashBlade、Cloud Block Storeといった先ほどご紹介した各種製品を、Pure1にて一括管理することが可能となっています。
Pure1は、Arrayから30秒毎にデータをPure1に転送する"PhoneHome"という機能を有効にしていただくことで利用可能となります。
また、転送されたデータを"Pure1 Meta"と呼ばれるデータ分析エンジンで分析することで障害予測を可能としています。
そのほかにもVMware vSphereの仮想マシン単位の性能分析機能などの特徴的な機能がありますが、今後の連載にてご紹介できればと思います。

 

第1回は以上となります。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

次回からは、実際に弊社検証機にて検証した初期設定や各種機能等の紹介をしていきたいと思います。乞うご期待ください!

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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第1技術部 2課
中田 浩嗣

VMware担当を経て、現在ストレージ担当の中でもPure Storageを専任に担当するプリセールスエンジニア