みなさま、こんにちは。
SB C&Sでニーズに寄り添った新規製品の発掘を担当しております、小泉と申します。
今回、ご紹介させていただく製品は「Atrust リモートPCアレイ」です。
Atrust リモートPCアレイ
1Uのシャーシ内に20台(もしくは30台)のカートリッジ(パソコン)を集約したソリューションです。
在宅勤務に代表されるリモートアクセスを検討する際、仮想デスクトップを提案されるケースが多いと思いますが、コストもそれ相当に大きくなるため、お客さまのご要件によっては費用対効果が見合わないと見送られるケースも少なくありません。本ソリューションは、仮想化テクノロジーを一切使わないことで仮想化に必要となるコスト(主に高性能ハードウエアとライセンス)が不要となり、最小限のコストでリモートアクセスを実現できます。
また、最近ではRPA(Robotic Process Automation)の実行環境用プラットフォームとしてのニーズが高まっておりますが、背景としては本製品では電源やファンが冗長化されており、各主要パーツは稼働させたままの交換が可能であるため、高い可用性と24時間連続稼働を実現できることが挙げられます。
今回はこちらの製品にフォーカスし、実際にお客さまへご提案・ご導入いただく際に組み合わせていただけるソリューションと、オムロンUPSを活用した安全なシャットダウン方法についてご紹介いたします。
OMRON UPS
今回OMRON UPSを選定させていただいたのは「SNMPマネジメントカード」よりsshコマンド(スクリプト)を直接実行することができ、電源管理サーバー不要でリモート機器の制御ができるため、よりシンプルにリモートPCアレイを構成いただくことが可能です。
https://www.oss.omron.co.jp/ups/product/soft/snmp.html
アセンテック ActiveImage -RE for リモートPCアレイ
リモートPCアレイにおけるひとつひとつのカートリッジはいわゆる「パソコン」なので、バックアップも重要です。万が一カートリッジが壊れてしまった場合、カートリッジのデータをNASなどに退避しておくことで大切なお客さまのデータを保護します。
この度ラネクシーさまより、ActiveImageがリモートPCアレイ利用時の推奨バックアップソフトとして専用ライセンスパックがリリースされました。
https://www.ascentech.co.jp/news/press/pr191218_01.html
エレコム NSB-7MSシリーズ
ActiveImageはバックアップデータを保管するためのWindows Server IoT 2019 for Storage Workgroup EditionベースのNASとなります。今回はバックアップ用途ということでコストを最重視しつつもRAIDによる最低限の耐障害性も備えています。
検証環境
今回はこれらの製品を組み合わせて以下のような検証環境を構築、OMRON UPSを使って安全にシャットダウンが行えることを検証しました。
リモートPCアレイにおける電源管理
リモートPCアレイには「Atrust Chassis Manager」(以降、ACM)というシャーシならびにカートリッジを管理するためのツールが付属しています。ACMを使うことで、リモートから設定を変更したり、カートリッジの電源を投入することが可能です。
パソコンを使ったリモートアクセスだと利用者が誤ってカートリッジをシャットダウンしてしまった場合、管理者が代わりに電源を入れてあげるといった対応を行う必要がありますが、ACMを使えばパソコンのところまで管理者が出向く必要がなく、リモートから電源を投入することが可能です。一般的には、VPNなどのリモートアクセスソリューションを組み合わせることで"Wake On LAN"に対応でき、利用者が使うタイミングで電源が入っていない場合に自動で電源を投入してくれる構成を検討されるケースが多いかとは思います。
また、リモートPCアレイはsshを使って外部から遠隔操作することが可能です。今回のUPSと連動した安全なシャットダウンもこのsshによる制御機能を活用しています。
sshによるリモートPCアレイのシャットダウン
sshによる制御を行う場合はACM側(シャーシのネットワーク設定)で有効化しておく必要があります。
sshでログイン後、以下のコマンドを実行することで指定のカートリッジをシャットダウンすることが可能です。
※"--unit"パラメータでシャットダウンするカートリッジを指定します。
全てのカートリッジ停止後、以下のコマンドを実行することでシャーシのシャットダウンが可能です。
OMRON UPS へのシャットダウンスクリプトの設定
今回は以下のようなシャットダウンシーケンスで検証を実施しました。
実際にOMRON UPS(SNMPカード)に設定するスクリプト(サンプル)は以下のようなものとなります。
snd=$u1
rcv=password:
snd=$p1
rcv=$
snd=sudo AcmConsoleCli system login --user=admin --password=0000
rcv=$
snd=sudo AcmConsoleCli cartridge shutdown --unit=1-5 --type=1
rcv=$
snd=sudo AcmConsoleCli chassis shutdown-chassis --type=1
※シャットダウンコマンドは処理が完了するまで待機するため、カートリッジとシャーシのシャットダウンを続けてコマンド実行することが可能です。
如何でしたでしょうか。
リモートPCアレイを使った低コストなリモートアクセスソリューションやRPAプラットフォームは、データセンターなどではなく、自社のサーバールームに設置してご運用いただくお客さまも多いと思います。瞬電や停電への対応と年1回の法令点検など、電源まわりのお悩みに是非ご活用ください。
私の所属している西日本のテクニカルマーケというチームでは、パートナーさまやお客さまがお持ちのさまざまなニーズにお答えできる製品ならびにソリューションの発掘・開発を行っています。
ニーズはあるのに製品が見つからないといったお悩みをお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非ご相談ください。
最後に、本検証はオムロン ソーシアルソリューションズさまご協力の元に実施させていただきました。
# 村井さま、検証へもご同席いただきましてありがとうございました!
(検証環境にて。写真左より、オムロン ソーシアルソリューションズ 村井さま、SB C&S 稲葉、小泉)
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著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第3技術部 1課
小泉 政彰
アプリケーション仮想化、デスクトップ仮想化に携わること10年。さまざまな苦楽を共にした彼らを戦友と呼び、クライアント回りの仮想化技術を好む。