以前、Ansys Discoveryの高速CAEには全自動メッシングとGPUによる計算がかかわっていることをご紹介しました。(Ansys Discoveryで設計効率化!~高速CAE解析のひみつ~)
今回はそのうちのGPUについて、NVIDIA社の「Quadro P4000」、「Quadro RTX 4000」、「NVIDIA RTX A4000」、「NVIDIA RTX A4500」で、GPUの性能の違いで計算速度や精度にどの程度の影響があるのか調べてみました。
■GPUの選定ポイント
GPUを選定する際にチェックすべきポイントは3つあります。
例 Quadro P4000
① アーキテクチャ
アーキテクチャが新しいほど、計算処理速度が速くなります。
【旧】Maxwell→Pascal→Turing【新】
② CUDAコア数
コア数が多いほど計算処理速度が速くなります。
③ GPUメモリ容量
容量が大きいほど、細かいソリューショングリッド(解析空間に配置する計算格子)を多く配置できるようになります。
今回比較したGPUの仕様は下の表のようになっています。
GPUの仕様 | ||
名称 | CUSAコア数 | GPUメモリ容量 |
Quadro P4000 | 1792 | 8GB GDDR5 |
Quadro RTX 4000 | 2304 | 8GB GDDR6 |
NVIDIA RTX A4000 | 6144 | 16GB GDDR6 |
NVIDIA RTX A4500 | 7168 | 20GB GDDR6 |
出典:NVIDIA |
■計算速度の比較
下の図はAnsys Discoveryの2022R1を使用して、それぞれのGPUで流体・伝熱・モード・静的構造の解析を行った時の計算速度を比較したものです。Quadro P4000を基準として計算速度が何倍になっているかを示しています。
いずれの解析タイプにおいても、Quadro P4000と最も速いNVIDIA RTX A4500では2倍程度の差があり、特に流体解析では2.6倍もの差がありました。
■Ansys Discoveryの計算精度とGPUメモリ
Ansys Discoveryの高速CAEにはソリューショングリッドを全自動で作成することが大きく関わっています。Ansys Discoveryでは、GPU の搭載メモリに応じて解析の精度を自動的に調整します。そのため、GPU の性能が高いほど良い結果が得られます。
また、手動でも解析精度を制御することができますが、GPUメモリ容量の違いにより、この精度制御のためのコントロールが変わることがあるため、注意が必要です。
もしAnsys Discoveryの導入を検討中、または導入済みでも計算速度・精度を高めたいという方は、GPUの性能にも着目してみてはいかがでしょう?
・IT-EXchange Ansys Discovery特設サイトは次のリンクから
・Ansys Discoveryを使って効率化を実現した3つ事例をご紹介
C&S ENGINEER VOICE Ansys Discovery記事一覧
著者紹介
SB C&S株式会社
C&S Engineer Voice運営事務局
最新の技術情報をお届けします!