一般的に熱応力をCAEで求めようとすると、伝熱解析→温度分布を構造解析のモデルにアタッチ→構造解析といった手順を踏みます。連成解析の設定や温度分布のインポート方法はソルバーやCAEソフトによって変わりますが、Ansys Discoveryではどうすれば良いのでしょう?
今回はAnsys Discoveryで熱応力解析を行う方法をご紹介したいと思います。
まずは使用するモデルを見ていきましょう。
このモデルは「Ansys Discoveryは構造解析だけじゃない(後編)」で使用した基板モデルの四隅に"プル"と"スケッチ"の機能を使用して直径6㎜の穴をあけたものです。
"プル"と"スケッチ"については、こちらの記事でご紹介しています。 プル機能:形状検討はAnsys Discoveryで!~プル機能とフィル機能~ スケッチ機能:形状検討はAnsys Discoveryで!~スケッチ機能のご紹介~ |
ICチップの熱量や放熱条件も以前と同じ設定になっています。
今回は作成した四隅の穴の境界条件など熱応力解析に必要な条件(固定条件・材料特性)を変更しました。
それぞれの設定内容は以下のようになっています。
ヒートシンク | 基盤 | ICチップ類 | コンデンサ | |
ヤング率 【GPa】 |
69 | 30 | 3 | 200 |
ポアソン比 | 0.33 | 0.17 | 0.27 | 0.25 |
熱伝導率 【W/m・K】 |
60.5 | 1.5 | 1 | 5 |
熱膨張係数 【10-5/℃】 |
2.28 | 1.4 | 0.39 | 0.9 |
固定条件の設定の様子はこちらです。
設定はこれで完了です。
解析ボタンをクリックすると・・・
こちらは温度の結果です。
他の結果を見るためメニューを開いてみると・・・
選択できる項目が伝熱解析+構造解析のものになっています。
試しにミーゼス応力の結果を確認してみると・・・
固定された穴の周りや部品同士の接着面付近に応力が発生しているのがわかります。
今回は変位や力の境界条件は設定していないため、熱膨張による応力であることがわかります。伝熱-構造の連成解析が自動で出来てしまったのです。
解析の種類やステップ数の指定、温度分布のアタッチ、境界条件の割り当てetc.・・・
Ansys Discoveryでは連成解析であっても最低限の条件を設定して解析ボタンをクリックするだけで簡単に解析ができるのです。
Ansys Discoveryに少しでも興味が湧きましたらSB C&Sまでお問い合わせください。
※使用したモデルのダウンロードはこちらから
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・Ansys Discoveryを使って効率化を実現した3つ事例をご紹介
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SB C&S株式会社
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