今回はAnsys Discoveryのトポロジー最適化機能における目的関数等の設定項目についてご紹介します。
目的関数とは「トポロジー最適化において達成させる要件」のことを表し、剛性の最大化・固有振動数の最大化・特定の固有振動数をもつ形状等、どういった要件に沿った形状を作成するのかという方針になります。Ansys Discoveryのトポロジー最適化機能でパーツの軽量化に挑戦!の記事においては剛性の最大化を目的関数として設定しました。Ansys Discoveryではそれ以外にも様々な目的関数を設定することができます。今回はAnsys Discoveryで設定できる目的関数やオプションをご紹介し、目的関数によって得られる形状の違いを見てみます。
Ansys Discoveryのトポロジー最適化機能でパーツの軽量化に挑戦!の記事と同様のブラケットでトポロジー最適化を実施します。今回は元形状から体積を55%減らすことを制約条件として、剛性が最大となる形状・最大の固有振動数を得られる形状を求めてみます。
構造解析・固有値解析の設定を完了後、トポロジー最適化に関する設定を行います。
『シミュレーション』タブ⇒『解析関連』⇒『トポロジー最適化』を選択後、『体積の削減率』を55%として元のブラケット体積から減らす体積の割合を制約条件として設定します。続いて目的関数を設定します。目的関数は以下のものがあり、各解析を複数回実施して目的関数に沿った形状を見つけます。今回は目的関数を『剛性の最大化』・『固有振動数を最大化』とした2つのケースで計算を行います。また体積を減らすという「制約条件」、剛性の最大化等の「目的関数」の設定以外にも、『製造制約』というものも設定できます。製造制約とは、トポロジー最適化において残すべき材料の厚みの設定・金型を用いた製造・フライス加工による製造・3Dプリンティングによる製造時に考慮したい項目であり、以下のような設定が可能です。今回は製造制約を与えないものとします。 設定が完了したのでトポロジー最適化を実施します。『剛性の最大化』では構造解析を、『固有振動数を最大化』では固有値解析が繰り返し実行され、不要な材料が削られていることが確認できます!
(※分かりやすさのため動画速度を変更しています)
↓『剛性の最大化』
↓『固有振動数を最大化』
それでは各トポロジー最適化の結果を見てみましょう。
目的関数が『剛性の最大化』の場合はAnsys Discoveryのトポロジー最適化機能でパーツの軽量化に挑戦!の時と同様、曲面を持つ有機的な形状をしています。
目的関数が『固有振動数の最大化』の場合は、元形状から全体的に材料が薄くなっています。材料を薄くすることで質量を減らし、固有振動数を上げる狙いがあるように見えます。
トポロジー最適化は目的関数・境界条件の違いによって得られる形状が大きく変化することが分かりました。また製造条件も加味できるため、それぞれの製造方法に適した形状にも合わせることができます。このようにAnsys Discoveryのトポロジー最適化機能は様々な設定を行うことができ有用性が高いです。高速解析で目的の性能に沿った形状・作りやすい形状を模索してみるのはいかがでしょうか。
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