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Office 2024とMicrosoft 365 Appsの違い

Microsoft 365
    2024.09.20

    みなさんこんにちは。SB C&Sで技術支援を担当している萩原です。

    Microsoft Office 2024 LTSC(以下 Office 2024)の発売がまもなくに控えてきました。またWindows 10のサポート期間も残り僅かとなり、PCのリプレースと共にオフィスアプリケーションを、Microsoft 365とOffice 2024のどちらにするのが良いかの相談を頂く機会が増えてきました。本日は、改めてOffice 2024 LTSCとMicrosoft 365 Appsの違いを見ていきたいと思います。

    Microsoft 365 AppsとOffice 2024 LTSCの違い

    まずは、大きな違いを表にまとめてみました。

    特長 Microsoft 365 Apps Office 2024 LTSC
    リリース 最新チャネル・月次・半期チャネルとあり、定期的なアップデートが提供される
    (定期的な新機能が提供される)
    セキュリティアップデート以外のアップデートは提供されない
    (新機能は提供されない)
    アクティベーション 定期的なインターネット接続によるアクティベーションが必要(Entra IDによるサインインが必要) MAK/KMSによるオフラインアクティベーション
    ライセンスカウント ユーザーカウント デバイスカウント
    エディション
    • Pro Plus
    • Pro Plus
    • Standard
    • Home & Business
    サポート期間 サブスクリプション契約がある限り 発売から5年間
    請求方法 月額/年額払い 一括払い(買い切り)
    利用環境 一般的なオフィス業務 医療機関などアプリケーションの機能変更が許されない環境

    Microsoft 365とOffice LTSCは、サブスクリプションか買い切りかの購入方法にフォーカスされることが多いですが、利用できる機能の違いがあるというのが、最も大きな違いと思います。

    Office 2024が適切な環境とは

    Office 2024を利用するのに適した環境とは、どのような環境でしょうかOffice LTSCのリリースの目的と照らし合わせて考えてみます。

    特定のコア業務(情報の取り扱いが厳しい環境)や、インターネットに接続できない環境

    公共・医療・製造業などで、個人情報や機微な情報を取り扱う場合、PCがインターネットに接続されてないケースが多くあります。このような業務の場合、メインの業務が専用のアプリケーションで稼動し、そのアプリケーションから出力されたデータの編集などOfficeアプリケーションはサブとして稼働する場合が多いように見受けられます。このような環境の場合、直接的なメイン業務は、業務アプリケーションであり、WordやExcelなどでメイン業務を行わないため、Microsoft 365の新機能の利用するケースは少ないように思われます。そういった場合には、Office 2024の利用が適切と考えられます。
    一方、記載した業種の中でも、一般事務系の業務があると思われます。こういった一般事務の業務では、Microsoft 365を利用することで、Copilot利用による業務効率化や他のMicrosoft 365の機能と相互に連携することで、一連の業務を自動化や省力化が期待できます。
    業種にとらわれず、業務内容や環境に応じて、Office 2024が適切なのか、Microsoft 365が適切なのかを検討する必要があります。

    1台のPCを複数人で共有し利用する業務

    シフト勤務や人材派遣会社など短時間で多くの社員が入れ替わる職場において、Microsoft 365は、ユーザーカウントのためPCを利用するメンバー全員のライセンスを用意する必要があります。PC1台に対して利用するユーザーが不特定多数の場合は、デバイスカウントで利用できるOffice 2024の方がコスト的なメリットがあると考えられます。ただし、共有端末がある場合、全てにおいてOffice 2024が望ましいわけではありません。たとえば飲食店などで店舗に1台だけPCが置かれており、本社への情報共有や発注業務などにExcelを使う場合、PCを使う人が店長と副店長だけであれば、その2名分だけをMicrosoft 365のライセンスを用意することで、コスト削減が可能です。また、Microsoft 365 Fシリーズを利用することで、日々入力するExcelシートなどをWeb上から入力可能にし、SharePoint Onlineのクラウド機能を利用し、本社・店舗での情報の相互交換を向上することが可能です。Microsoft 365であれば、デバイスもPCにとらわれず、タブレット端末やスマートフォンでも利用可能ですので、場所が固定されずに業務ができるようになります。

    Office 2024での変更点

    Publisherの非提供

    Office LTSC 2021からの変更点としては、Publisherが提供されなくなる点です。Publisherは、2026年10月にサポートが終了することに伴い、Office 2024には、同梱されません。

    Active Xの既定無効化

    新しい Office 2024 以降、ActiveX オブジェクトの既定の構成設定は、[ 最小限の制限 ですべてのコントロールを有効にする前に確認する] から [通知なしですべてのコントロールを無効にする] に変更されます。この変更は、PCにインストールするOffice Appアプリケーションの Word、Excel、PowerPoint、Visio に適用されます。

    (参考)ActiveX will be disabled by default in Microsoft Office 2024
    https://admin.microsoft.com/Adminportal/Home?#/MessageCenter/:/messages/MC884011

    まとめ

    自治体など予算で動く組織の場合、買い切り版のOffice 2024を好まれるケースを見受けますが、Office 2024は、機能の追加/更新が行われないため、文章作成などを多く行う自治体業務で考えると業務効率化の観点からみてもMicrosoft 365が適切なケースもあるかと思います。機微な情報を取り扱う環境でインターネットへの接続が一切許されない環境や、Word,Excelなどの新機能が含まれることが許されない環境においては、Office 2024の利用に適しているかと思います。ただし、Office 2024は、発売されてから5年間のサポート提供となります。Office 2024の発売開始後半年経ってからPCと共にOffice 2024を調達した場合、Office 2024がサポートされる期間は、4年半となり、購入後から5年間のサポートを受けることができません。5年償却・リプレースサイクルで考えている環境においては、Officeアプリケーションのサポート期限切れ期間が発生してしまうことにも注意が必要です。

    自治体でのMicrsoft 365利用の際は、以下もご覧下さい。

    著者紹介

    SB C&S株式会社
    ICT事業本部 技術本部 第3技術部 2課
    萩原 隆博 - Takahiro Hagiwara - (Nutanix NTC)

    HCIを中心とした仮想化とMicrosoft 365のプリセールスエンジニアを担当しています。
    Nutanix Technology Champion 2018-2024