
みなさんこんにちは。
AI を使っていく中で、自分だけのカスタマイズされた AI を使いたいと考えたことはございませんか?
そのようなお客様に向けて、自分で AI をカスタマイズできる Copilot Studio についてご紹介したいと思います。
Copilot Studio とは
Copilot Studio は、エージェントと呼ばれるユーザー独自のカスタマイズされた AI チャットを簡単に作成できるローコードツールです。
Power Platform に含まれる Power Virtual Agents というチャットボット作成ツールが AI の機能を拡張して統合されたものになります。
Copilot Studio の特徴的な点は Power Platform で利用できるようなコネクタや、構築済みプラグインを利用して他のデータソースに接続することも可能であるところです。
状況によって Power Automate フローを呼び出したり、AI のカスタマイズへ変数や PowerFx 関数を使うことができる点などもあり拡張性が非常に高いツールとなっています。
Copilot Studio でエージェント作成
実際に Copilot Studio でエージェントを作成する手順を見ていきましょう。
今回は特定の用途を想定した簡易的なエージェントを作成してみます。
今回作成するエージェントは、「AI へのプロンプトをコーチングしてくれるエージェント」とします。
エージェントはテンプレートを使用して開始することもできますが、今回は一から作成していきます。
「新しいエージェント」をクリックして進めていきます。
エージェントの作成画面では、3つの入力項目があります。
「名前」は、エージェントへの適切な名前を設定します。
「説明」は、エージェントの対象者や役割について設定します。
エージェントは「説明」を理解することができません。この箇所に動作などを指示しても適用されないことに注意が必要です。
「指示」は、エージェントへのタスクや具体的な動作を設定します。
エージェントの振る舞いの大半は、この「指示」に記載された内容となります。
エージェントへは「ナレッジ」を追加することもできます。
「ナレッジ」はエージェントが学習に使用するデータやファイルなどのリソースのことを指します。
具体的には、Sharepoint や WEB サイトのリンク、実際のファイルなど様々のものをリソースとして使用することができます。
今回は各要素について下記のように記載しました。
「名前」
プロンプト コーチング エージェント
「説明」
プロンプトのコーチングをします。
「指示」
あなたは AI へ指示するためのプロンプトをコーチングします。
入力された内容をもとにして、ユーザーがプロンプトを作成する補助をしてください。
出力する形式は以下の形にしてください。
前提・役割#
ゴール・タスク(最終的な成果物)#
追加情報(成果物を得るために追加するべき情報など)#
各項目が入力できたら「作成」を押して進めます。
作成が完了するとエージェントの「概要」画面へ遷移します。
エージェントは7個のタブをもっています。
それぞれの簡単な概要を説明します。
「概要」
エージェントの説明や指示など幅広い項目の設定を行えます。
「サポート情報」
外部からファイルを取り込むためのナレッジの管理を行えます。
「トピック」
会話のテーマに応じた処理の設定を行えます。
「アクション」
特定のタスクや操作を実行するための設定を行えます。
「活動」
エージェントの動作を視覚的に確認することができます。
「分析」
ユーザー数、エンゲージメント、顧客満足度などの指標を追跡できます。
「チャネル」
エージェントがどこで公開されるかを管理できます。
公開先には Teams や Web サイトなど、幅広い選択肢があります。
早速、作成したエージェントをテストしていきましょう。
画面右側でプロンプトを入力してエージェントをテストできます。
まずは期待通りの結果が出力されるか以下のプロンプトで試してみます。
「プロンプト」
東京で AI イベントを行う企画書を作成して
プロンプトに対して生成された結果は以下です。
出力形式など事前に「指示」した形式で出力されていますね。
「出力結果」
前提・役割#
あなたは、東京で AI イベントを企画するイベントプランナーです。
イベントの目的は、AI 技術の最新動向を紹介し、業界の専門家や愛好者が交流する場を提供することです。
ゴール・タスク(最終的な成果物)#
東京で開催する AI イベントの企画書を作成すること。
企画書には、イベントの概要、目的、ターゲットオーディエンス、スケジュール、予算、会場、スポンサーシップ、マーケティング戦略などが含まれます。
追加情報(成果物を得るために追加するべき情報など)#
1. イベントの具体的な日時と場所
2. 参加者のターゲット層(例: 企業の技術者、研究者、学生、一般の AI 愛好者など)
3. イベントの主な内容(例: 講演、ワークショップ、パネルディスカッション、展示ブースなど)
4. 予算の詳細(例: 会場費、講師の謝礼、マーケティング費用、運営費など)
5. スポンサーシップの提案内容と見込みスポンサー
6. マーケティングおよびプロモーション戦略(例: SNS、メールマーケティング、プレスリリースなど)
7. イベントの成功を測るための指標(例: 参加者数、アンケート結果、メディア露出など)
現在の「指示」では抽象的な内容についてしか回答できません。
「指示」を編集して、具体的なプロンプトが入力された際にアドバイスできるように改良していきます。
以下のようなプロンプトにしました。
「プロンプト」
あなたは AI へ指示するためのプロンプトをコーチングします。
入力された内容をもとにして、ユーザーがプロンプトを作成する補助をしてください。
回答には以下の2つのパターンのどちらかを用いてください。
1. 入力が情報量が少ない抽象的な表現だった場合出力する形式は以下の形にしてください。
前提・役割#
ゴール・タスク(最終的な成果物)#
追加情報(成果物を得るために追加するべき情報など)#
2. 入力が具体的なプロンプトだった場合出力する形式は以下の形にしてください。
回答にはプロンプトがよりよくなるための具体的なアドバイスを含めてください。
実行した際に考えられる結果#
具体的なアドバイス#
編集が完了したら、「保存」を教えて編集を終了します。
余談ですが「指示」へは変数や、PowerFx 関数を挿入することができます。
ユーザーが入力したプロンプト内容によって、Power Automate フローを呼出すなど拡張性の高い処理を行わせることが可能です。
改良したエージェントをテストしてみましょう。
先ほどの出力結果をもとに具体的なプロンプトをエージェントへ入力してみます。
「プロンプト」
前提・役割# あなたは、東京で AI イベントを企画するイベントプランナーです。
イベントの目的は、AI 技術の最新動向を紹介し、業界の専門家や愛好者が交流する場を提供することです。
ゴール・タスク (最終的な成果物)# 東京で開催する AI イベントの企画書を作成すること。
企画書には、イベントの概要、目的、ターゲットオーディエンス、スケジュール、予算、会場、スポンサーシップ、マーケティング戦略などが含まれます。
追加情報(成果物を得るために追加するべき情報など)#
1. イベントの具体的な日時と場所: 2025/7/1-2025/7/5 ポートシティ竹芝オフィスタワー30F
2. 参加者のターゲット層: 企業の技術者、研究者
3. イベントの主な内容: 講演、ワークショップ、パネルディスカッション、展示ブース
4. 予算の詳細: 総額1億円、会場費、講師の謝礼、マーケティング費用、運営費などを含む
5. スポンサーシップの提案内容と見込みスポンサー: SBC&S (スポンサー)
6. マーケティングおよびプロモーション戦略: SNS、メールマーケティング、プレスリリース
7. イベントの成功を測るための指標: 参加者数、アンケート結果
出力結果をみてみましょう。
具体的なプロンプトを与えたので、改良後の2番目のプロンプトが適用されていますね。
このようにエージェントの動作をパターンで指定することもできます。
「出力結果」
実行した際に考えられる結果#
提供された情報をもとに、AI イベントの企画書を作成することができますが、
さらに詳細な情報があると、より具体的で実行可能な企画書が作成できます。
具体的なアドバイス#
以下の追加情報を提供すると、企画書がより充実したものになります
1. イベントのテーマ: イベント全体のテーマやサブテーマを明確にすることで、参加者や講演者の興味を引きやすくなります。
2. 講演者やパネリストのリスト: 具体的な講演者やパネリストの候補を挙げると、企画書の説得力が増します。
3. 詳細なスケジュール: 各セッションの時間割や内容を具体的に示すと、イベントの流れがわかりやすくなります。
4. マーケティングプラン: どのようにしてターゲットオーディエンスにリーチするか、具体的なマーケティング戦略を示すと良いでしょう。
5. リスク管理計画: イベントが中止や延期になった場合の対応策や、予期せぬトラブルへの対策を考えておくと安心です。
6. 参加者のエンゲージメントプラン: 参加者がどのようにイベントに参加し、どのようにエンゲージメントを高めるかのプランを考えると良いでしょう。
いかがでしたでしょうか?
Copilot はプロンプトの書き方で動作が大きく変わるため、
自分が求める回答にもっとも近い回答をしてくれるように改良を重ねていくと、
自分だけの Copilot を作成することができます。
「ナレッジ」などのデータソースを追加することによって、
特定の分野の回答に特化させた Copilot を作成することも可能です。
ぜひ Copilot Studio を使って自分が思い描く Copilot を作成してみてください。
まとめ
本記事では Copilot Studio の活用についてお伝えしました。
Copilot Studio を活用することによって、自身の業務に特化した Copilot を作成することができ、日常業務の効率化を図ることが可能です。
現時点ではプレビューになっている機能もありますが、今後のアップデートでさらに機能が充実していく予定です。
Copilot Studio について、これから他の解説記事も投稿していきますので、ぜひご一読頂けますと幸いです。
お読みいただきありがとうございました。
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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第1技術部 4課
中澤 陽斗