
2026年9月に開催されたSplunk .conf26に参加する機会をいただきましたので、現地の様子をレポートします。
普段Cisco製品を主に触っていますが、Splunkの海外イベントは初めての参加となります。
開催場所はコロラド州デンバーのコロラドコンベンションセンターです。
デンバーの第1印象としては、宿泊したホテルのエレベーターが各階を通過する際にピーピー音がして怖かったことです。
今回のブログは9/14(月)に行われた基調講演となる「Powering the Rise of the Agentic Enterprise」のレポートとなります。
本セッションは主に4つの構成となっておりましたので順にレポートさせて頂きます。
①Kamal Hathiによる.conf26のオープニングトーク
②Jeetu PatelによるAgentic AI時代の変化について
③Katie Brownによるライブデモ
④協賛メーカーとの対談セッション(NVIDIA/Intel/AWS)
①Kamal Hathiによる.conf26のオープニングトーク

CiscoのSVP/GMのKamal Hathi氏によるセッションです。
この1年間でAIを取り巻く環境が非常に速く変化したことを振り返り、Splunk自身も、
「イノベーションをどう顧客にとってより有用なものにするか」
「AIにおける信頼をどう考えるか」
を再構築してきたと説明していました。
今回の.conf26では、単なる製品紹介ではなく、「AI時代に企業がどう変化についていくのか」を学ぶ場であることが強調されていました。
本講演は概要や全体感の話となり、翌朝(9/15)のProduct Keynoteではより具体的な製品・機能を紹介するとの予告がありました。
②Jeetu PatelによるAgentic AI時代の変化について

CiscoのPresident & Chief Product OfficerのJeetu Patel氏によるセッションです。
本講演のメインパートとなっており、大きく2つの話をされていました。
Agentic AI時代を考える4つの変化
AIがChatbot → Agentへ移行したことで、AIを単なる「ツール」として考えるべきではなく、「Digital Coworker(デジタルな同僚)」として考えるべきだと言っていました。
そのうえで以下の大きく4つに分けてAgentic AI時代の変化について述べていました。
1.Inference = New Workload
Chatbotは人間が質問した時だけ動くため負荷が断続的だったのに対して、Agentは24×7で稼働し、別のAgentにも仕事を発生させるため、推論が継続的で大規模なワークロードになり、さらにAgentのToken消費が人間を上回ったことや、AI Computeの約60%がトレーニングではなく推論に使われるとの予測も紹介していました。
さらにAgentはCloudだけでなくOn-premやDesk-sideにも分散していくと説明しています。
(Jeetu氏は、OpenClaw登場時にMac miniが売り切れたというエピソードも紹介していました)
Agentは同じ仕事をする人間と比較して約450%多くネットワーク帯域を消費するという数字も紹介しています。
2.Agents = New Workforce
JeetuはAI Agentを「Teenager(10代の子供)」に例えていました。
非常に賢いが結果を恐れず、時として判断を誤るためAI Agentを完全に放置してはいけないという主張でした。
Agentの行動を常時Observabilityで監視し、Behavior Drift(行動の逸脱)が発生したらリアルタイムで検知・介入する必要があるとしています。
3.Tokens = New Currency
Agent同士が継続的にやり取りすることでTokenが消費されコストが急増します。
そのためTokenの使用量やコストを可視化・制御する必要があります。
また、すべてを高価なFrontier Modelへ送るのではなく、Open Source/Open Weight ModelへルーティングすることでToken単価を下げる方向性にも言及していました。
4.Control = New Moat
Agentを可視化・制御できることの重要性をこの後のCisco/Splunkの戦略につなげていました。
Cisco+Splunkが狙う3つの領域
ここからCisco/Splunkの製品戦略へ入ります。
提示した柱は大きく3つです。
1.Observability for AI
従来のアプリケーションやインフラの監視だけではなく、AIインフラ/モデル/ランタイムアプリケーション/AI AgentまでをObservability対象にします。
特に重要なのが、
Agent Behavior(ふるまい)の監視
Token使用量
コスト
パフォーマンス
と説明していました。
異常なAgentがTokenを大量消費した場合には、そのAgentを隔離する、といった考え方まで提示されていました。
2.Agentic SOC
攻撃側もAI Agentを利用する時代になるため、マシンスピードの攻撃を人間の対応だけで防御することはできないという考えです。
現在のSOCでは大量のアラートの一部しか人間が調査できません。
そこでAI Agentが、
Triage(優先度付け) → Investigation(調査) → Response(応答) → Remediation(修復)
を担当し、人間は重要な判断に集中します。
これがAgentic SOCです。
3.Cisco Data Fabric
ネットワーク/ セキュリティ/ アプリケーション/ インフラなどに分散しているテレメトリーを相関分析します。
「すべてのデータをSplunkにコピーする」ことを前提とせず、データ量・コストの課題にも対応しながら、分散したデータを横断的に活用する方向性が示されていました。
③Katie Brownによるライブデモ

架空の企業を模したライブデモが展開されました。
印象的だったのはSplunkのコンソールではなく、すべてCisco Cloud Controlにてデモを実行していた点です。

1.AI Engineerによるインシデント
最初はAI Engineerの立場としてCisco Cloud Controlを操作します。
Cisco Cloud ControlからAgent Observabilityを開き、
Request数
Token utilization
Token usage
Cost trend
Performance
Agentの動作
などを確認していました。
そこでCritical Security Alertを発見し調査すると、AI Agentに対して悪意のあるプロンプトが入力され、機密情報を返してしまったことが分かりました。
2.SOC Analystによるインシデントの確認
次にSOC Analystの立場へ切り替えます。
Splunk Enterprise Security側を見ると、Agent ObservabilityからのAlertを受けてすでにInvestigationが自動作成されていました。
さらにAI Agentが事前に調査を行い、
侵害されたIdentity Sessionの無効化
漏洩したTokenのRotation
まで自動実行していました。
つまり人間のSOC Analystが確認した時点で、
検知 → 調査 → 封じ込め
まで進んでいることがデモで実現されていました。
3.Human-in-the-loop
ただしSplunkがすべてを勝手に実行するわけではありません。
他のAI Agentの振る舞いにも影響する可能性がある新しいControl Policyの適用については、人間の承認を要求します。
Katieが承認すると新しいControlが適用されました。
そして同じ攻撃をもう一度実行すると、「Blocked」となりました。
このデモで表現していたのは、
Agent Observability → Splunk ES → Agentic Investigation/Response → Human Approval → Control適用
という一連のサイクルでした。
④協賛メーカーとの対談セッション(NVIDIA/Intel/AWS)
最後に対談セッションを簡単に振り返ります。
NVIDIA(Justin Boitano)
AI Agentを企業で安全に活用するには、Agentの振る舞いを可視化するObservabilityとセキュリティが不可欠であることを強調していました。
あわせて「Splunk AI on Cisco Secure AI Factory with NVIDIA」が発表され、オンプレミスやPrivate Cloud、Air-gapped環境を含む展開について紹介されました。
Intel(Lip-Bu Tan)
AI Agentの普及によって推論需要が拡大し、GPUだけでなくCPUやメモリ、ネットワーク、電力を含めたAI Infrastructure全体が重要になるとの見方を紹介していました。
またLip-Bu Tan氏がSplunk/Ciscoが買収したGalileoの初期投資家だったというエピソードも語られました。
AWS(Rudra Mitra)
AI AgentによるTriage・Investigation・Mitigationと人間の判断を組み合わせたAgentic SOCについて紹介されていました。
Cisco AI Defense、Splunk Data Fabric、AWSのAI基盤を組み合わせ、安全なAI活用を支える協業の方向性を話していました。
まとめ
今回のKeynoteではAI Agentに関する話題が多かったと思います。
セキュリティの観点でAgentic SOCとしてのAgent利用や、Agentに対するObservabilityの話題など、改めてAI Agent時代に突入してきていると感じました。
またデモからも見て取れるように、Cisco Cloud ControlからSplunkを操作するという体感で、SplunkのCiscoへの統合が進んできていると感じました。
次回は9/15(火)に開催される基調講演の様子をレポート予定です。
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著者紹介
SB C&S株式会社
技術本部 第2技術統括部 第1技術部 1課
藤ノ木 俊
