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セールスセンター2024.05.31

マルウエアに感染したらどうなる?直近のマルウエアの挙動と傾向から考える対策の最適解

マルウエアに感染したらどうなる?直近のマルウエアの挙動と傾向から考える対策の最適解

シマンテックでは、製品を利用中・利用をご検討中のお客様向けに、役立つ情報を提供するオンラインセミナーを定期的に行っています。

今回は、「セキュリティよくある疑問スッキリ解消セミナー」より、マルウエアの傾向や感染後に起こること、およびその対策についてSB C&Sでセキュリティ製品の技術担当をされている宮澤さんから解説いただきます。

この記事を読むのにかかる時間:約10分

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目次

  1. 本日のテーマ
  2. よくある疑問①:マルウエアってなに?
  3. よくある疑問②:マルウエアに感染したらどうなるの?
  4. よくある疑問③:宮澤さんおすすめのマルウエア対策
  5. 本⽇のまとめ

本日のテーマ

岸野岸野

今回は「マルウエアに感染したら?」というテーマでお話を進められたらと思います。私たちの立場では製品を紹介するときに、感染した場合にどうするかという話をするのですが、実際に感染したことがないという方もいらっしゃいますよね。

石塚石塚

はい、今回はSB C&S技術担当の宮澤さんよりお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

宮澤宮澤

よろしくお願いします。

石塚石塚

それでは、本日のテーマはこちらです。

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よくある疑問①:マルウエアってなに?

岸野岸野

マルウエアといえば、昔は「ウイルス」と言われていたと思うのですが、最近は表現が「マルウエア」に変わってきているように思います。まず、このあたりの定義からまずは伺えますか?

宮澤宮澤

マルウエアについてですが、端的に言うと、マルウエア=Malicious Software、つまり悪意のあるソフトウエアあるいはコードです。

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宮澤宮澤

そのため、使う状況により、ウイルスだけでなくワームやトロイの木馬(以下「トロイ」)を指す場合があります。情報を人質に取るランサムウエアや、恐怖心をあおってマルウエアをダウンロードさせるスケアウエアも含みます。

岸野岸野

なるほど。つまり、悪いことをするソフトウエア全般を指してマルウエアと呼ぶわけですね。

宮澤宮澤

はい、そのように理解していただければと思います。では、それぞれのマルウエアの特徴について抜粋してご紹介します。

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宮澤宮澤

ウイルスは、端末内のファイルにコードを追記する寄生型のもので、その他のワームやトロイはexeファイルなどとして単体で存在できるものです。こうした違いから、感染力や潜伏性、つまり検出のしにくさに違いが出てきます。

石塚石塚

なるほど。いつからウイルスなどプログラムがマルウエアと言われるようになったのでしょうか?

宮澤宮澤

1970年代からMS-DOSなどOS上で動作するウイルスが存在しております。当時は不正コピー防止の注意喚起やいたずら目的のジョーク的なものでしたが、次第に悪用できるということが広まり、感染力の強いワームによるデータの破壊や、ステルス性を高めたトロイなどの種類が体系化されていきました。次第に、こうした悪意を持って利用されるソフトウエアやプログラムをマルウエアと呼ぶようになりました。今、企業にとって脅威となっているランサムウエアなどはトロイやワームの特徴を兼ね備えています。

石塚石塚

なるほど。こうしたいきさつがあったのですね。

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よくある疑問②:マルウエアに感染したらどうなるの?

石塚石塚

実際にマルウエアに感染してしまった場合はどのようになるのでしょうか?

宮澤宮澤

まず直近のマルウエア動向からお話しさせてください。近年話題になったものでEmotetというメールなどから感染し情報を窃取するものがございました。直近では、PhemedroneというWeb経由で感染して情報を窃取するマルウエアが話題になっています。

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宮澤宮澤

PhemedroneはWindowsの脆弱性を利用してセキュリティを回避し、侵入後に情報を窃取するマルウエアです。外部にあらかじめ用意されている攻撃者のサーバ(C2サーバ)と通信して、ランサムウエアなどの別のマルウエアをダウンロードします。Emotetは話題になることも多く、Emotet対策ができているかという話になりがちですが、危険なマルウエアはEmotetだけではないということも覚えておいてください。

岸野岸野

こういった情報はセキュリティ会社が発信してくれていると思うのですが、実際には抑えるのは大変じゃないですか?

宮澤宮澤

そうですね。しかし、この場合なら「Windowsの脆弱性が利用されている攻撃が増えている」ということを把握することが対策の第一歩になります。まずはそこからですね。

石塚石塚

ありがとうございます。マルウエアといえばランサムウエアを連想しますが、ランサムウエアの最近の状況はどのようになっているのでしょうか。

宮澤宮澤

こちらはランサムウエアの推移を表したグラフなのですが、右肩上がりといった状況ですね。

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岸野岸野

それでも、おそらく公表した企業についての集計だと思いますので、氷山の一角といったものですかね?

宮澤宮澤

そうですね。まだまだ見えていないものがある可能性が高いですね。

岸野岸野

なるほど。引き続きランサムウエアによる攻撃は多いので注意ということですね。ところで、実際にランサムウエアに感染してしまうとどのようになってしまうのですか?

宮澤宮澤

では、実際の被害の状況について事例から解説していきます。

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宮澤宮澤

某港運協会の事例では、LockBitというランサムウエアによって重要なターミナルシステムが停止し損害が発生してしまいました。某大学機構では、ファイアウォール、つまりネットワーク機器の設定不備によりランサムウエアに感染し、ネットワーク内の端末の権限情報などを扱っているAD(Active Directory)サーバーが暗号化されてしまい、学生と職員の個人情報が流出してしまいました。

岸野岸野

なるほど。

宮澤宮澤

損害は身代金が注目されがちですが、払わなくても業務が停止することで数千万から数億円単位の被害が出てしまいます。米国など海外では4000万ドル(約60億円)とかなり大規模な数字になった事例もありますし、情報漏えいやステークホルダーへ不信感を与えてしまうなど、看過できないダメージになることもあります。

石塚石塚

お金だけでなく、情報漏えいなども含めると広範囲に影響があるのですね。一回の感染で大きな被害をもたらすマルウエアは、どのように企業や組織に入ってくるのでしょうか。

宮澤宮澤

ウイルスやワームやトロイはWebアクセスやファイル共有ソフトなどでのP2Pネットワークでの通信、外部記録媒体の接続により感染するケースがあります。被害の内容は多岐にわたりますが、企業のダメージという観点では情報の窃取やデータ送信などがトピックになりやすいです。URLや攻撃コードをパターンマッチで検出できるようなものも多いですが、短縮URLなどを使って偽造している場合もあります。

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宮澤宮澤

また、侵入時には攻撃コードやURLを持たず、侵入後に自分を構築してPhemedroneのように悪質な行為をするものもありますので十分に注意してください。

岸野岸野

こちらは「比較的よく知られているもの」とのことですが、これとは別の「最近知られているもの」みたいなのもありますか?

宮澤宮澤

はい。最近先鋭化が進んでいるものですね。最近被害が増えているランサムウエアの主な感染経路はこのようになっています。

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宮澤宮澤

まずフィッシングメールやネットワーク機器の脆弱性などをつき、攻撃者によるEmotetやQakBotへの感染の試みが行われます。これらに感染し検出できない場合、マルウエアが端末の権限設定やセキュリティポリシーを変更してバックドア(※)を作成します。

※悪意のある目的で外部からアクセスするための手順や経路。

こうした手順の中でWindows標準ツールのマクロやPowershellを使って武器を現地調達していくのですが、これらをプレマルウエアと呼びます。これによってバックドアが作成され、攻撃者の用意しているC2サーバー(※)との通信と攻撃の実行を行いまして、端末にあるアドレス帳などから情報を読み込んでフィッシングメールを拡散したり、ランサムウエアのダウンロードやADサーバー(※)への横展開を行ったりといった攻撃が行われています。PCが感染してしまった場合、攻撃者がADサーバーを探索して社内ネットワーク内のさまざまな経営情報を窃取できてしまいます。近年の攻撃は侵入後にはじめて攻撃に変化することが多く、検出の難易度が高くなっているという状況です。

※C2サーバー:攻撃者がマルウエアに感染した端末と通信するためのサーバー。
※ADサーバー:認証情報やアクセス権限を管理するためのサーバー。

岸野岸野

なるほど。外部と通信するためのバックドアを作られていることもあれば、マルウエアが入ってきたことで作られる場合もあると。それで攻撃をどんどん仕掛けられてしまうのですね。また、それがパターン検査ではみつけにくいと。

宮澤宮澤

はい。侵入段階では無害なフリをしながら、侵入後にバックドアを作ったり攻撃的なものをダウンロードしていたりするため、パターン検査だけでは対応できないというのが1つのポイントですね。

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岸野岸野

一見いい人に見えるけど、実は…、みたいなやつですね。一番気を付けるべきタイプだ(笑)。

宮澤宮澤

ははは。さて、こちらが実際にランサムウエアに感染した場合の映像です。内容はやや古いものですが、WannaCryというランサムウエアの挙動についての動画です。

【IPAチャンネルのこちらの動画を埋め込んでください】
https://www.youtube.com/watch?v=duN9dYG4q3s

左側のPC1では手動でWannaCryを実行していますが、右側のPC2ではSMBというプロトコルの脆弱性を利用されて、ほぼ自動で実行されています。見るとわかるように、あっという間に感染して拡大してしまう。これがたった1つの脆弱性によってもたらされるかもしれないのです。結果的に、かなりの範囲に被害が出てしまうことがわかりますね。

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よくある疑問③:宮澤さんおすすめのマルウエア対策

岸野岸野

このWannaCryも、先ほど話題に上がったEmotetやPhemedroneなども、しっかり対策していないと業務が止まったり身代金が請求されてしまうかと思います。こうした攻撃に対する対策についてご紹介いただけますか?

宮澤宮澤

はい、ではこちらをご覧ください。対策について、「事前対策」と「もしもの時に」という軸で分けております。

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  • 【事前対策】リテラシーの向上
    • 研修の受講や注意喚起
      • セキュリティ研修、社内のヒヤリハットの共有。
        無意識にやっていたことを意識させることが大事。
    • 最新の脅威情報の取得
      • セキュリティメーカーのレポートなどで最新の脅威対策や脆弱性情報などを取得。
  • 【事前対策】ITの公衆衛生(サイバーハイジーン)
    • ルールの設定/持続的な運用
      • PCにダウンロードしてもよいサイトについての規定、フリーツールダウンロードに関するルールの設定など。ツールの動作についても不要なものはシステム側で禁止するなど検討する。
    • パッチ更新/脆弱性対策
      • システム側の脆弱性や更新不備を突く侵入が直近の攻撃のトレンドであるため対策が重要。
      • パッチが更新されていない場合にアラートするようなシステム側の対策も必要。
  • 【もしもの時に】修復力(レジリエンス)
    • 被害拡大防止/攻撃遅延
      • ランサムウエアなどの攻撃キャンペーンが一度開始されると、被害が加速度的に拡大するため、侵入後に被害の拡大を防ぐ仕組みを作る。
      • 攻撃を遅らせる、EDRによる検知を確実にしていくなどの対策が重要。
    • 復旧への備え
      • 端末ごとのバックアップなどは比較的実装が進んでいる組織が多い。
      • ランサムウエアなどでは、攻撃者はバックアップへの攻撃も行っているため、バックアップも保護できるセキュリティ対策が必要。
岸野岸野

なるほど。わかりやすいですね。

宮澤宮澤

中でも特に今は、サイバーハイジーン、レジリエンスですね。この2つは人の心が担うため、どうしてもヒューマンエラーの危険性が出てきます。この人の脆弱性というべき部分への対策が、侵入後の対策とともにポイントと言えると思いますね。

石塚石塚

ありがとうございます。無害なフリをして入ってくることもあるから、侵入後の対策をしっかり準備するということ、そして人の脆弱性への対策が大事ということですね。

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石塚石塚

それでは、これらのポイントをカバーするために、シマンテック製品であればどの機能がそれに該当するでしょうか?

宮澤宮澤

ポイント①の「侵入後の振る舞い対策」につきましては、Symantec Endpoint Security(SES)で提供しているNGAVや、Symantec Endpoint Security Complete(SESC)で提供しているAdaptiveProtectionがございます。また、高精度のEDRは端末内の不審な挙動を捕捉して、他機能と連動して端末を保護してくれます。

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宮澤宮澤

ポイント②の「人の脆弱性」をカバーするものとしては、サービスで提供されている「脅威ハンティング」があります。機械学習やログのアナリストたちの分析によってユーザーが気付いていないような潜在的な脅威や脆弱性を見つけるサービスです。また、「ホストインテグリティ」機能は、パッチの当たっていない端末を検出して、遮断するというようなものです。「TDAD(Thread Defense for Active Directory)」は、脆弱性がある端末がネットワーク内にあり感染への対応が遅れた場合でもドメイン参加端末への被害を防ぐことができるようになっております。

岸野岸野

2つの対策のポイントについて、対策の立て方としては、いろんな製品を組み合わせて守るアプローチもあると思いますが、シマンテックの場合は上位版のSESCであれば両方のポイントを押さえつつ総合的にユーザーのセキュリティを強化できるということですね。

宮澤宮澤

そうですね。いろいろな製品を使ってしまうと、運用担当者がさまざまな製品を使う中でどうしてもセキュリティホールができてしまうことがありますので、オールインワンで多層防御できる、統一された隙の無い対策を実現していただけたらと思います。

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本⽇のまとめ

  • マルウエアとは「悪意のあるソフトウエア、またはコード」を意味する。
  • マルウエアに感染すると、業務の停止、身代金を要求されるなどの大きな被害が出る場合もある。
  • マルウエアに感染した場合、バックドアの作成や、C2サーバとの通信、ネットワーク内の端末へのアクセスなどが生じることがある。
  • マルウエアの検出はパターンマッチ(侵入前)と振る舞い検出(侵入後)があり、組み合わせて使うのが有効。
  • 近年は侵入前に検知できない攻撃が増えており、侵入後対策の重要性が高まっている。
  • 近年のマルウエア対策のポイントは「①侵入後の振る舞い対策」「②人の脆弱性への対策」が特に重要。
  • シマンテックのSESCなら上記ポイントを押さえつつ、オールインワンで多層防御を構築し、統一された隙の無い対策を実現できる。
須賀田 淳
記事監修
須賀田 淳
マーケティング
ICT商材のマーケティング歴20年。広告代理店で著名な外資系ITベンダーの支援を行った後、NTTDグループで自動車業界向けソフトウェアの拡販とユーザーコミュニティの育成を担当する。2020年からSBGに参画し、LINEを経てセキュリティ製品のマーケティングを行う。インタビューでの情報収集を好む。