DevOpsチームに必要なコンピテンシーとは?
こんにちは。ITプレナーズジャパン・アジアパシフィックの岡本宗之です。今回もテクノロジーやツールではなく、人材育成や組織開発という観点でDevOps Hubに寄稿しております。
本寄稿では、前回の記事の終盤で少し触れましたDASAコンピテンシーモデルについて、見ていきたいと思います。
DASAコンピテンシーモデルとは
あらゆる組織がDevOpsを導入・適用する、もしくは推進する際に必要な知識とスキルが体系立ててまとめられております。8つの知識エリアと4つのスキルエリアの計12項目から成り、各項目において5段階の成熟度が設けられております。
コンピテンシーモデルの特長
スキルエリア
スキルエリアはDevOpsカルチャーの基礎部分です。以下のそれぞれの項目には、各スキルエリアに習熟するために必要な事柄や性質を示しております。
1. 勇気(Courage)
エヴァンジェリズム、コーチング、自信、プロアクティブな活動、信頼、オープンな議論、実験、早く失敗することなど
2. チームビルディング(Team Building)
他者の視点の理解、コラボレーション、相互の説明責任、共通の目的、サービスやプロダクトを総合的にサポートする能力など
3. DevOpsリーダーシップ(DevOps Leadership)
チームのハイパフォーマンス化の推進、謙虚さ、サービスライフサイクルのマインドセット、利害関係者のマネジメントなど
4. 継続的改善(Continuous Improvement)
今日は昨日より良い仕事をするという意識、カイゼンのマインドセット、知識の共有、順応性など
知識エリア
8つの知識エリアは一枚岩として捉えることが重要です。これらのエリアでは組織は顧客にとって、それぞれ効果的である必要があります。
1. 事業価値最適化(Business Value Optimization)
実際に利用する側からの直接的なフィードバックを得る仕組み、サービスレベル管理、Doneの定義、ビジネス活動やパフォーマンスのモニタリングなど
2. 事業分析(Business Analysis)
機能要件、非機能要件、ビジネスプロセスの長期的な開発、データ分析、リファインメント(改良)など
3. アーキテクチャと設計(Architecture and Design)
ITサービスの全体的な設計、開発と現在の状況との間の適合を確実化する、パターンとスタイルなど
4. プログラミング(Programming)
ソフトウエア・エンジニアリングの習熟、Everything-as-code、データマネジメント
5. 継続的デリバリー(Continuous Delivery)
自動テスト、デプロイメントとリリースマネジメント、構成管理、バージョンコントロール、コンテナ化、ユーザ機能駆動型のデリバリーなど
6. テスト仕様(Test Specification)
テストケースの設計、テストコンセプト、テスト駆動開発など
7. インフラストラクチャ・エンジニアリング(Infrastructure Engineering)
技術的モニタリング、パフォーマンスマネジメント(負荷分散など)、キャパシティ管理、可用性管理、コンテナ化、信頼性工学など
8. セキュリティー、リスク、コンプライアンス(Security, Risk, and Compliance )
セキュリティー、サービスの継続計画など
上記に挙げた12のコンピテンシー全てを、一人で網羅できるようなスーパーマンを育成するのは非常に困難でしょう。しかし、組織内にいる個々の強みを活かして、バランスよく各項目を高めていくことはできるはずです。
その前提として、共通の目的を持ち、コミュニケーションのベースラインを合わせ、同じ方向を向いて仕事を進めることが重要です。チーム作り等で課題を抱えている方は、DevOpsの組織に必要な観点が体系立ててまとめられているDASAコンピテンシーモデルを参考することは価値があるかもしれません。
DASA Exchange
6月25日(月)東京・神田にて、DevOps導入の検討や更なる利活用を進めたい方々向けに無償のセッションを開催いたします。人材育成や体制構築、組織文化形成という切り口で、DevOpsに関してお悩みをお抱えの皆さまに最新トレンドやケーススタディをご紹介します。
この記事の著者:岡本宗之
代表取締役社長
メーカー系IT企業を経て、2011年にITプレナーズへ入社。
サービスマネジメント、プロジェクトマネジメント、ITガバナンスなどITのマネジメント領域に関わる人材育成に従事する。
最近ではDevOps/アジャイル/クラウド領域に関し、人材育成というアプローチで組織のIT利活用能力を引き上げるべく日々活動をしている。
IPAが策定するITSS+のアジャイル領域の検討メンバーでもある。
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