2017.09.12

現状の「見える化」から始めましょう

加藤学
SB C&S株式会社
テクニカルフェロー
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こんにちは、SB C&Sの加藤です。
前回はDevOpsを実践していくにあたってのシステム選定のお話をさせていただきました。

今回は、対象のシステムや人に対してどのようなアプローチでDevOpsを浸透させていくかに焦点を当てていきたいと思います。

見える化

現状をどのように効率化していくかという点では、まずどこに無駄があるのかを把握することが改善へのいちばんの近道だと考えています。アイデアや企画、要件がプログラムとして実装、テストされ本番提供されていく流れを「見える化」する1つの方法としてVSM(Value Stream Mapping)という視覚化方法をご紹介したいと思います。

VSMは、もともとはトヨタ生産方式という生産管理システムの一部として普及したものですが、ITへの応用という意味では、開発や運用のプロセスを可視化し、無駄を見つけることにより、付加価値を見出していく方法としても利用できます。関係者が集まって目的や無駄を共通認識し、それを排除することで価値(製品・サービス)を提供するまでのリードタイムを最小にしていくのです。こういった作業は1度実施すれば良いものでもなく、継続的に実施していくことで効果が最大化されます。

具体的な内容は、インターネット上に多くの素晴らしいユースケースが公開されていますが、いくつか紹介させていただきます。米マイクロソフト社が公開していますCallcredit社の技術ユースケースや、国内でもクリエーションライン社がJBCC社へ提供した例もあります。これらの事例は、VSMを実践していくにあたり、誰がどのように進めて行ったかを写真付きで大変わかりやすく解説しておりますので、まずはご覧になってVSMのイメージを持っていただけると良いかと思います。

見えてくる無駄

見える化した無駄は、一般的に、開発手法そのものに関するモノから、コミュニケーション遅延、承認処理やレビュー、スーパーマンへの負荷の偏りなどの組織/チームの課題、インフラ側では手動によるデプロイや構成管理による時間のロスなど様々な課題が挙げられます。これら全てを一気にやろうと思っても上手くいかないのは皆さんの想像に難しくないと思いますが、改善するためのポイントを大別してまとめると以下になるかと考えています。
DevOpsにおいては、こういった改善ポイントの中からできる部分を継続的に実践していくことが重要なことであると我々は考えています。

  • 組織/チーム変革
  • 承認プロセスの見直し
  • アジャイル文化の浸透
  • 自動テストへの取り組み
  • インフラの自動化
  • 柔軟なインフラの採用

アジャイル開発の実践や組織改革という意味では、以前DevOps Hubでも取り上げさせていただきましたGrapecityさまの事例を参考にしてください。リードタイムを短縮することにより、結果的に顧客満足度が上がっていたというとても良い例です。また、コウェルさまの事例ではアジャイル文化の浸透もさることながら、テストの自動化、CI/CD環境の整備などのインフラの自動化を前提にしてグローバルアウトソーシング事業で成果を上げてられています。

他にも改善事項を上げるとキリがありませんが、これからDevOpsを実践される方々はどこから着手していきますか? 今回の内容はDevOpsのあくまで一例であり、全ての組織に合わせられるような方法はありませんが、逆に各々の組織にあった部分的な取り組みはいつでも開始できると思いますので、全てをやろうとせずに、ボトムアップでできるところからやっていくことをおすすめします。

まとめ

今回は、開発/運用プロセスの見える化である「VSM」についてご紹介いたしました。次回以降は、改善ポイントそれぞれをもう少し深掘りしてご紹介していきたいと思います。また、インフラやテストの自動化を行っていく過程で必要になるコンテナなどの技術要素についても合わせてもご紹介していきたいと思います!

この記事の著者:加藤学

SB C&S株式会社
テクニカルフェロー

エンタープライズ領域での開発から運用監視までの幅広い業務経験を活かし、事業開発やマーケティングチームと一緒になってビジネスの立ち上げを行っている。日本とアメリカ、特にシリコンバレーへ滞在し、新規プロダクトの発掘調査や国内外の新規パートナーリクルーティング、技術戦略、ポートフォリオの策定など、技術をバックグラウンドにしたさまざまな活動を行っている。最近では、DevOpsを始めとした開発者向けビジネスの立ち上げを行い、プロジェクトの責任者として慌ただしい日々を送っている。


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