2020.12.10

【前編】モニタリングはもう古い?-Tanzu Observabilityのご紹介-

星野真知
ヴイエムウェア株式会社
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ダウンロード:「モダンアプリケーションプラットフォームの可観測性」資料

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【後編】モニタリングはもう古い?-Tanzu Observabilityのご紹介-

「モニタリング」と「オブザーバビリティー」の違い

現在、クラウドネイティブの業界で「監視」もしくは「モニタリング」という言葉が古くなり始めているという事実をご存知でしょうか?
これに置き換わろうとしているのが「オブザーバビリティー」です。(日本語では「可観測性」と訳され、馴染みがないため浸透するまでは少し時間がかかりそうです。)
ここでは、「オブザーバビリティー」がどのような意味なのかを下の図で説明します。

2020-11-27T00-21-14.png

(左:「モニタリング」右:「オブザーバビリティー」を表したもの)

まず左の絵ですが、体調がわるいという深刻な「アラート」から「専門家」である医者にみてもらうという行為を表した絵です。これが従来から使われている「モニタリング」を表したものです。
ITの世界で置き換えれば、モニタリングシステムの「アラート」を受けて、システムにログインをし、各分野の「専門家」とともに事象を解決していこうとする行為です。

これの何が問題かというと、修復までに時間がかかってしまう点です。アラートがあげる情報はあくまで断片的です。アラートを受けたタイミングから専門家を呼び出し、原因特定が終わった頃には数時間経過している可能性があります。

対して、右の絵が「オブザーバビリティー」を表しています。ジョギングしている人物に様々なウェアラブルデバイス(例:スマートウォッチ、スマートグラス等)を装着し、健康なときからデータの収集を常に実施しています。それらのデータはクラウドへと転送され、過去のデータとともに常に分析されます。近い将来、彼のウェアラブルデバイスには本人が認識していないような体の異常を通知されるようになるかもしれません。

これはITの世界でも同じです。自身のシステムを多面的にデータ収集し、アナリティクスをかけていく、そうすることで障害の予兆をピンポイントにキャッチすることが重要になってきます。

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(モノリシックなものからマイクロサービスに変化することで、システムがより複雑化)

「オブザーバビリティー」が注目されるようになった背景には昨今のシステムの複雑化が関わっています。現在多くのシステムが、より高い柔軟性をもったマイクロサービス型のものへとシフトしつつあります。しかし、それに伴い障害に起因する箇所が多くなっているため、問題の特定までにさらに多くの時間がかかります。また、異常がおきる前兆を見つけ出すことも困難になってきています。

このようなマイクロサービスを従来のようなモニタリング、監視で管理していくのは難しくなってきています。これらのアプリケーションの管理方法としてより即したものが「オブザーバビリティー」です。

Tanzu Observabilityのご紹介

今回はVMwareの「オブザーバビリティー」を実現する製品として、「Tanzu Observability」を紹介させていただきます。Tanzu ObservabilityとはVMwareが買収したWavefrontから引き継いだSaaSプラットフォームです。
※未だ一部の資料ではWavefrontと紹介されることもございますが同じ製品です。

2020-11-27T04-21-57.png

Tanzu Observabilityはアプリケーションのデータ収集、可視化および分析を実施できる製品です。 Tanzu Observabilityは以下の特徴を持っています。

  • マルチクラウドに対応したSaaS型のプラットフォーム
  • アプリケーションからインフラまでフルスタックに扱える
  • AIやマシンラーニングを活用した高度な分析

ここからは上記の点について詳しく説明させていただきます。

マルチクラウドに対応したSaaS型のプラットフォーム

Tanzu ObservabilityはSaaS型のプラットフォームです。SaaSである最大のメリットはデータをオンプレミスに保存しなくていい点です。
Tanzu Observabilityでは、インテグレーションとよばれる単位でお使いのミドルウェアやクラウドと連携し、観測データを取得します。現在、Tanzu Observabilityは250を超えるインテグレーションがあり、主要なプラットフォーム、マルチクラウドに対応しています。

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インテグレーションの一覧についてこちらを参照ください。https://wavefront.surf/integrations

Tanzu Observabilityの前身であるWavefrontの頃の強みはアプリケーションレイヤーのインテグレーションが多かった点でした。これに加えTanzuポートフォリオに組み込まれたことによってVMware関連製品、つまりインフラストラクチャーのレイヤーにも多くのインテグレーションも追加されました。これによって、監視が必要な全てのレイヤーに対し、Tanzu Observabilityを活用できます。2020-11-27T05-59-32.png

アプリケーションからインフラまでフルスタックに扱える

Tanzu Observabilityはアプリケーションからインフラストラクチャーまでフルスタックに扱うことができます。Tanzu Observabilityが得意としているのが、マイクロサービスの可視化です。以下のスクリーンショットのようにアプリケーションから受け取った観測データをもとにアプリケーションのマッピングが自動で作成されます。

2020-11-27T04-40-44.png
(アプリケーションごとの連携をマッピング化)

上の図にあるように、SaaSサービスとの連携を表示できます。さらには、エラーが多いサービスやそれぞれのサービスの応答スピードなどを見ることができます。

またTanzu Observabilityは多くのインテグレーションをもつ特徴を利用して、アプリケーションからインフラストラクチャまでを一つのダッシュボードで関連を持たせて表示することも可能です。この下の図では、Kubernetesコンテナから関連するESXiのデータを表示しています。

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AIやマシンラーニングを活用した高度な分析

Tanzu Observabilityは随所にAI/マシンラーニングを活用した分析を行えるようになっています。 主に以下の箇所で使われています。

  • Anomaly Detection : 異常検知
  • Forcasting : 将来予測
  • Smart Alert : 関連アラート自動紐付け

Tanzu ObservabilityのAIの特徴はすでに学習が完了しているマシンラーニングが即利用可能なものとして提供されている点です。お客様自身が学習させる必要はございません。 異常検知のパターンの例を紹介します。

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上の図では、ある波形が前後の動きと明らかに異なるという観点から異常を自動的に検知しています。こうすることで、アラートの閾値をユーザーが設定することなく、自動で判別することができます。

さらに、もうひとつSmart Alertの例を紹介します。

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これは、"Node memory usage too high"というアラートが上がった際の画面です。ここではAI機能が自動的に関連するイベントやアラートの紐付け、さらに疑わしいサーバーの情報をまとめて表示する機能を持っています。
こうすることによって、アラートから原因特定までAIの力を借り、すばやく事象の解決につなげることができます。

まとめ

本記事では、モニタリング、監視の次のステップとしてオブザーバビリティーを実現するVMware製品の「Tanzu Observability」と3つの機能を紹介させていただきました。

また、「オブザーバビリティー」についてのホワイトペーパーを掲載しています。デジタルトランスフォーメーションに向けた取り組みの一環として、可観測性がクラウドネイティブなIT環境を管理するための重要な要素になりつつあることを解説していますのでぜひご覧ください。

本製品についてご興味がございましたらぜひお問い合わせください。

関連ページ

【中編】モニタリングはもう古い?-Tanzu Observabilityのご紹介-

「モダンアプリケーションプラットフォームの可観測性」資料

「Tanzu Obseravability」の紹介資料

資料のダウンロードはこちら

フォームに必要事項を記入いただくことで、資料がダウンロードできます。

この記事の著者:星野真知

ヴイエムウェア株式会社

10年以上のオープンソースを中心としたITソリューションにかかわる。
現在はVMwareでソリューションエンジニアとして、
Tanzuを中心とするモダンアプリケーション開発の支援をおこなっている。


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