こんにちは。SB C&Sで九州/中国地区で技術支援を担当しています、萩原です。
今日はNutanixのバックアップにおいて親和性の高いHYCUの紹介をいたします。
HYCUに私が出会ったのは2017年にアメリカワシントンで開催されたNutanix .NEXTのことでした。Nutanixのバックアップを得意とするHYCUがついに日本に上陸し、弊社SB C&Sでも取り扱いを開始いたしました!
HYCUとは?
HYCU社は、もともとアメリカのcomtrade社のバックアップソフトウェアの製品名でした。comtrade groupは、1996年に誕生した会社でIT分野におけるハードウェア、ソフトウェアを中心に成長してきました。現在では、comtradeから分社してHYCU社としてバックアップソフトウェアや監視ツールを中心に製造・販売しています。
HYCUのコンセプト
HYCUは、「ハイク」または「ハイキュ」とアメリカでは呼ばれています。HYCUの語源は、日本の"俳句"から来ています。
俳句のように短い文章の中にもその情景や気持ちが伝わるように、HYCUは、簡単な展開、わずかな操作でバックアップ環境を構築できるという意味が込められています。
HYCUバックアップの特徴
1.簡単操作、直感的な操作でバックアップしていることを意識させない
HYCUの管理画面はWebインターフェースで用意されており、NutanixのPrismと同じように"直感的"なUIを提供しています。
バックアップという概念を意識しないでよい点では、バックアップソフトウェアで多く採用されているバックアップ対象をグルーピングしたジョブを指定した時間に開始するというスタイルではなく、RPO(Recovery Point Objective)、どの時点までデーターが戻ればよいかと、RTO(Recovery Point Objective)、復旧時にどれだけの時間で復旧できるかというバックアップ時に検討するべき設計事項をバックアップポリシーとして定義し、そのポリシーをバックアップ対象の仮想マシンに適用することで、業務要件に応じたバックアップを設定することができます。
▼バックアップの状況の全体を把握できるダッシュボード画面
▼RPO/RTOは、ポリシー画面から自由に設定が可能
2.Nutanix各種機能への対応
HYCU Backup & Recovery for Nutanixは、Nutanixが提供する様々な機能のバックアップに対応しています。
仮想マシンの保護はもちろん、WSFC(Windows Server Failover Clustering)や、物理サーバーにiSCSI経由で外部共有ディスクを提供するVolume Groupのバックアップ、Nutanix Filesのバックアップも可能です。Nutanixが搭載するストレージベースのスナップショット機能と連携して動作するため、高速なバックアップ環境を提供します。
また、Nutanixから発表された"Nutanix Mine"の対応も準備を進めています。Nutanix関連の新しい機能に対して速いスピードで対応していることも特徴的なところです。
3.仮想マシンも物理サーバーも、アプリケーションもエージェントレスでバックアップ可能
HYCU Backup & Recovery for Nutanixは、エージェントレスで動作するという特徴があります。Nutanixの仮想マシン、Volume Group、Nutanix FilesはもちろんAPI経由でエージェントレスでバックアップできます。そのほかにOracleやSQL Server、Exchange、SAP HANAなどのアプリケーション特有のバックアップもエージェントレスで対応できます。また、Windows Serverにおいては物理サーバーもWinRMを利用したエージェントレスバックアップを実現します。
▼仮想/物理マシンとアプリケーションの対応状況
アプリケーションタイプ | 仮想マシン | 物理マシン |
---|---|---|
SQL Server | 〇 | 〇 |
Active Directory | 〇 | × |
Exchange Server | 〇 | 〇 |
Oracle | 〇 | × |
SAP HANA | 〇 | × |
※詳細なアプリケーション対応条件はUser Guideを参照。
また、取得したバックアップからファイルだけをリストをすることも可能です。
リストアしたいファイルは、上書き、任意の場所への展開、UNCパスで指定の共有フォルダへの展開が可能です。
▼ファイルリストアの画面
4.バックアップ先も選べる
バックアップデーターの保存先となるとバックアップ用のストレージやNASを用意することが多いと思います。もちろん、HYCU Backup & Recovery for Nutanixは、CIFS/NFSのNASをバックアップターゲットとして利用できます。ほかにも、iSCSIターゲットや、AWS S3/S3互換ストレージ、Azure、GCPをバックアップターゲットにすることも可能です。バックアップターゲットの容量肥大化を防ぐため、ターゲットの使用できる容量を制限する機能や、一定期間を過ぎたバックアップをアーカイブ領域に移動する機能、Nutanix上でバックアップした仮想マシンを違うNutanixクラスター上にレプリカする機能など、ターゲット以外にも様々な設定が可能です。
▼バックアップ先ターゲット登録の画面
まとめ
今回は、HYCU Backup & Recovery for Nutanixの製品概要を紹介いたしました。Nutanixとの連携機能が売りの製品ですが、バックアップの考え方をポリシーベースでスケジュールに依存しない作りなど、今までのバックアップ設計で考慮するべきところを気にせずにバックアップができるところは、Nutanixのコンセプトであるインフラを気にしない(invisible infrastructure)と同じように今までのあたりまえの課題をクリアしてくれる製品のように感じました。
次回は、HYCU Backup & Recovery for Nutanixの展開と利用できるまでの手順を紹介いたします。
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著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第3技術部 2課
萩原 隆博 - Takahiro Hagiwara - (Nutanix NTC)
HCIを中心とした仮想化とMicrosoft 365のプリセールスエンジニアを担当しています。
Nutanix Technology Champion 2018-2024