みなさん、こんにちは
SB C&S 技術担当の小川です。
前回はFabricPoolの設定の前に実施するライセンス有効化やネットワークの設定を紹介しました。
今回はFabricPoolの設定とFabricPool Mirrorの設定を紹介します。
前回に引き続き、設定に使用する機器はAFF C190で2ノードスイッチレスクラスタを構成しています。また、ONTAPのバージョンは9.7P5となります。Microsoft AzureのUIは2020年7月現在のUIとなります。
ここからAzure BLOBストレージを用いたFabricPoolによるストレージの階層化の設定について説明します。
Azure BLOBストレージを用いてFabricPoolを設定するにはストレージアカウントの『秘密鍵』が必要となるため事前にAzureポータルで使用するストレージアカウントの「アクセスキー」から使用する秘密鍵を控えておきます。
ONTAP System Managerにログイン後、「ストレージ」⇒「階層」をクリックし「+クラウド階層の追加」⇒「Microsoft Azure Blob Storage」をクリックします。
クラウド階層の追加の画面が表示されます。一部の設定は入力済みのため以下の内容を入力します。
- 名前 :クラウド階層の名前を入力します
- アカウント :Azureポータルで設定したストレージアカウント名を入力します
- 秘密鍵 :先程控えたストレージアカウントの秘密鍵を入力します
- コンテナ名 :FabricPoolで転送されたデータを保存するAzure BLOBストレージのコンテナ名を指定します
画面を下にスクロールし、「プライマリとして追加」でFabricPoolを設定するアグリゲート(Local Tier)を選択します。今回はノードAのデータアグリゲートである「c190_cluster_01_SSD_1」を選択します。
「階層化ポリシーの更新」ではFabricPoolの設定を有効にするボリュームを選択し階層化ポリシーを決定します。今回はfabricpool_testというボリュームにAllポリシーを設定します。Allポリシーを設定するには「すべて」を選択します。
画面を下にスクロールし、「クラウド階層のネットワーク」でIPspaceを選択しFabricPoolで使用するIntarCluster LIF (クラスタ間LIF)を確定します。今回の設定では前回設定したIPspaceを選択します。
設定が完了したら「保存」をクリックします。
設定が完了すると「ストレージ」⇒「階層」でクラウドの情報が追加されます。
FabrciPoolが有効になっているボリュームにデータを書き込むと階層化ポリシーに従いデータがAzure BLOBストレージに転送されます。今回はAllポリシーが設定されたボリュームにデータを書き込みます。データを書き込むとAzure BLOBストレージのコンテナ内に4MBのデータが複数作成されることがAzureポータルで確認出来ます。
ONTAP System Managerの「ストレージ」⇒「階層」でAzure BLOBストレージ書き込まれた容量を確認できます。
以上でFabricPoolの設定は完了です。
続いてFabricPool Mirrorを設定します。FabricPool Mirrorを設定することでCloud Tierの耐障害性を向上させるだけでなくCloud Tierの移行にも利用できます。今回はミラー先をAmazon S3を利用し設定します。なお、本ブログではAmazon S3の設定方法は割愛させて頂きます。
FabricPoolが設定されている状態で「ストレージ」⇒「階層」をクリックし「+クラウド階層の追加」⇒「Amazon S3」をクリックします。
「クラウド階層の追加」の画面が表示されると一部の設定が入力されています。
「名前」にクラウド階層の名前を入力します。
画面を下にスクロールし以下の内容を入力します。
- アクセスキーID:AWSのIAMで設定したアクセスキーID
- シークレットキー:AWSのIAMで設定したシークレットキー
- コンテナ名:AWS S3で設定したバケット名
画面を下にスクロールし「FabricPoolミラーとして追加」でノードAのデータアグリゲートである「c190_cluster_01_SSD_1」を選択します。
画面を下にスクロールし「クラウド階層のネットワーク」でIPspaceを選択しFabricPoolで使用するIntarCluster LIF (クラスタ間LIF)を確定します。今回の設定では前回作成したIPspaceを選択します
設定が完了したら「保存」をクリックします。
「ストレージ」⇒「階層」を確認するとAmazon S3の情報が表示されます。
正常にミラーが実施されるとAmazon S3のバケットに4MBのデータが複数保存されます。
以上でFabricPool Mirrorの設定は完了です。
FabricPool Mirror環境におけるオブジェクトストレージのスワップとミラー関係の解除 |
FabricPool Mirrorを設定するとメインとなるオブジェクトストレージのスワップを手動で実施が可能で、更に手動でオブジェクトストレージを削除することが可能です。
「ストレージ」⇒「階層」をクリックしLocal Tierの「︙」のクリック後「クラウド階層のスワップ」をクリックします。
スワップの内容に問題がなければ「スワップ」をクリックします。
スワップ後クラウドの絵にマウスカーソルを合わせるとミラーが反転していることがわかります。以下の図ではAmazon S3からAzure BLOBストレージへミラーされているのがわかります。
続いてミラー関係の解除を実施します。
今回の例ではAzure BLOBストレージをFabricPool Mirrorの関係を解除します。
「ストレージ」⇒「階層」をクリックしLocal Tierの「︙」のクリック後「FabricPoolミラーの削除」をクリックします。
ミラー関係を解除する対象のオブジェクトストレージに問題ない場合は「削除」をクリックします。
FabricPool Mirrorが解除されるとクラウドの絵が1つになります。
続いてミラー関係を解除したオブジェクトストレージを削除します。
今回の例ではAzure BLOBストレージを削除します。
「ストレージ」⇒「階層」をクリックしMicrosoft Azure Blobの右の「︙」のクリック後「削除」をクリックします。
削除する対象に問題ない場合は「削除」をクリックします。
Azure BLOBストレージの登録がなくなったことが確認できます。
Azure BLOBストレージのコンテナの中身を確認するとデータがすべて削除されていることが確認できます。
FabricPoolの紹介は以上となります。
オンプレの環境を『ハイブリッドクラウド』に拡大していくことには様々なハードルがありなかなか進まない方もいらっしゃるかもしれませんが、今回ご紹介したFabricPoolを活用することにより比較的容易にハイブリッドクラウド環境を構築でき、またオブジェクトストレージを活用するためオールフラッシュストレージの導入のコスト面でのハードルが下がることをご理解頂けたのではないかと思います。
皆様ぜひ一度お試し下さい。
今回のポイント
- Azure BLOBストレージ登録の際はストレージアカウントの『秘密鍵』が必要になるので事前に確認
- FabricPoolはデータアグリゲート毎に設定
- 階層化ポリシーはボリュームに対して設定
- オブジェクトストレージにデータが4MB単位で保存される
- FabricPool Mirrorにおけるミラー側のオブジェクトストレージは取り外しが可能
- FabricPool環境から取り外されたオブジェクトストレージ内のデータは自動で削除される
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