みなさん、こんにちは
SB C&S 技術担当の小川です。
これまでFabricPoolの概要やアーキテクチャを紹介しFabricPoolの利点をご理解頂くと共に、オブジェクトストレージのイメージを掴んで頂くためAzure BLOBストレージを例に紹介してきました。
今回からついにFabricPoolの設定方法を2回にわた り紹介します。
FabricPoolの設定方法の第1回としてライセンスの投入方法とネットワーク関連の設定を紹介します。
今回の設定に使用する機器はAFF C190というNetApp AFFシリーズの中でもエントリモデルに位置づけされる製品で2ノードスイッチレスクラスタを構成しています。
また、ONTAPのバージョンは9.7P5となります。Microsoft AzureのUIは2020年7月現在のUIとなります。
ONTAPのライセンスのほとんどはONTAPのWeb UIであるONTAP System Managerにライセンスキーを入力することで機能を有効にするのですが、FabricPoolのライセンスは NetApp Support でライセンスファイルを事前に取得しONTAP System Managerで適用する仕組みになっております。
ここではライセンスキーの取得から適用までの流れを説明します。
◆ライセンスファイルの取得
まずFabricPoolのライセンスを購入するとFabricPool用のシリアル番号が購入者に通知されるので、そのシリアル番号を控えておきます。なお、FabricPool用のシリアル番号はAFFなどのコントローラのシリアル番号とは異なるので注意して下さい。
次にONTAPのクラスタのUUIDを調べます。UUIDは以下のコマンドを実行し表示させます。
FabricPool用のシリアル番号を入力し検索するとライセンスファイルをダウンロードするためのリンクが表示されます。
先程コマンドで表示したクラスタのUUIDを入力します。
すると「Download file」、「Email to:」が表示されるのでいずれかを選択し「Submit」をクリックします。
以上でライセンスファイルの取得は完了です。
◆ライセンスファイルの適用
続いて取得したライセンスファイルをONTAPのWebUIであるONTAP System Managerから有効にします。
ONTAP System Managerにログイン後「クラスタ」⇒「設定」をクリックし、ライセンスの右にある「→」をクリックします。
次の画面で「+追加」をクリックします。
「参照」をクリックしライセンスファイルを選択後「追加」をクリックします。
ライセンスが適用されたことを確認します。
以上でライセンスの適用は完了です。
FabricPoolを設定する前にAzure BLOBストレージと接続するためのネットワーク設定を行います。
『FabricPool』をもっと理解するためのアーキテクチャ紹介 〜その3〜 のネットワーク要件でONTAPとオブジェクトストレージを接続するためには「InterCluster LIF (クラスタ間LIF)」が必要であることを紹介しました。しかし、ただInterCluster LIFを設定しただけではネットワークポートの物理障害時にオブジェクトストレージとの通信が切れてしまい階層化が正常に動作しなくなります。そのため、障害時にInterCluster LIFが他のネットワークポートにフェイルオーバするための設定を事前に行う必要があります。
◆IPspaceの設定
「IPspace」はONTAPで同一サブネットや同一IPアドレスで異なるSVMへアクセスするためにネットワーク空間を分ける機能です。マルチテナント環境を構築する場合などで使われます。
FabricPoolを設定する際にデータLIFとクラスタ間LIFを独立したネットワークで構成するためIPspaceを作成します。IPspaceを設定することで例え同一のサブネットを利用しても独立したネットワークを設定することが出来ます。データLIFとクラスタ間LIFを異なるIPspaceにして同一のサブネットを利用する場合は物理ネットワークとの接続に注意して下さい。
ONTAP System Managerにログイン後「ネットワーク」⇒「概要」をクリックしIPspaceの右側にある「+」をクリックします。
設定するIPspace名を入力し「保存」をクリックします。
入力した名前でIPspaceが作成されていることを確認します。
◆ブロードキャストドメインの作成
ネットワーク用語で言うところのブロードキャストドメインは「ルータを越えずに通信できる範囲」や「ARP要求が届く範囲」といったブロードキャストパケットが届く範囲を表しますが、ONTAPで言うところのブロードキャストドメインは「クラスタ内のネットワークポートをグループ化したもの」でフェイルオーバグループと組み合わせて適切にLIFのフェイルオーバを実現します。
ONTAP System Managerにログイン後「ネットワーク」⇒「概要」をクリックしブロードキャストドメインの右側にある「+」をクリックします。
ブロードキャストドメインの「名前」を入力します。InterCluster LIF用にわかりやすい名前にして下さい。
「IPspace」は先程作成したIPspaceを選択します。
「MTU」は物理ネットワークに合わせ設定します。
「ポートの割り当て」はデータLIFに紐付かない物理ポートを選択します。LIFのフェイルオーバが動作するように必ずそれぞれのノードに最低1つ選択して下さい。今回はノードA、Bそれぞれのe0fポートを使用します。
設定が完了したら「保存」をクリックします。
設定後「ネットワーク」⇒「イーサネットポート」をクリックすると対象の物理ポートにIPspaceとブロードキャストドメインが設定されていることを確認できます。
以下はブロードキャストドメイン設定までの構成イメージになります。
◆InterCluster LIFの設定
続いてInterCluster LIFを設定します。
InterCluster LIFの設定方法は複数ありますが、今回は「クラスタ」の画面から設定します。
ONTAP System Managerログイン後、画面左の「クラスタ」をクリックし「ネットワークインターフェイスの追加」をクリックします。
「クラスタ間インタフェースの追加」の画面が表示されます。
FabricPoolではコントローラのHAペアにつき2つのInterCluster LIFを設定する必要があります。今回はAFF C190の2ノードクラスター公正なので2つのInterCluster LIFを設定する画面の例になっています。
「IPSPACE」では先程作成したIPspaceを指定します。
それぞれのコントローラに1つずつIPアドレスを設定することになるのですが、ここで注意が必要なのはFabricPoolでは必ず外部ネットワークを介してオブジェクトストレージと接続するため「デフォルトゲートウェイ」の設定が必須となります。そのため「オプションのゲートウェイを追加」を必ずクリックし、デフォルトゲートウェイを設定してください。
入力が完了したら「保存」をクリックします。
万が一デフォルトゲートウェイの設定を忘れてしまった場合は以下のコマンドを実行しデフォルトゲートウェイを追加して下さい。
InterCluster LIFの設定が完了すると「ネットワーク」⇒「概要」の画面で確認できます。
◆DNS設定の確認
FabricPoolを構成する際にパブリッククラウドのオブジェクトストレージを使用する場合、IntarCluster LIFからインターネットを介しアクセスするため名前解決が必須となります。ONTAPにパブリッククラウドへの名前解決が可能なDNSが設定されているか確認します。
DNSの設定を確認するにはONTAP System Managerにログイン後「クラスタ」⇒「概要」をクリックし「ネームサーバ」に設定が入っていることを確認します。設定が入っていない場合は画面右側の「︙」をクリックし「編集」から設定を行います。
以上でFabricPoolを設定する際の事前準備は完了です。
次回はいよいよFabricPoolの設定方法を説明します。
今回のポイント
FabricPoolのライセンスは「ライセンスファイル」をダウンロードする必要がある
ライセンスファイルをダウンロードするには「クラスタUUID」が必要
FabricPoolを設定するには「InterCluster LIF (クラスタ間LIF)」が必要
InterCluster LIFをデータLIFとは別の 独立したネットワークに分けるためには「IPspace」を設定
物理ポートの障害時にInterCluster LIFをフェイルオーバさせるために「ブロードキャストドメイン」 を設定
InterCluster LIFを設定する際には必ず「デフォルトゲートウェイ」を設定
パブリッククラウドのオブジェクトストレージに対してアクセスを行うためには名前解決が必要なためDNSの設定を確認
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