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Nutanix Global .NEXT 2020 Digital Experience Day2(Morning Keynote)の最新情報をお届け

ストレージ / HCI
2020.09.10

※本投稿で紹介される内容は、発表当時のものであり将来の機能実装をお約束するものではありません。

こんにちは。SB C&Sで九州/中国/中部地区で技術支援を担当しています、萩原です。

今日も開催されている「Nutanix Global .NEXT 2020 Digital Experience」で発表されたDay2のKeynoteの内容を中心にお伝えしたいと思います。
昨日開催されたDay1のKeyNoteはこちらから確認できます。

Day2 Morning keynote ハイライト

まず、大きなテーマとして、
・RUN BETTER
・RUN FASTER
・RUN ANYWHERE
という3つの柱が出てきました。

よりよい環境、よりスピーディーに提供する。
その環境は、場所に依存せずに動作するという意味を表しているようです。

これは、Nutanixが提供するHCIを中心としたユーザーフレンドリーな使いやすい製品とハイパフォーマンス・簡単で迅速なアプリケーションの展開、そしてハイパーバイザーや特定のクラウドサービスに依存せずユーザーの希望する環境で動作させることができるという目標と解釈できます。
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続いて、AHV利用状況についてです。(これは毎年の話ですが)
Nutanixを利用しているユーザーの49%がAHVを利用しているとのことです。この比率は年々上がっています。Nutanixは、ESXiやHyper-Vなど様々なハイパーバイザーを選択できますが、Nutanixとの親和性が高いAHVの採用が広まっていることは、ユーザーはよりシンプルな構成を求めていることを表しているのかも知れません。

ここでは、
・Nutanixクラスター間でのライブマイグレーション
・vGPU ライブマイグレーション
・UEFIとSecure Bootのサポート
・Credential Guard
が新機能として発表されています。

クラスター間のライブマイグレーションは、PrismCentralを使った実際のデモが行われていました。

また、新たにAMD CPUがサポートされたことも新しい話題です。

UEFIとSecure Bootに関してはAOS5.17~でサポートされた機能です。
Credential Guardは、仮想化ベースのセキュリティ(Virtualization-based Security:VBS)のサポートをさします。
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そして、管理面でも様々な新機能が提供されます。
・Foundation Central
こちらは、ROBO環境などブランチに提供されるNutanixクラスターを現地に赴くことなくリモート経由でFoundationを使ったイメージングができるようするツールです。本機能はPrismCentral 5.17から提供される機能となります。

・Automation
こちらは、PrismCentralに搭載されているX-Play(クロスプレイ)を指しています。特定のトリガーに対してSSH経由で仮想マシンにコマンドを実行したりリソースのHotAddができたりと、事象に対しての処理をLow Code/No Codeで実装できます。

・Prism Ultimae
こちらは、PrismCentral2020.8からリリースされた内容となります。従来はPrism Startar(無償)とPrism Proの2エディションでしたが、新たにUltimateエディションが誕生しました。Ultimateエディションでは、アプリケーションの可視化やSQLServereのパフォーマンス可視化など今までのPrismCentralではできなかった新機能を利用することができます。
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そして、運用面では既にお気づきの方もいらっしゃると思いますが「Nutanix Support Portal」が、Nutanix Insightsとして今年の8月から新しくなりました。(現在各ユーザーをInsightsに切り替え中です)
Nutanix Insightsは、Nutanixクラスターから定期的に送信されるPulse情報を元に障害予兆を検知し、障害を未然に防ぐことが可能となります。また、ログのリモート取得の自動化機能があり、今まで手作業で行っていたログ取得を自動化することもできます。

LCMは、昨年から順次OneClick Upgradeの代わりとして、Nutanix NXモデルのアップデートに限らず様々なハードウェアやソフトウェアのアップグレードをコンパチビリティーに則り統合的に管理できるツールです。
今回Global 1-Click Upgradesと発表されていますので、クラスターを包括した管理が行える物と思われます。
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続いて、SPDKを採用したパフォーマンス向上についての発表がありました。
SPDKを採用することは昨年の.NEXTでも既に発表がなされていました。
このSPDKを採用したAOSがバージョン5.18として、8月にリリースされました。
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SPDKの採用は、ユーザー空間でのI/O処理を行い並列処理でI/Oが捌けるため高速になりますが、SPDK意外にもう一つアップデートが入っています。これは、Nutanixが管理しているストレージ部分になります。Nutanixが管理するストレージメディアはFilesystem(Format)の上にBlockStoreが構成されていました。そのためより高速なメディアを利用すると、FileSystemのオーバーヘッドが足かせになることもありました。今回のアップデートはFileSystemを排除しストレージメディアを直接的(RAW)で管理することによりFileSystemのオーバーヘッドを無くしよりハイパフォーマンスなストレージサービスを提供することを表しています。 06.png
そして、新たに発表されたのが「iSER」というハイパーバイザーとCVMの間のシステムコールを高速化する物です。
AHVとCVMの間は現行iSCSIを利用したI/Oコールが行われていますがそれに何らかの手が加わる物であると思われます。
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FilesとObjectsに関してもアップデートが発表されました。
まず管理の統合化で、PrismCentralからFiles/Objectsの管理ができるようになるようです。
従来からObjectsはPrismCentralで管理ができていましたが、Filesの管理もCentralから可能になると複数のNutanixクラスターを管理している場合の利便性が向上します。
他にも、NearSyncをベースとした1分(60秒)でのレプリケーションと、ColdデーターとHotデーターを階層化して管理し、コールドデーターをよりコストの低いストレージに待避する機能が搭載されます。本機能は、昨年の.NEXTからロードマップとして出ていましたがDevelopmentのコメントもないことからもう間もなくのリリースだと思われます。
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データー保護の観点では、
・複数サイトの保護
・20秒でのNearSyncのサポート(vSphereのみ)
・DRトラフィックの暗号化
・インスタントリストア機能の搭載
・MineapplianceのHPE DX/Lenovo HXのサポート
が上げられています。

DRのトラフィック暗号化は、昔から望まれていた機能であり実装されることに期待しています。
インスタントリストアによるSLAの遵守は、既に現行のNutanixにおけるストレージスナップショットのリストアでも十分に早いためさらに早くなるのかというととても興味深い機能になります。
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データー保護の観点で忘れてはいけないのがXi Leapです。
今年の6月に正式にJapanリージョンがオープンしました。
今回のアップデートでは、
・マルチサイトVPN
・IPを維持したままのフェールオーバー
・5分のRPO
が上げられています。

さらに別スライドでは、0-Click Testという新たなテスト機能が追加されています。
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そしてNutanix Cloud Platformに対するVPN接続の容易化が発表されています。
クラウドサイトとのサイト間VPN接続は相性の問題や各種ネットワーク環境の調整が必要なため1つの手間として捉えられることが多くありました。
この機能は、PrismCentralから提供されるVPN機能で、簡単にクラウド環境とのセキュアなネットワークを構築することができます。
なお、このVPN機能は、AWSへのVPN Gatewayとしても利用が可能のようです。
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そして新たに発表された「Nutanix Central」です。
今まではNutanixクラスターを統合管理するPrism Centralがありましたが、Nutanixの様々なクラウドサービスを含めたNutanix製品全体を統合的に管理するツールはありませんでした。
そこで、この複数のNutanixサービスもまとめて管理する物が「Nutanix Central」になります。
まとめて管理以外にも管理対象の物に対するパフォーマンス状態など様々な情報を可視化したり機能(サービス)の展開などもできるようになっています。
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Nutanix Karbonは、プラットフォームをKarbon Serviceとし、Xi IoTなどコンテナサービスとの親和性の高いものを統合的に管理できるようになりました。 17.png
昨年の.NEXTで最大の目玉であったNutanix Clusters on AWSが8月にGAしました。
さらに昨日のDay1 Keynoteで発表されたとおり、今回の.NEXTでは、Nutanix Clusters on Azureが発表されました。

Nutanix Clusters on AWSは、SB C&SでもGA前のEarlyAccess段階で利用をしており、GAに際してはエンドースメントを出しております。
プレスリリース:Nutanixのハイブリッドクラウド・インフラストラクチャーがAmazon Web Servicesに対応

Nutanixのクラスターが物理サーバーではなく、AWSやAzureの巨大なインフラサービスで利用できると言うことは、一時的なリソースの不足や今すぐ必要といった緊急時にも物流を考えることなく「今すぐ利用できる」というパブリッククラウドの利点を活かしつつ、オンプレミスと同じ操作性であるPrismで統合的に管理できることは大きなメリットがあります。

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Nutanix Eraは、Oracle/SQL Server/MySQL/MariaDB/PostgreSQLの各データーベースの展開・データー管理・クローン・パッチ管理などができるツールです。
データーベースを任意の時間に戻したり、開発環境用のクローンDBを高速に作成できるなど、データーベースを利用するユーザーにとっては夢のようなツールです。
最近では、日本語のSQL Serverに対応するなどVersion1.0のリリース以降バージョンアップが重ねて行われており、成熟度も増しています。
今回新たに、
・SAP HANAの展開・管理をサポート
・データーへのアクセス権設定
・Multiクラスターサポート
があげられます。

特にデーターベースはアプリケーションの利用組織やセキュリティの観点から複数のクラスターに分割をしたり、一時的な開発リソースとしてNutanix Clustersを利用することも考えられるため、複数のNutanixクラスターを1つのEraから管理できることは大変便利になると思います。
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最後に、今日のOpening Keynoteで出てきた新しいワードがまとまって出てきました。
Flow Security Central等まだ詳細が出てきてないキーワードもありますので、このあたりはClosing Keynoteで出てると思われます。
大変多くのキーワードが出ていると言うことは、それだけ今後も製品のアップデートが行われること、そしてNutanixの各製品・サービスがさらに進化していることを表しています。
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まとめ

Day1 Keynoteでは、新機能などの情報がほとんどで無かったためDay2 Morining Keynoteに期待をしておりましたが、その期待を裏切るぐらいに多くのアップデートや新しいキーワードが出てきました。
今年のテーマである「RUN BETTER」「RUN FASTER」「RUN ANYWHERE」の3つに対して、Nutanixのユーザー視点にたった形での新しい発表であったと感じました。
今回の発表された内容が、これからどんどんリリースされてくると思いますので、各製品のリリース時の機能実装も今後ウォッチしていきたいと思います。

セミナーのご案内

SB C&Sでは、今回行われている「Nutanix Global .NEXT 2020 Digital Experience」の内容をディストリビューターのSE視点で凝縮したフィードバックセミナーを「9月25日 15時」からオンラインで開催いたします。
.NEXTのイベントを全て見るのはかなりの時間を要しますので、まとめてダイジェストな話が聞きたい方やNutanix Technology Championの視点での.NEXTのまとめに興味がある方など、多くの方に参加頂ければと思います。

Nutanix.NEXT 2020フィードバックセミナー(オンラインセミナー)
開催日 : 2020年9月25日 15:00 ~ 16:30
申し込みはこちらから : https://sbb.smktg.jp/public/seminar/view/3632

Nutanix Global .NEXT 2020 Digital Experience フィードバックセミナー

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第3技術部 2課
萩原 隆博 - Takahiro Hagiwara - (Nutanix NTC)

HCIを中心とした仮想化とMicrosoft 365のプリセールスエンジニアを担当しています。
Nutanix Technology Champion 2018-2024