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コンパクトなNutanix。HPE DX8000 検証レポート

ストレージ / HCI
2021.01.15

こんにちは。SB C&Sで九州/中国/中部地区で技術支援を担当しています、萩原です。

Nutanixは、ソフトウェアベースで仮想化のインフラ、HCIを提供しています。NutanixはSoftware Definedであり、Nutanixソフトウェアの稼動をサポートするハードウェアであれば、自由にハードウェアを選択できるのもNutanixの特長です。
Nutanixを稼動できるハードウェアの中に、「HPE ProLiant DX8000 Converged Edge Systems」というNXモデルなどには存在しない異なるコンセプトのハードウェアが存在しています。
今回DX8000のベースモデルであるEL8000の実機に触る機会を頂きましたので、その感触を検証のレポートとしてお伝えしたいと思います。(EL8000もNutanixのCompatibilityに適合している構成であればNutanixの稼動はサポートされています)

DX8000の概要と外観

EL8000(DX8000)は、ベースモデルがHPE EdgeLineといわれるセンサーデーターの取得などいわゆるエッジと言われる拠点に設置して稼動させるサーバーをコンセプトとして作られた製品です。DX8000は、5Uのサイズのシャーシに最大4台のサーバーを搭載できるブレード型のサーバーモデルとなります。サイズは非常にコンパクトです。

▼Nutanix 青本と比較するとサイズが分ると思います
hontai.png

ご覧の通り、横幅は通常の1Uサーバーの約半分となり、ラッキングユニットを利用すれば、5Uに8台のサーバーを搭載することが出き、HCIの得意な高集約をハードウェアの側面でも実現することが出来ます。

▼サーバーラックに設置すると5Uで8ノードの集約が可能です
rack.png

DX8000は、コンパクトであることは先程の紹介からもご理解頂けたかと思います。DX8000は、最小3ノードから構成できます。追加は1ノード単位で追加することができ、Nutanixの得意な必要なときに必要な分だけのリソース追加も可能です。
内部記憶装置は、4枚のNVMeを利用することができます。NVMeはスロットに直結接続するタイプのため活性での交換は出来ません。しかしHDDに比べ、メモリー系は故障比率が少ないことと、万が一NVMe故障の場合は、該当ノードをシャットダウンして交換となりますが、Nutanixの冗長化機能で仮想マシンは継続して運用をすることが出来ます。
CPUは1ソケットとなりますが、Xeon Gold 6254など、サーバー向けのエンタープライズなCPU6種類から選択が可能です。
メモリーは、1ノードに12スロットあり最大で1.5TBのメモリーが搭載できるため、小さい筐体で有ながらかなりパワフルなNutanixクラスターを構成することが可能です。

実機の外観・インターフェース

では、稼動をさせる準備に移りたいと思います。
Nutanixを稼動させるにあたって重要なのは、10Gネットワークの構成です。
DX8000は、ネットワークの面にも工夫が施されています。通常ブレードとなるとサーバーブレードからシャーシに搭載されたブレードスイッチモジュールを介して疎通をするイメージが強いと思います。もちろん、そのイメージの通りシャーシに10Gスイッチモジュールを搭載しアップリンクのポートだけを外部のスイッチに接続する構成も可能です。さらにサーバーブレードである「HPE ProLiant e910」には、PCI-eスロットが搭載されていますので、このPCI-eに10G/25G SFP+のNICを搭載することで、スイッチモジュールを必要とせずサーバーブレードから単独で外部スイッチと接続させることも可能です。
今回は、PCI-eに搭載した10/25G NICを利用して接続することにしました。
iLOへのアクセスは、シャーシのマネージメントポート経由でアクセスを行います。
iLOのマネージメントポートは、1G-Tのポートになっていますので、こちらも管理ネットワークのスイッチに接続を行います。

▼拡張ボードでNICを増設すると、スイッチモジュール不要で接続が可能
haimen.png

電源モジュールも、もちろん冗長化されています。また、ブレードサーバーというと200V電源が必要というイメージがありましたがDX8000は、100V電源で4ノードが稼動できるのも大きな特長です。従来のブレードで課題であった200V電源の確保のための電源工事も不要で既存の100V電源をそのまま利用可能です。シャーシに電源ケーブルを接続すると、自動的にシャーシの電源が入ります。従来のブレードサーバーでは、まずシャーシの電源ボタンを押してパワーオン処理を行いコントローラーモジュールが起動するまで待つというイメージですが、DX8000の場合は、シャーシに電源が供給されると自動的にパワーオンされる仕様であり、シャーシ自体に電源スイッチは存在しません。
パワーオンされると、シャーシに搭載された12個のファンがフル回転するためそれなりの音がします...。(執務室など普段人が在籍(業務)を行う部屋に設置する場合は十分な防音設備を用意する必要があります)

▼シャーシ背面は、9個のファンが全面に搭載されている
fan.png

Nutanixの稼動及び操作

シャーシの電源が入ってしまえばあとは通常のサーバーと同じです。
シャーシの電源投入後、シャーシのマネージメントコントローラーが起動すると、シャーシに搭載されたiLOマネージメントポート経由でシャーシの管理画面に入ることが出来ます。こちらでは、シャーシの基本情報等を確認することが出来ます。

▼シャーシの管理画面
management.PNG

各サーバーノードの電源ボタンを押し、ハイパーバイザーとCVMが起動するのをまてば終わりです。今回はAHVとCVMがイメージングされた環境で利用したいと思います。初期導入時は必要に応じてFoundationで任意のハイパーバイザーとAOSバージョンで稼働させることが可能です。

また、各サーバーノードのiLOにも個別のIPアドレスが付与されますので、各ノードのiLOにも直接アクセスが可能です。こちらは、ProLiant e910がベースのため、通常のProLiantと同じ形で各サーバーの設定やデジタルKVMによるコンソール操作が可能です。

▼各サーバーノードのiLO画面
ilo.PNG

ハイパーバイザーの起動が終わると自動的にCVMが起動しますので、全てのノードのCVMが起動後にcluster startを行うと、通常のNutanixと同様にPrism画面を開くことが出来ます。

▼Prism画面
prism.png

後の操作は、今までのNutanixとなにも変わることなくいままでのNutanixと同様に操作することが出来ます。
ハードウェアの画面では、Nutanix Clusters on AWSの時と同様にハードウェアの筐体を模したものではなく、パーツが分かれて表示される形式になっています。

▼Prismのハードウェア画面
hardware.png

まとめ

どんなハードウェアであっても一貫した機能や操作性が提供されるのは、Software DefinedであるNutanixの良さがDX8000でも発揮できていると思います。
サーバーラック5Uに8ノードの搭載ができ、コンパクトサイズでパワフルスペックな仮想化環境を作ることが出来ます。100V電源での稼動も導入のハードルをさげるメリットであると思います。
コンパクトなサイズを活かして、イベント会場でのデモ環境を稼動させるなど一時的な利用で持ち運びが必要な環境や医療現場や工場など、設置スペースが限られる環境においてもDX8000の特長を活かした利用ができると思います。

Nutanixのために作られたHPEのサーバー。ProLiant DXについて

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第3技術部 2課
萩原 隆博 - Takahiro Hagiwara - (Nutanix NTC)

HCIを中心とした仮想化とMicrosoft 365のプリセールスエンジニアを担当しています。
Nutanix Technology Champion 2018-2024