2021.05.31
ファイルサーバ数の考慮 |
データアクセスネットワークの設計 |
ONTAPをファイルサーバとして利用するにはCIFS/SMBプロトコルを有効にしたSVMを作成します。SVMはいずれかのコントローラにひも付くのではなくONTAPクラスタ全体にまたがって動作するイメージです。
ONTAP System ManagerからCIFS/SMBプロトコルを有効にしたSVMを作成するとData LIFを2つ作成することになります。それぞれのData LIFは別々のIPアドレスを設定します。
NetApp AFF C190で考えるファイルサーバの設計 〜その2〜 で説明したようにネットワークポートはブロードキャストドメインとIPspaceにひも付けられます。Data LIFはIPspaceとひも付けることで使用するネットワークポートとひも付きます。ブロードキャストドメインにリンクアグリゲーショングループをひも付けることで1つのData LIFに対する物理ポートの負荷分散を実現します。この時ブロードキャストドメインには耐障害性のために2つのリンクアグリゲーショングループを登録しますがData LIFにアクセスするためのリンクアグリゲーショングループはONTAPにより自動で1つ選択されます。
さらにDNSサーバにSVM作成時に設定する2つのData LIFのIPアドレスを登録し、IPspaceに2つのData LIFをひも付けることでData LIF間での負荷分散を実現します。その際2つのData LIFはブロードキャストドメインに登録された2つのリンクアグリゲーショングループにそれぞれに自動でひも付けられData LIFの負荷分散、物理ポートにおける負荷分散と耐障害性を同時に実現します。
ネットワークポートの負荷分散とData LIFの負荷分散において、どの「Data LIFをどのネットワークポートにひも付けるか」を考える際にネットワーク環境の管理を複雑化したくないと思う方もいらっしゃるかと思います。そのようなときは以下のような構成をおすすめします。
●AFF C190の2つのコントローラにそれぞれに搭載された4つのネットワークポートで1つのリンクアグリゲーショングループを作成
●コントローラ毎に設定したリンクアグリゲーショングループを1つのブロードキャストドメインにひも付け
●作成したData LIFとIPspaceをブロードキャストドメインにひも付け
この構成を行うことでSVMが増えた際もData LIFに割り当てるネットワークポートは同一になるので設定と管理の手間が削減できます。
ファイルサーバ用途のSVMにおけるData LIFの負荷分散はSVM作成時に同時に作成する2つのData LIFをDNSサーバに登録することでDNSラウンドロビンにより負荷分散が行われます。
スモールスタート環境や小規模環境であればネットワークやコントローラへの負荷は少ないためDNSラウンドロビンでも問題ありませんが、DNSラウンドロビンではData LIFにひも付くネットワークポートの負荷やコントローラのCPU負荷を加味せずにData LIFが選択されるため、大規模環境では適切な負荷分散が行われない可能性があります。そこで、適切なData LIFへの負荷分散を実施するためにDNSサーバで名前解決を行うのではなくONTAPで名前解決を行うことがメーカー推奨とされています。この場合、DNSサーバからONTAPに対してのDNS委任もしくはフォワーダーの設定を行います。Windows Serverで構築するDNSサーバの場合は以下のようなベストプラクティスが公開されています。
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著者紹介
SB C&S株式会社
技術統括部 第1技術部 2課
小川 正一(VMware vExpert)