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NetApp AFF C190で考えるファイルサーバの設計 〜その3〜

ストレージ / HCI
2021.05.31
 
みなさん、こんにちは
SB C&S 技術担当の小川です。
 
これまでAFF C190の紹介、ストレージの設計、容量設計、物理ネットワークの設計を紹介しました。
 
 
今回はファイルサーバ数(SVM数)の設計、データアクセスネットワーク(Data LIF)の設計を紹介します。
 
 ファイルサーバ数の考慮             
 
 
ファイルサーバを設計する際に「複数のファイルサーバを1つに集約」、「部門ごとにアクセスするファイルサーバを分ける」といったファイルサーバの数量を確認することになります。
ONTAPでファイルサーバの役割を担うのが論理的なコントローラであるSVMになります。このSVMは1つのクラスタに複数構成することが可能なため要件に合わせた設計が可能です。
以下にファイルサーバの設計例を紹介します。
 

【1つのファイルサーバを構築

ファイルサーバを構築する際に「これまでも1台のファイルサーバで運用していたので同じように1台で運用したい」、「これまで複数のファイルサーバを運用していたが1台に集約したい」といった要望があると思います。ONTAPで1台のファイルサーバを構築するにはSVMを1つ作成します。1つのSVMでファイルサーバを構成することはクラスター全体のハードウェアリソースを1つのファイルサーバで専有することになります。また1つのSVMのみ管理するため、構築時の負担軽減や複数SVMを設定するよりも使用するIPアドレスが少ないなどの利点があります。
 
Active-Active構成で1つのSVMでファイルサーバを作成する場合はネットワークポートをすべて利用できるようにそれぞれのコントローラに搭載されるすべてのネットワークポートで1つのリンクアグリゲーショングループを設定したり、コントローラの負荷を分散させるためにFlexVolをどのコントローラ配下のData Aggregateに配置するかなどハードウェアリソースの負荷分散を考える必要があります。
 
01_1つのSVM.png
 

【部門毎に別々のファイルサーバを構築】

これまで部門毎に物理的なファイルサーバを複数運用していてAFF C190導入後も同じように複数のファイルサーバの運用を維持したいというお客様であれば、これまでのファイルサーバと同数のSVMを作成しデータを移行することで筐体としては1台のAFF C190でありながら論理的に複数のファイルサーバでの運用が可能です。クライアントからのアクセスもこれまでと同じFQDNやIPアドレス宛に接続することができます。
Active-Active構成で複数のSVMを作成する場合は片方のコントローラだけに使用するリソースが集中しないようにネットワークポートやFlexVolの配置を考える必要があります。
 
02_部門毎のSVM.png
 
 
 データアクセスネットワークの設計             
 
 
ファイルサーバ数や構成を設計した後に考えるのはデータアクセスネットワークになります。
Windowsサーバなどでファイルサーバを設計する際は特定の物理ネットワークポートをデータアクセスネットワーク用のネットワークポートとして使用しIPアドレスを設定してクライアントからアクセスさせますが、ONTAPはLIF(Logiacal Interface)をSVMに設定し物理ネットワークポートやVLANインタフェースにひも付けクライアントからアクセスさせます。
 
ONTAPをファイルサーバとして利用するにはCIFS/SMBプロトコルを有効にしたSVMを作成します。SVMはいずれかのコントローラにひも付くのではなくONTAPクラスタ全体にまたがって動作するイメージです。
 
SVMの説明.png
 
ONTAP System ManagerからCIFS/SMBプロトコルを有効にしたSVMを作成するとData LIFを2つ作成することになります。それぞれのData LIFは別々のIPアドレスを設定します。
 
NetApp AFF C190で考えるファイルサーバの設計 〜その2〜 で説明したようにネットワークポートはブロードキャストドメインとIPspaceにひも付けられます。Data LIFはIPspaceとひも付けることで使用するネットワークポートとひも付きます。ブロードキャストドメインにリンクアグリゲーショングループをひも付けることで1つのData LIFに対する物理ポートの負荷分散を実現します。この時ブロードキャストドメインには耐障害性のために2つのリンクアグリゲーショングループが登録しますがData LIFにアクセスするためのリンクアグリゲーショングループはONTAPにより自動で1つ選択されます。
 
LIFの負荷分散_修正版_01.png
 
さらにDNSサーバにSVM作成時に設定する2つのData LIFのIPアドレスを登録し、IPspaceに2つのData LIFをひも付けることでData LIF間での負荷分散を実現します。その際2つのData LIFはブロードキャストドメインに登録された2つのリンクアグリゲーショングループにそれぞれに自動でひも付けられData LIFの負荷分散、物理ポートにおける負荷分散と耐障害性を同時に実現します。
 
LIFの負荷分散_修正版_02.png
 
LIFの負荷分散_02.png
 
ネットワークポートの負荷分散とData LIFの負荷分散において、どの「Data LIFをどのネットワークポートにひも付けるか」を考える際にネットワーク環境の管理を複雑化したくないと思う方もいらっしゃるかと思います。そのようなときは以下のような構成をおすすめします。
 
●AFF C190の2つのコントローラにそれぞれに搭載された4つのネットワークポートで1つのリンクアグリゲーショングループを作成
●コントローラ毎に設定したリンクアグリゲーショングループを1つのブロードキャストドメインにひも付け
●作成したData LIFとIPspaceをブロードキャストドメインにひも付け
 
この構成を行うことでSVMが増えた際もData LIFに割り当てるネットワークポートは同一になるので設定と管理の手間が削減できます。
 
ネットワークポートとLIFの負荷分散.png
 
ファイルサーバ用途のSVMにおけるData LIFの負荷分散はSVM作成時に同時に作成する2つのData LIFをDNSサーバに登録することでDNSラウンドロビンにより負荷分散が行われます。
スモールスタート環境や小規模環境であればネットワークやコントローラへの負荷は少ないためDNSラウンドロビンでも問題ありませんが、DNSラウンドロビンではData LIFにひも付くネットワークポートの負荷やコントローラのCPU負荷を加味せずにData LIFが選択されるため、大規模環境では適切な負荷分散が行われない可能性があります。そこで、適切なData LIFへの負荷分散を実施するためにDNSサーバで名前解決を行うのではなくONTAPで名前解決を行うことがメーカー推奨とされています。この場合、DNSサーバからONTAPに対してのDNS委任もしくはフォワーダーの設定を行います。Windows Serverで構築するDNSサーバの場合は以下のようなベストプラクティスが公開されています。
 
【Windows DNSサーバのベストプラクティス】
●プライマリDNSサーバーと同じドメインのDNSゾーンで名前が付けられたData LIFの場合、DNSサーバでONTAPを指定したDNS委任を設定(ONTAP用のサブドメインが必要)。
●プライマリDNSサーバーとは異なるDNSドメインのDNSゾーンで名前が付けられたData LIFの場合、SOAレコードが必要ない場合を除き、スタブゾーンを使用しフォワーダーを設定
 
より詳しい情報や設定方法は以下のドキュメントをご参照ください。
 
 
 
今回はファイルサーバ数、データアクセスネットワーク、共有、クォータの設計を紹介しました。
次回はData Aggregateの考え方、FlexVolの考え方、共有、クォータの設計を紹介します。
 
 

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著者紹介

SB C&S株式会社
技術統括部 第1技術部 2課
小川 正一(VMware vExpert)