こんにちは。SB C&Sで九州/中国地区で技術支援を担当しています、萩原です。
以前にNutanixのサイジングを楽にする「Nutanix Collector」についてご紹介をしました。
(過去の記事「面倒なサイジングを楽にする「Nutanix Collector」の紹介は、こちらを参照ください)
このNutanix Collectorですが、1年経ってさらに進化をしています。今回は、「Nutanix Collector 3.5.1」をベースにNutanix Collectorのアップデートをご紹介します。
1.Hyper-Vプラットフォームのサポート
今まで、3Tier環境のvSphere環境とNutanix上のvSphere及びAHVの環境が情報収集可能なプラットフォームでした。
現在のバージョンでは、さらにHyper-V環境のリソース情報取得ができるようになりました。
Hyper-Vの場合、Windows Server 2016以降が対象となりますが、PowerShell 5.1以降が稼働する環境であれば動作します。こちらで確認する限りでは、Windows Server 2008 R2でも稼動しました。
Hyper-V環境は、シングルのHyper-Vホスト及びHyper-Vクラスターの両方の環境をサポートしています。
なお、Hyper-V環境でNutanix Collectorを利用する際には2点ほど注意があります。
統計情報の取得方法の違い
vSphere環境やNutanix環境では、Nutanix Collectorから仮想化基盤に接続を行うと、1週間分の統計情報から自動的にリソース情報を取得します。一方Hyper-V環境の場合、統計ログが取得できないため、情報を取得する期間(1日/3日/5日/7日から選択)は、Nutanix Collectorを起動したままにしておく必要があります。(ライブでパフォーマンス情報を取得します)そのため、Nutanix Collectorは、Hyper-Vホスト上で起動し情報収集することが推奨されています。情報収集する期間によって、パフォーマンス情報の収集間隔が異なる点も注意が必要です。
▼Hyper-V環境の情報収集の期間とパフォーマンス情報の収集間隔
収集期間 | パフィーマンス情報収集間隔 |
1日間 | 5分 |
3日間 | 10分 |
5日間 | 20分 |
7日間 | 30分 |
▼Hyper-V環境の場合、収集期間を設定しその期間はCollectorを起動したままにしておく必要がある
情報収集前に起動した仮想マシンのみが対象
Nutanix Collectorで情報を収集前に、既にパワーオンされている仮想マシンの情報のみがNutanix Collectorで分析対象となります。Nutanix Collectorでライブ情報収集モードにした後にHyper-Vで仮想マシンをパワーオンしても、その仮想マシンはパフォーマンス情報の収集対象にならない点に注意してください。
2.Collector Portalの登場
Nutanix Collectorを利用する上で最も大きなアップデートは、Collector Webサイト(ここでは、Collector Portalと呼びます)の登場です。
従来、Nutanix Collectorでは、収拾したパフォーマンス情報がGUIできれいに表示されていましたが、この表示はNutanix Collectorで収拾した直後しか表示されず、エクスポートされたExcelファイルは、パフォーマンスデーターの値しか記録されません。Nutanix CollectorのGUIをスクリーンショットで保存するなどしない限りグラフィカルでわかりやすい表示情報を保存する方法はありませんでした。
しかし、昨年の末からCollector Portalが、提供されるようになりました。このCollector Portalは、Nutanix Collectorから出力したExcelファイルを、プロジェクトとしてWebポータル上で管理できます。プロジェクトにNutanix CollectorからエクスポートしたExcelファイルをCollector Portalにアップロードすると、Nutanix Collectorとほぼ同じグラフィカルに情報が表示されます。アップロードしたシナリオはそのままCollector Portalで保存されます。プロジェクトを複数作ることで、複数のシナリオをポータル上で一元的に管理することも可能です。また作成したプロジェクトは、他のユーザーに共有することができます。なお、Collector Portalのプロジェクト共有は、MyNutanixアカウントをお持ちの方であれば、誰でも共有することができ、ワークロード情報編集なども共有されたユーザーから行うことができます。
▼Web画面で取得した情報を細かく確認できます。仮想マシン一覧や物理ハードウェア情報もポータルから確認可能です。
▼仮想マシンの一覧表示から個別に仮想マシンのスペックや電源状態を変更可能です。
3.サイジング方法がより柔軟に
従来は、Nutanix Collectorから出力されたExcelファイルをSizerにインポートすると、仮想マシンスペックを自動的にサイズ振り分け、サイズごとに合算されたワークロード情報でサイジングをされていました。どの仮想マシンがどのサイズのワークロードに属しているかは、Sizerから同時に出力されるExcelファイルから確認はできましたが、細かいスペック確認を行うには手間がかかる点もありました。現在では、従来通りのNutanix Collectorから出力されたExcelファイルをSizerへ直接インポートすることも可能ですが、Collector PortalでExcelファイルをインポート後、編集したワークロード情報をそのままSizerに渡すことが可能です。
また、Sizerにワークロード情報を渡す際に、パワーオンの仮想マシンだけに限定することや、パフォーマンス条件などを設定できるようになりました。
▼Sizerにワークロード情報を渡す際の条件
▼設定できるパラーメーター内容
設定項目 | 反映内容 | |
VMs | Powerd ON only | パワーオンの仮想マシンだけをカウントする |
Both powered ON and powered OFF | パワーオン/オフの両方の仮想マシンをカウントする | |
Capacity (ストレージ) |
Consumed | 消費したストレージ容量に基づく (概ね圧縮30%が設定される) |
Provisioned | 割り当てられたサイズに基づく | |
Based on(vCPU) | Configuration | 構成されたvCPUに基づく |
Performance | 実際のパフォーマンスに基づく。以下から選択可能
|
|
Create Workloads by | Profile | サイズごとにまとめてワークロードを作成 |
VMs | 仮想マシン1台ずつワークロードを作成 |
4.NetAppのキャパシティ情報取得が可能に(ベータリリース)
Nutanix Collector 5.0系から、ONTAPのCIFS領域の情報取得ができるようになりました。まだ、ベータ版ということで以下の条件があります。
- ONTAPの情報取得は、Nutanix Collector Windows版のみ動作します
- ONTAPは、バージョン8.3以降をサポートします(7モードは未対応)
- 収拾できるのはCIFSのみとなります
ONTAPの場合、以下の情報が収集できます。
項目 | 内容 |
クラスター | ストレージ効率、CIFS共有の数、ボリュームの数 |
ノード | ノード状態、モデル、ベンダー、場所、ONTAPのバージョン、CPU、メモリ情報 |
共有 | 共有パス、アクセス制御レベル、最大接続数 |
ボリューム | 容量、ストレージ効率、スナップショット容量、パフォーマンスレベル、バックアップの詳細 |
QoS | ポリシーグループ、最大スループット、ワークロード数 |
▼ONTAPの情報収集時の画面
(Nutanix Support Portal | Collecting ONTAP CIFS shares Data with Collectorより引用)
まとめ
Nutanix Collectorは従来から便利なツールでしたが、HyperVやONTAPの情報収集が可能になるなど、利用できる幅が広がっています。
また、Collector Portalがリリースされたことで、システム導入ベンダーとユーザー様で情報を共有し、ワークロード情報の整理やサイジングにおける認識の差異をなくすことができます。
また、私どもSB C&SのNutanix製品支援チームに共有頂ければ、サイジングにおけるアドバイスや構成のお手伝いをさせて頂く際に、よりよい提案ができる情報源となります。
Nutanix Collectorのバイナリは、Nutanix Partner Network(NPN)に契約のパートナー様は、サポートポータルから取得できます。
またNutanix Collectorのバイナリは、Nutanixの導入を検討されるユーザー様の利用も可能となっております。
Nutanixは、必要なときに必要な分のリソースを手配し、無駄な余剰リソースを作らずにすむメリットがあります。
Nutanixは価格が高いといったイメージをお持ちの方は、今までの3Tierと同じように5年間の利用を見据えてのサイジングをして比較をしていないでしょうか?
現在動作しているワークロードや負荷状況を把握し、必要なリソースを割り出して無駄な余剰リソースを加味しないサイジングこそ、HCIのメリットを生かすことになります。
今までは、ワークロードの負荷状況の把握を行うことが難しかったですが、その難しい状況把握を、Nutanix Collectorが解決し、より現実のワークロードに最適なサイジングをお手伝いします。
Nutanix Collectorの詳細はこちらをチェック
著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第3技術部 2課
萩原 隆博 - Takahiro Hagiwara - (Nutanix NTC)
HCIを中心とした仮想化とMicrosoft 365のプリセールスエンジニアを担当しています。
Nutanix Technology Champion 2018-2024