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Omnissa Horizon 2503 アップデート情報のご紹介

デジタルワークスペース
2025.08.15

こんにちは。SB C&Sの石井です。

今回は2025年4月15日にリリースされた、Horizon 2503のアップデート情報について紹介していきます。

主なアップデート

Horizon 2503で発表されたアップデートの中から、注目するアップデートについて紹介します。
※こちらの記事は、Omnissa社の公開情報を基に作成しています。最新のアップデート情報につきましてはリリースノートをご参照ください。
Omnissa Horizon 8 リリースノート

  • Extended Service BranchESB)での提供
  • AD LDSADAM Database)のリブランディング
  • 管理マシンのWindows Server 2025対応
  • Horizon Agentの自動更新

Extended Service Branch(ESB)での提供

Horizonには、主に2種類のリリースモデルがあります。ひとつは、新機能をいち早く取り込める「Current ReleasesCR)」、もうひとつが安定性と長期サポートを重視した「Extended Service BranchESB)」です。

ESBリリースでは、初回リリース時点で新機能は追加されますが、その後のアップデートでは新機能の追加は行わず、バグ修正やセキュリティパッチなどのメンテナンスアップデートのみが定期的に提供されます。これにより、頻繁な機能変更を避けたい環境や長期的に安定した仮想デスクトップ環境を利用したいニーズに適しています。

Omnissa社のリリースノートにて明示されていない限り、HorizonのバージョンはCRとして扱われますが、今回リリースされたHorizon 2503は、ESBとして明示されたリリースになります。

HorizonESBは以下のように通常3回の定期的なアップデートが予定されています。

  • アップデート1:ベースバージョン(Horizon 2503)のリリースから612ヶ月後
  • アップデート2:ベースバージョン(Horizon 2503)のリリースから1521ヶ月後
  • アップデート3:ベースバージョン(Horizon 2503)のリリースから2430ヶ月後

ESBの詳細については以下のリンクをご参照ください。
Information on Horizon 8 Extended Service Branch (ESB) including App Volumes and Dynamic Environment Manager (86477)

AD LDS (ADAM Database)のリブランディング

Horizonでは、Connection Serverをインストールする際に、Windows Serverの機能であるAD LDSActive Directory Lightweight Directory Services)が自動的にインストールされます。このAD LDSにはHorizonに関係する様々な設定情報が保存されます。

今回のHorizon 2503では、このAD LDSにおけるディレクトリパーティション名がリブランディングされ、以下の通り変更されました。

  • 旧パーティション名:dc=vdi,dc=vmware,dc=int
  • 新パーティション名:dc=vdi,dc=horizon,dc=internal

パーティション切り替えに関する注意点

Horizon 2503では旧パーティションと新パーティションの両方がサポートされています。そのためアップデート時に必ずしも切り替える必要はありません。ただし、将来的に旧パーティションが非サポートとなる可能性もあります。

切り替え時の注意点としては以下の点にご注意ください。

  • 新パーティションへ移行した後は、旧パーティションに戻すことはできません。
  • 新パーティションではHorizon Agent 2503以前のバージョンとは互換性がありません。
    • ただし、切り替え前に登録済みのHorizon Agent2503以前)については、移行後も継続して利用可能です。

新パーティションへの切り替え手順

ここからは、既存のHorizon 2503にアップグレードした後に、新パーティションに切り替える手順を紹介します。
※新規でHorizon 2503をインストールした場合は、自動的に新パーティションが使用されるため、本手順は不要です。

新パーティションに切り替えを実行する前には、ポッド内のHorizonをすべて2503バージョンにアップグレードする必要があります。また、執筆時点(2025717日)時点では、Connection Serverを展開しているWindows Serverが日本語OSを使用している場合、新パーティション移行スクリプト実行時にエラーが発生します。日本語OSでスクリプトを実行する場合、システムロケールをUSに切り替えてから実行してください。

まず、現在のパーティションを確認します。Connection Serverを管理しているマシンでADSIエディターを開き、[操作]-[接続]の順にクリックします。

1.png

 

接続の設定にて以下の情報入力し、[OK]をクリックします。

  • 接続ポイント:dc=vdi,dc=vmware,dc=int
  • コンピューター:localhost:389

2.png

 

AD LDSの中身を確認すると、旧パーティション名が残っていることを確認します。

3.png

 

続いて、AD LDS移行スクリプトをダウンロードします。以下のリンクにアクセスし、添付ファイルをダウンロードします。
AD LDS Application Partition Migration (6000797)

4.png

 

PowerShellを管理者権限で実行し、以下のコマンドを実行します。

Get-Executionpolicy
//スクリプトの実行に関するセキュリティの設定確認コマンド

 

実行結果が以下になっていることを確認します。

RemoteSigned
//スクリプトの受講を許可するポリシー

 

実行結果が、RemoteSignedになっていない場合は、以下のコマンドを実行しポリシーを変更します。

Set-ExecutionPolicy RemoteSigend
//スクリプトポリシーを変更するコマンド

 

続いて先ほどダウンロードしたスクリプトを実行します。ソフトウェアの実行許可が促された場合、[R]を入力します。

PS C:\Users\Administrator.DEMO\Desktop\OmnissaHorizonPartitionMigration-v1> .\OmnissaHorizonPartitionMigration-v1.ps1
 
この発行されていない発行元からのスクリプトを実行しますか? ファイル C:\Users\Administrator.DEMO\Desktop\OmnissaHorizonPartitionMigration-v1\OmnissaHorizonPartitionMigration-v1.ps1 の発行元は CN="Omnissa, LLC", O="Omnissa, LLC", L=Palo Alto, S=California, C=US, SERIALNUMBER=3101265, OID.2.5.4.15=Private Organization, OID.1.3.6.1.4.1.311.60.2.1.2=Delaware, OID.1.3.6.1.4.1.311.60.2.1.3=US であり、信頼できない発行元です。信頼された発行元のスクリプトのみを実行してください。 [V] 常に実行しない(V) [D] 実行しない(D) 一度だけ実行する(R) [A] 常に実行する(A) [?] ヘルプ (既定値は "D"): R

 

スクリプトが実行されたらオプションの選択をします。今回はAD LDSを移行するため、[1]を選択し実行します。

============================= Script to migrate OmnissaHzeDS application partition =============================
Disclaimer : Before executing this script, it is essential to upgrade the Horizon environment to Version 2503.
If you're using Omnissa Access with the Horizon 8 deployment, ensure the Omnissa Access connector is upgraded to a version that supports the new partition name.
The migration operation must be performed during the designated maintenance window. During this period, actions such as
pool creation, maintenance tasks, configuration changes, entitlements, and launching desktop or application pools should not be performed.
Before initiating the migration process, verify that there are no replication issues within the Horizon environment.
You can check the replication status on the dashboard in the Horizon Console.
For more information refer KB article   https://kb.omnissa.com/s/article/600097??language=en_US
=================================================================================================================
 
Press '1' To initiate ADAM Partition Migration Press '2' To perform cleanup operation Press '0' To quit Please select the option : 1

 

Omnissa Accessが、Horizonで利用されているか確認があります。今回は利用していないので[no]を選択します。

2025/05/12 18:49:16 Trigger ADAM switchover
2025/05/12 18:49:16 Verifying user privileges
The current user is a domain user with local administrator privileges.
2025/05/12 18:49:16 Verifying is Horizon Connection server instance
2025/05/12 18:49:16 Horizon Connection Server service found
true
2025/05/12 18:49:16 Verifying installed Horizon server version
2025/05/12 18:49:18
Name  : CS
Value : 8.15.0-14865030791
2025/05/12 18:49:19 The partition 'dc=vdi,dc=horizon,dc=internal' does not exist.
2025/05/12 18:49:19 Is Omnissa Access configured in your Horizon environment? (yes/no)
no

 

インポートが成功し、Connection Serverの再起動を実施するメッセージが促されます。案内に従い、Connection Serverを一度停止して再起動を実行します。

2025/05/13 15:19:40 VDM import completed successfully.
//インポート成功
2025/05/13 15:19:41 Restricting access to legacy partition.
2025/05/13 15:19:41 Replication check has been skipped because there are no installed Replica servers.
2025/05/13 15:19:41 Check Cloud Pod Architecture enabled
2025/05/13 15:19:41 Cloud Pod Architecture not enabled. No action needed
======================================== Script Execution Completed ================================
2025/05/13 15:19:41  First stop the "Omnissa Horizon Connection Server" service on all connection servers within the POD
//Connection Serverのサービス停止の案内
2025/05/13 15:19:41  Start the connection server service on each of the connection servers only after confirming that the service on all servers is in a stopped status.
2025/05/13 15:19:41  Run this script on the other Pods also if you have CPA configured
====================================================================================================
PS C:\Users\Administrator.DEMO\Desktop\OmnissaHorizonPartitionMigration-v1>

 

ADSIエディターを再度開き、以下の情報を入力し、新しくAD LDSが作成されていることを確認します。

  • 接続ポイント:dc=vdi,dc=horizon,dc=internal
  • コンピューター:localhost:389

5.png

 

以上でAD LDSの移行を終了します。AD LDSを移行する場合は最善の注意を払って実行してください。

AD LDSの移行手順の詳細は以下をご参照ください。
AD LDS Application Partition Migration (6000797)

管理マシンのWindows Server 2025 対応

Horizon 2503バージョンから管理サーバー群がWindows Server 2025に対応しました。

Windows Server 2025に対応する管理マシンは以下の通りです。

  • Connection Server
  • Active Directory
  • Omnissa Access Connector
  • イベントデータベース

ただし、Windows Server 2025VDIRDSHRemote Desktop Session Host)として使用することは、Horizon 2503ではサポートしていないため注意ください。

Horizon Agent自動更新

これまでHorizon Subscriptionライセンスのみ対応していたHorizon Agentの自動更新が、Horizon 2503からTermライセンスでも利用できるようになりました。従来Horizon Agentのアップデートを行う場合、マスターとなるゴールドイメージの更新をする必要がありましたが、この機能を利用することで、各仮想デスクトップ(VDIに対して直接アップデートを実施できるようになります。

Horizon Agentの自動更新が有効になっている場合、Horizon Consoleのライセンスと使用状況のページにて、エージェントの自動アップグレードが[有効]と表記されています。

6.png

 

インストーラの追加

Horizon Termでエージェントの自動アップグレードを実施する場合、Webサーバーを準備する必要があります。Omnissa Customer Connectからインストーラファイルとメタデータをダウンロードし、Webサーバーに保存します。

7.png

 

Horizon Console上で、[インベントリ]-[Horizon Agent]-[登録済みのインストーラ パッケージ]の順に移動し、[追加]をクリックします。

8.png

 

[URL]欄にWebサーバーにあるメタデータを参照する形で入力し、[OK]をクリックします。

9.png

 

インストーラ パッケージが登録されます。
9.1.png

これで、Horizon Agentのインストーラ登録は完了です。

Horizon Agentの自動アップグレード

アップグレード対象のマシンを選択し、[その他のコマンド]-[エージェントをアップデート]の順にクリックします。

10.png

 

表示されたウィザードに従って、アップグレードのスケジュールをすることで自動的に更新することが可能です。

11.png

まとめ

今回はHorizon 2503バージョンのリリースから主なアップデートに絞って紹介させていただきました。Horizon 2503バージョンは、Omnissaにリブランディングされてから初めてのESBになります。こちらのバージョンを採用することで長期間の安定した運用が可能になります。

Horizonに関する新しい情報は、今後も発信していきますので、引き続きご確認いただけますと幸いです。

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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部
第2技術部 2課
石井 基久 - Motohisa Ishii -

Omnissa Tech Insider