
この記事は「VCF/VVF 9.0 構築シリーズ」の第3回目です。
第2回目では、VCF Installerを使用して、VCF 9.0環境を新規構築していく手順をご紹介しました。VCF InstallerではVCF環境とは別に、VMware vSphere Foundation(VVF)環境についても、同様に自動構築することができます。
今回はVCF Installerを使用して、VVF環境を新規構築していく手順をご紹介します。
VMware vSphere Foundation(VVF)とは
VVFの環境は、vCenter、VCF Operationsで構成されており、VCFよりもシンプルな環境になります。VCFにて定義されている、VCFフリートやVCFインスタンスといったものは存在せず、通常のvSphere Clusterの構成となります。そのため、従来までの一般的なvSphere環境と近しい構成と言えるかと思います。
VVFの構成は、自らvCenterとVCF Operationsをデプロイし、手動で組み立てることも技術的には可能です。しかし、VVFとしての環境としてみなされるのは、VCF InstallerによるvaridationをPassすることが必要です。VCF Installerには既存vCenterをインポートし、VVF環境へ昇華させることも可能なため、是非ともVCF Installerをご活用ください。
環境図
今回の検証環境の全体図になります。VCF Installerを使用してこの環境を新規展開していきます。今回の検証では、VCF Installerを内部にデプロイしてあります。今回のバージョン9.0からは、新規構築する環境内にVCF Installerが存在する場合でも、VCF/VVF環境にすることが可能です。
また、VVF環境を新規展開する際にはあらかじめESXのインストール、各種設定を行っておく必要があります。第1回にてご紹介してある事前準備を完了させておいてください。
VVF 9.0の新規構築
バイナリのダウンロード
VCF Installerにアクセスしてログインします。
ログイン後、まずはVVFの各コンポーネントのバイナリをダウンロードする必要があります。第1回を参照に、既にダウンロードされている場合は必要ありませんが、未ダウンロードの場合は、下記手順を参考にダウンロードしておきましょう。
バイナリ管理にて、「VMware vSphere Foundation」を選択します。
全ての製品にチェックをいれ、「ダウンロード」をクリックします。
各コンポーネントのダウンロードが開始されます。全てダウンロードが完了するまで待ちます。
ダウンロードステータスが成功になっていれば完了です。
VVFの新規構築
「デプロイウィザード」をクリックし、「VMware vSphere Foundation」を選択します。
既存のコンポーネントはないため、そのまま「次へ」進みます。
全般情報を入力します。
- バージョン
- DNSおよびNTPサーバー
このDNS、NTPの情報は、これから作成されるアプライアンスにのみ適用され、既存でインポートしたものには適用されない
所々にチェックボックスがあるのであわせてご紹介します。
- パスワードの作成
各コンポーネントのパスワードを自動生成し、VCF Operations上で自動管理したい場合はチェックを入れる - CEIPの有効化
全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。
続いて、VCF Operationsの設定に移ります。設定項目は下記になります。
- Operations Applianceのサイズ
- OperationsのプライマリFQDN
- 各種パスワード
全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。
続いて、vCenterの設定に移ります。設定項目は下記になります。
- アプライアンスの FQDN
- プライアンスのサイズ
- アプライアンスのストレージサイズ
- データセンター名
- クラスタ名
- ドメイン名
- 各種パスワード
全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。
続いて、ストレージの設定に移ります。今回はvSAN OSAを選択します。
- ストレージタイプの選択
vSAN、FC、NFSから選択可能 - vSANアーキテクチャ
- vSANデータストア名
- 許容障害数
全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。
続いてESXホスト情報を入力していきます。まずはESXのrootパスワードを入力します。
次に、ホストのFQDNを入力します。ホスト数を増やしたい場合は、「ホストの追加」をクリックして、入力枠を増やせます。入力し終えたら、「追加」をクリックします。
ホストのフィンガープリントを確認します。「すべてのフィンガープリントを確認」をクリックすれば、全ホストのフィンガープリントの確認を行うことができます。
フィンガープリントの確認まで無事終了したら、「次へ」をクリックして進みます。
続いてネットワークの設定を行います。設定するネットワークはESX管理・仮想マシン管理・vMotion・vSANになります。
各ネットワークにおいて、VLAN ID・MTU・CIDR・GWを設定していきます。また仮想マシン管理ネットワークに関しては、チェックを入れることでESX管理ネットワークと同ネットワークにすることが可能です。
全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。
続いて分散仮想スイッチ(vDS)の設定になります。vDSの構成には、事前構成済みのデフォルトプロファイル、Storage Traffic Separation、カスタムプロファイルの3つから選択することができます。
今回はデフォルトプロファイルを使用します。
- デフォルト
1つのvDS上にESX管理、仮想マシン管理、vSAN、vMotion、NSXトランスポートゾーンの各ポートグループが最初から自動的に作成されている - Storage Traffic Separation
2つのvDSを作成し、ストレージトラフィックとそれ以外のトラフィックとで分ける - カスタムスイッチ構成
デフォルトとは異なり、最初からポートグループが作成されていないため、手動で設定していく
全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。
内容に問題がないかを確認し、問題なければ「次へ」をクリックして事前チェックに進みます。
事前チェックが開始されます。全てのチェック項目のステータスが"成功"になればデプロイへ進むことができます。
ステータスが"警告"の項目については、内容を確認した上で「確認」をクリックすると、先へ進むことができます。
検証が全て成功したら、「デプロイ」をクリックします。
デプロイが開始されると、下記の画面で進行状況を把握できます。
全てデプロイが完了すると下記の画面になります。これでVVFの新規構築は完了です。画面にある「VCF Operationsユーザーインターフェースを開く」をクリックすることで、VCF Operationsのログイン画面へ飛ぶことができます。
VCF OperationsへvCenterの登録
VVF環境が無事に構築されたら、VCF OperationsへvCenterを登録する作業が必要です。VCFの新規構築の場合は、自動的にアカウント追加がされますが、VVFの場合は、現状手動で追加する必要があります。
VCF Operationsにログインします。
「次へ」をクリックします。
エンドユーザー使用許諾契約書に同意し、「次へ」進みます。
「次へ」をクリックします。
「完了」をクリックします。
vCenterアカウントが追加されていないため、追加していきます。
「管理」メニュー内にある「統合」をクリックします。
「追加」をクリックします。
アカウントタイプで「vCenter」を選択します。
クラウドアカウント情報で任意の名前を入力します。
次にvCenterのFQDNを入力します。認証情報にある+をクリックします。
任意の認証情報名、SSOユーザー名、パスワードを入力し、「OK」をクリックします。
「接続の検証」をクリックします。
証明書を確認し、「受け入れる」をクリックします。
無事接続されました。「OK」をクリックします。
「vSAN」をクリックします。
「vSANの構成」をONにし、「接続の検証」をクリックします。
無事接続されました。「OK」をクリックします。
「追加」をクリックします。
アカウント追加後、手動で環境の監視を開始させる必要があります。「OK」をクリックします。
3点メニューを開き、「収集の開始」をクリックします。
ステータスが収集中になれば完了です。
インベントリにもvCenterが表示されました。これでアカウントの追加は完了です。
以上がVVF環境の新規構築手順になります。
関連記事はこちら
著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部
第1技術部 1課
大塚 亜人夢 - Atomu Otsuka -
VMware vExpert