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【VVF/VCF 9.0 構築シリーズ】第3回 VVF 9.0の新規構築

仮想化
2025.08.07

この記事は「VCF/VVF 9.0 構築シリーズ」の第3回目です。

第2回目では、VCF Installerを使用して、VCF 9.0環境を新規構築していく手順をご紹介しました。VCF InstallerではVCF環境とは別に、VMware vSphere Foundation(VVF)環境についても、同様に自動構築することができます。

今回はVCF Installerを使用して、VVF環境を新規構築していく手順をご紹介します。

VMware vSphere Foundation(VVF)とは

VVFの環境は、vCenter、VCF Operationsで構成されており、VCFよりもシンプルな環境になります。VCFにて定義されている、VCFフリートやVCFインスタンスといったものは存在せず、通常のvSphere Clusterの構成となります。そのため、従来までの一般的なvSphere環境と近しい構成と言えるかと思います。

VVFの構成は、自らvCenterとVCF Operationsをデプロイし、手動で組み立てることも技術的には可能です。しかし、VVFとしての環境としてみなされるのは、VCF InstallerによるvaridationをPassすることが必要です。VCF Installerには既存vCenterをインポートし、VVF環境へ昇華させることも可能なため、是非ともVCF Installerをご活用ください。

環境図

今回の検証環境の全体図になります。VCF Installerを使用してこの環境を新規展開していきます。今回の検証では、VCF Installerを内部にデプロイしてあります。今回のバージョン9.0からは、新規構築する環境内にVCF Installerが存在する場合でも、VCF/VVF環境にすることが可能です。
また、VVF環境を新規展開する際にはあらかじめESXのインストール、各種設定を行っておく必要があります。第1回にてご紹介してある事前準備を完了させておいてください。

環境図.jpg

VVF 9.0の新規構築

バイナリのダウンロード

VCF Installerにアクセスしてログインします。
ログイン後、まずはVVFの各コンポーネントのバイナリをダウンロードする必要があります。第1回を参照に、既にダウンロードされている場合は必要ありませんが、未ダウンロードの場合は、下記手順を参考にダウンロードしておきましょう。

バイナリ管理にて、「VMware vSphere Foundation」を選択します。

図1.jpg

全ての製品にチェックをいれ、「ダウンロード」をクリックします。

図2.jpg

各コンポーネントのダウンロードが開始されます。全てダウンロードが完了するまで待ちます。

図3.jpg

ダウンロードステータスが成功になっていれば完了です。

図4.jpg

VVFの新規構築

「デプロイウィザード」をクリックし、「VMware vSphere Foundation」を選択します。

図5.jpg

既存のコンポーネントはないため、そのまま「次へ」進みます。

図6.png


全般情報を入力します。

図7.jpg

  • バージョン
  • DNSおよびNTPサーバー
    このDNS、NTPの情報は、これから作成されるアプライアンスにのみ適用され、既存でインポートしたものには適用されない

所々にチェックボックスがあるのであわせてご紹介します。

    • パスワードの作成
      各コンポーネントのパスワードを自動生成し、VCF Operations上で自動管理したい場合はチェックを入れる
    • CEIPの有効化

    全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。


    続いて、VCF Operationsの設定に移ります。設定項目は下記になります。

    図8.jpg

    • Operations Applianceのサイズ
    • OperationsのプライマリFQDN
    • 各種パスワード

    全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。


    続いて、vCenterの設定に移ります。設定項目は下記になります。

    図9.jpg

    • アプライアンスの FQDN
    • プライアンスのサイズ
    • アプライアンスのストレージサイズ
    • データセンター名
    • クラスタ名
    • ドメイン名
    • 各種パスワード

    全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。


    続いて、ストレージの設定に移ります。今回はvSAN OSAを選択します。

    図10.jpg

    • ストレージタイプの選択
      vSAN、FC、NFSから選択可能
    • vSANアーキテクチャ
    • vSANデータストア名
    • 許容障害数

    全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。


    続いてESXホスト情報を入力していきます。まずはESXのrootパスワードを入力します。

    次に、ホストのFQDNを入力します。ホスト数を増やしたい場合は、「ホストの追加」をクリックして、入力枠を増やせます。入力し終えたら、「追加」をクリックします。

    図11.jpg

    ホストのフィンガープリントを確認します。「すべてのフィンガープリントを確認」をクリックすれば、全ホストのフィンガープリントの確認を行うことができます。

    図12.jpg

    フィンガープリントの確認まで無事終了したら、「次へ」をクリックして進みます。

    図13.jpg


    続いてネットワークの設定を行います。設定するネットワークはESX管理・仮想マシン管理・vMotion・vSANになります。

    各ネットワークにおいて、VLAN ID・MTU・CIDR・GWを設定していきます。また仮想マシン管理ネットワークに関しては、チェックを入れることでESX管理ネットワークと同ネットワークにすることが可能です。

    図14.jpg

    全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。


    続いて分散仮想スイッチ(vDS)の設定になります。vDSの構成には、事前構成済みのデフォルトプロファイル、Storage Traffic Separation、カスタムプロファイルの3つから選択することができます。
    今回はデフォルトプロファイルを使用します。

    図15.jpg

    • デフォルト
      1つのvDS上にESX管理、仮想マシン管理、vSAN、vMotion、NSXトランスポートゾーンの各ポートグループが最初から自動的に作成されている
    • Storage Traffic Separation
      2つのvDSを作成し、ストレージトラフィックとそれ以外のトラフィックとで分ける
    • カスタムスイッチ構成
      デフォルトとは異なり、最初からポートグループが作成されていないため、手動で設定していく

    図16.jpg

    図17.jpg

    全て入力し終えたら、「次へ」をクリックします。


    内容に問題がないかを確認し、問題なければ「次へ」をクリックして事前チェックに進みます。

    図18.jpg


    事前チェックが開始されます。全てのチェック項目のステータスが"成功"になればデプロイへ進むことができます。
    ステータスが"警告"の項目については、内容を確認した上で「確認」をクリックすると、先へ進むことができます。

    図19.jpg

    検証が全て成功したら、「デプロイ」をクリックします。

    図20.jpg


    デプロイが開始されると、下記の画面で進行状況を把握できます。

    図21.jpg

    全てデプロイが完了すると下記の画面になります。これでVVFの新規構築は完了です。画面にある「VCF Operationsユーザーインターフェースを開く」をクリックすることで、VCF Operationsのログイン画面へ飛ぶことができます。

    図22.jpg

    VCF OperationsへvCenterの登録

    VVF環境が無事に構築されたら、VCF OperationsへvCenterを登録する作業が必要です。VCFの新規構築の場合は、自動的にアカウント追加がされますが、VVFの場合は、現状手動で追加する必要があります。

    VCF Operationsにログインします。

    図23.jpg


    「次へ」をクリックします。

    図24.jpg


    エンドユーザー使用許諾契約書に同意し、「次へ」進みます。

    図25.jpg


    「次へ」をクリックします。

    図26.jpg


    「完了」をクリックします。

    図27.jpg


    vCenterアカウントが追加されていないため、追加していきます。
    「管理」メニュー内にある「統合」をクリックします。

    図28.jpg


    「追加」をクリックします。

    図29.jpg


    アカウントタイプで「vCenter」を選択します。

    図30.jpg


    クラウドアカウント情報で任意の名前を入力します。
    次にvCenterのFQDNを入力します。認証情報にある+をクリックします。

    図31.jpg


    任意の認証情報名、SSOユーザー名、パスワードを入力し、「OK」をクリックします。

    図32.jpg


    「接続の検証」をクリックします。

    図33.jpg


    証明書を確認し、「受け入れる」をクリックします。

    図34.jpg


    無事接続されました。「OK」をクリックします。

    図35.jpg


    「vSAN」をクリックします。

    図36.jpg


    「vSANの構成」をONにし、「接続の検証」をクリックします。

    図37.jpg


    無事接続されました。「OK」をクリックします。

    図35.jpg


    「追加」をクリックします。

    図38.jpg


    アカウント追加後、手動で環境の監視を開始させる必要があります。「OK」をクリックします。

    図39.jpg


    3点メニューを開き、「収集の開始」をクリックします。

    図40.jpg


    ステータスが収集中になれば完了です。

    図41.jpg


    インベントリにもvCenterが表示されました。これでアカウントの追加は完了です。

    図42.jpg

    以上がVVF環境の新規構築手順になります。

    著者紹介

    SB C&S株式会社
    ICT事業本部 技術本部 技術統括部
    第1技術部 1課
    大塚 亜人夢 - Atomu Otsuka -

    VMware vExpert