皆さん、こんにちは。
今回は、先日開催されたNetApp INSIGHTにて発表された最新情報をお伝えします。 NetAppにて毎年行われるNetApp INSIGHTですが、昨年に引き続き今年もデジタルイベントとして10/20~10/22の3日間にわたり開催されました。
昨年のイベント内容が気になる方は こちらの記事 で紹介していますので、是非チェックしてください。
NetApp INSIGHT 2021 Digital開催概要
NetApp INSIGHTとはワールドワイドで開催されるNetAppのカンファレンスイベントです。世界的にコロナウイルスが広まった影響で、昨年に引き続き今年もデジタルイベントとして開催されました。実際に現地へ足を運びビジネスの空気感を感じられないのは残念ですが、気になる箇所を繰り返し視聴したり、視聴時間に縛られないなど、デジタルイベントならではの強みを最大限に活かしたイベントとなっています。 今年は、「NetApp TV」という専用プラットフォームが用意され、クラウド関連やユーザ事例など、わかりやすくカテゴライズされたセッションをオンデマンドで視聴できるスタイルでした。 また、今回からKeynote以外の全セッションにおいても日本語字幕を選択できるようになったことは、非常に有り難い点でした。
今回のNetApp INSIGHTでは以下のような様々なイベントが開催されました。
●Keynote:NetAppの有識者が最新情報などを紹介 するセッション
●Breakout Session:NetAppの各製品をより詳しく知るためのセッション
●Mega Session: NetAppの各製品や事例に対する特集 セッション
●Customer Technical Session:実際の導入事例や想定されるシナリオを紹介するセッション
● Hands-on Lab :NetAppのリモートラボ環境に接続し製品を体験 できるセッション
● Get certified prep Session :NetAppの認定資格の対策を行う セッション
昨年に引き続き、Keynoteなどの特別なセッションについては、各国にいる参加者の時差を考慮し、3日間という日程の中で、アメリカ、アジアパシフィック、ヨーロッパの時間に合わせてスケジュール配信される配慮がなされていました。
また、ライブ配信されたKeynoteセッションはオンデマンドでも配信され、好きなタイミングで視聴することができました。業務などで忙しい方にとっては、非常に有り難い形かと思います。
ここからは私たちが参加した各イベントのトピックを紹介します。
今回のKeynoteセッションも昨年に引き続き、地域に合わせた時間帯でのライブ配信と、ライブ配信後のオンデマンド配信の両方で見ることができました。 Keynoteの冒頭ではNetAppのCEOであるGeorge Kurian氏が昨年から続くコロナウイルスのパンデミックついて言及し、コロナ下で発生するビジネスの課題をチャンスに変えた人々が多くいることや、今後の働き方がオフィス勤務と在宅勤務のハイブリッドになることを予測し、自社でもハイブリッドな勤務モデルを導入する予定であるなど、ビジネスにおいて成功している企業が常にデータを活用していることを強調しました。 その上で、現代では、顧客への働きかけも他社との競争もデジタル式が主流になりつつあることを主張し、
George Kurian氏が考えるビジネスにおいての新しい成功法則について伝えていました。 「スピード」・・・競争力を示す基本であったビジネス規模に代わってスピードが新たな尺度となった
「柔軟性」・・・IT環境そのものと同じようにいくつもの未来を予想して柔軟に計画を立てる必要がある
「社員を信頼するという企業文化」・・・社員が自分で考え責任を持って行動するために必要な文化
そして、クラウド、ソフトウェア、AI、データを最新のデジタルビジネスの基盤になると捉えることが重要だとも主張し、企業側が何をすべきかについても伝えていました。
「デジタルとクラウドへの移行」・・・デジタル化により従来のビジネスの手法が一変するが、戦略や業務の進め方に柔軟性をもたらす
「ITのポートフォリオとプラットフォームの変革」・・・クラウドを活用し、同時にデータ管理を統合する
「クラウド ネイティブ」・・・クラウド ネイティブな環境を整備することにより、新機能投入までの期間が40%~55%短縮できる可能性がある
これらを踏まえて、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドで「伝説」的な存在となっている人物と対談するという形で、今回のイベントで登場する著名人との対談に移っていく流れでした。
この「伝説」というキーワードが今回のイベントのテーマとなっており、イベントのところどころにキーワードとして盛り込まれていました。
対談の1人目となったのは、AWSのCEOであるAdam Selipsky氏でした。
Adam Selipsky氏は、コロナ下でビジネスにおけるデジタル変革の勢いが格段に強まっていることに触れ、AWSが考える最優先課題として、デジタル変革のペースを速めることが重要であると主張しました。
それに伴い、2021年9月にリリースされたAmazon FSx for NetApp ONTAPを紹介し、ファイルシステム機能が充実したONTAPとAWSの持つ可用性、拡張性、耐久性などが組み合わされた本ソリューションは、クラウド移行を計画している組織に最適であると、デジタル変革をサポートする準備が整っていることをアピールしました。また、クラウドへの移行の重要な要素として「トップダウンのリーダーシップ」、「スタッフのスキルアップ」であると最後に伝えていました。
アプリケーションをモダナイズするための方法について 、NetAppのEVPであるAnthony Lye氏とSVPであるRosen Schwartz氏がトーク番組形式でNetAppのソリューションを紹介しました。
●Cloud Insights
二人は適切にアプリケーションを管理する上で、不要になったアプリケーションについてはきちんと削除しなくてはならないと伝えています。ただし、アプリケーションを削除することで発生しうるインフラへの影響を見極める必要があり、それらを容易にチェックすることができるソリューションがCloud Insightsだと紹介しています。 Cloud Insightsはオンプレミスやクラウドに対応した管理、監視ツールです。 NetApp製品だけでなく、パブリッククラウドや他社製品を監視することも可能です。 番組では、実際にCloud Insightsの画面を表示しながら、アプリケーション毎のデータ量やパフォーマンスが確認できる様子や、設定画面からいかに簡単に監視設定が行えるかについて紹介していました。 さらに、Cloud InsightsではKubernetesクラスタの監視も可能となっており、各Kubernetesクラスタがストレージをどれだけ消費しているかレポーティングできることについてもアピールしました。
●Amazon FSx for NetApp ONTAP:New
次に二人は、アプリケーションのクラウド移行も重要だという考えを伝えており、企業が多様なクラウドプラットフォームを利用する中で、Azure NetApp FilesやCloud Volumes Service for Google Cloudのように、NetAppはどのクラウドプラットフォームに対してもネイティブ サービスとしてONTAPを組み込んでいることを強調しました。その中で、2021年9月にリリースされたばかりのAmazon FSx for NetApp ONTAPを紹介しています。 Amazon FSx for NetApp ONTAPは、AWS内に用意されたフルマネージド型のストレージサービスで、ONTAPの専門知識が深くなくとも、ONTAPの様々な機能を兼ね備えたストレージシステムをAWSの管理コンソール上から簡単にセットアップすることができます。 また、NetAppが提供しているCloud Managerからもセットアップすることができ、より柔軟な管理を提供することができます。 こちらも実際の画面を表示しながら初期セットアップやデータ保護機能の設定などが簡単にできる様子を紹介していました。
●Cloud Manager
さらに、移行だけではなく最新のスピード、柔軟性を兼ね備えたクラウド ネイティブなアプリケーションを提供するKubernets環境を新たに構築する手段もあることを伝えていました。そのためには、Astraを利用してクラウドやONTAP上のKubernetesデータを管理したり、Spot Oceanでコンテナ全般のクラウドインフラを自動化することが必要だと伝えました。 そして、それにはクラウド全体を管理するサービスが必要となり、Cloud Managerならそれが可能であることを紹介していました。 Cloud Managerは、NetAppのクラウドサービスを統合管理する管理サービスです。 データの保護、監視、開発、自動化などCloud Manager1つで一元的に管理することが可能です。 実際の画面を用いての紹介では、Cloud Backup ServiceやCloud Data Sence機能の設定方法を紹介していました。 Cloud Backup Serviceは、クラウドやオンプレミスのONTAPストレージ内にあるデータをオブジェクトストレージへバックアップするサービスです。バックアップ先には、NetAppのオブジェクトストレージであるStorageGRIDだけでなく、Amazon S3やAzure Blob、Google Cloud Storageを選択できます。 Cloud Data Senceは、クラウドやオンプレミスにあるONTAPをスキャンしてデータをマッピング、分類、プライベート情報を特定するデータガバナンスサービスです。これにより、セキュリティとコンプライアンスのリスクを軽減し、ストレージコストを削減することができます。
●Spot by NetApp
続いて、Anthony Lye氏とNetAppのVPであるAmiram Shachar氏が、ニュース番組形式で「◯◯Ops」と題して様々な運用手法に関連するSpotサービスを紹介していきました。
▶Spot Security:New
番組では「SecOps」というテーマで、コロナ下により在宅勤務など働き方が多様化する一方、管理しきれないクラウド環境へのリソース追加や実装が原因でセキュリティリスクが上がってしまうことに触れました。 これまで、セキュリティの領域に踏み込んでこなかったNetAppですが、Spot Securityといフルマネージド クラウド インフラ セキュリティサービスをリリース予定であると発表しました。 特徴として、クラウドリソース内のリスク検出やアラート管理だけでなく、全リソースの関係をマップ化することでリスクの重大度だけでなく、リスクの影響範囲まで提示することができる仕様になっているようです。
▶Eco in Azure:New
続いて、「FinOps」というテーマで、クラウドを利用する上でのコスト管理についての話が展開され、適切なコストを定めるには様々な戦略が必要になることを伝えていました。 NetAppでは、それらをSpot Ecoによって解決できるといいます。 Spot EcoはAmazon EC2の利用状況を分析し、利用コストを最適化した計画を自動的に作成、実行するサービスです。 さらにAmiram Shachar氏から、Microsoft Azureのコスト最適化を実現できるEco in Azureが発表されました。 この発表は、Azureユーザからも非常に喜ばれるかと思います。
▶Ocean for Spark:New
次に「DevOps」というテーマで、クラウドやコンテナでの開発環境の導入や継続的な最適化手法についての話になり、NetAppではElastigroupやOceanがこれに該当すると伝えていました。 そして、Data Mechanicsの買収により、大規模データ用の高速分散処理を実現するSparkとの統合に注力したことで、Ocean for Sparkを新たにリリース予定であることについて発表しました。
▶Spot PC:New
最後に「PCOps」というテーマで、多様化する働き方からどういったPCの運用をすべきか、その課題についての話が展開されました。 2021年7月にリリースされたSpot PCでは、Azure VirtualDesktopまたは、MicrosoftのWindows 365による フルマネージド クラウド デスクトップサービスとして、クラウドから利用できるオンデマンドの仮想デスクトップ環境を提供します。 また、Spotの最適化機能を有しているため、仮想デスクトップ環境のコストを削減しながら利用していくことが可能です。 また、ここではNetAppがCloud Checkerを買収したことも伝えていました。 Cloud Checkerは、クラウド使用状況およびコストの詳細分析機能などを提供して、クラウドリソースをビジネスに合わせて最適なコストで利用できるようにするサービスを展開しています。 今後、Spotとどのような融合をしていくのか楽しみですね。
●ONTAP 9.10:New
続いて、NetAppのEVPであるBrad Anderson氏がハイブリッドクラウド導入への道標として、必要なNetAppのソリューションを紹介していました。 その中で、ONTAPの最新バージョンであるONTAP 9.10について紹介する場面がありました。 ONTAP 9.10では、自動ランサムウェア保護やORSANによる性能向上、拡張オブジェクト機能、簡素化されたE2Eストレージ管理などが新たに機能追加されるようですが、今回は「自動ランサムウェア保護」に焦点を当てて説明していました。 データ管理の世界では、ランサムウェアなどからのデータ保護が重要になってくるにもかかわらず、外部ソフトウェアなどを利用してインフラのパフォーマンスに影響を来す可能性があることから、ほとんどの顧客が保護を行っていないことに触れ、ONTAP 9.10であれば、ONTAP自体に保護機能を組み込んでいるため、インフラのパフォーマンスに影響を与えないことを強調しました。 また、ONTAP 9.10ではランサムウェアを検知した瞬間に自動でボリュームのSnapshotを取得するので、ランサムウェアによりファイルが暗号化されてしまった場合でも、SnapRestoreにより即座にデータを復元できる点についてもアピールしていました。
●Mega Session
今回のNetApp INSIGHTでは、Keynoteに含まれるセッションの他に、NetAppのSVPであるRosen Schwartz氏と各クラウドメーカーのスペシャリスト達がクラウドやアプリケーションの移行について対談するセッションがありました。
●Hands-On Lab
毎年人気の高いHands-On Labですが、今回もデジタルイベントということで人数制限などなく、受講することができました。Spotや Astraといったコンテナ関連のラボも充実しており、普段なかなか触ることのできない環境を試すことができて非常に良かったです。
NetApp INSIGHT 2021 Digital まとめ
前回のNetApp INSIGHT 2020 Digitalでは、クラウドやコンテナに関するセッションが多く、『クラウド全体をNetAppソリューションで管理できる未来を作る』という方向性が感じ取れるイベントだったと紹介しました。今回のNetApp INSIGHTでは、Keynoteや様々なセッションでAmazon FSx for NetApp ONTAP、Spotの新サービスといった具体的な製品群が発表され、クラウドサービスの事例が多く紹介されたことによりクラウド利用の促進がより現実的になってきたと強く感じるイベントでした。
たった一年でクラウドビジネスをここまで拡大してきたNetAppですが、来年のイベントがどのような内容になるか今から待ち遠しいですね。
NetApp INSIGHTのKeynoteやMega SessionなどはYoutubeで公開されています。
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