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NetApp Insight 2020 Digital 参加レポート

ストレージ / HCI
2020.10.30
 
皆さん、こんにちは
 
昨年紹介させて頂いたNetApp Insightが今年はデジタルイベントとして10/26〜29の4日間にわたり開催されました。
 
今回もNetApp Insightで発表された最新情報をお伝えします。
 
 
 NetApp Insight 2020 Digital開催概要               
  
NetApp Insightとはワールドワイドで開催されるNetAppのカンファレンスイベントです。昨年はラスベガスのMandalay Bay Hotel & Convention Centerで開催され今年も同じ会場で開催される予定でしたが、コロナウイルスの感染拡大の影響で今年はデジタルイベントとして開催されました。
 
 
デジタルイベントでの開催でしたが以下のような様々なイベントが開催されました。
 
 ●Keynote:NetAppの有識者が最新情報などを紹介
 ●Breakout Session:NetAppの各製品をより詳しく知るためのセッション
 ●Mega Session:各事例の詳細情報などのセッション
 ●ハンズオンラボ:NetAppのリモートラボ環境に接続し製品を体験
 ●NetApp認定試験:先着で認定試験の割引チケットの配布
 
これまでのように1つの会場で参加者が一堂に会してKeynoteなどの特別なセッションに参加することができず、また、リモートから同じセッションに参加するとなると時差の関係で夜中に参加するということになってしまうことから、4日間の日程の中のアメリカ、アジアパシフィック、ヨーロッパの時間に合わせたスケジュールで配信される配慮がなされていました。
 
ここからは私たちが参加した各イベントの一部を紹介します。
 
 
 Keynoteトピックス               
 
今回のKeynoteセッションは地域に合わせた時間帯でのライブ配信と、ライブ配信後のオンデマンド配信の両方で見ることができました。これまでは現地での同時通訳で受講できていましたが、今回は配信ということもあり字幕付きで見れるようになっていました。
 
Keynoteの冒頭ではNetAppのCEOであるGeorge Kurian氏がコロナウイルスによって生活様式やビジネス環境がリアルタイムでデジタルに変化したことに触れ、クラウドがデジタルビジネスにおけるプラットフォームであることを強調していました。
そんな中、深い知識を持つ『スペシャリスト』が従来のジェネラリスト超えビジネスに貢献するとことを伝えていました。このスペシャリストという言葉がKeynoteで何度も出てきており印象的でした。
 
 
過去NetAppは競合他社に負けないようなクラウドそのものを作ろうとして上手くいかなかったため、顧客のニーズをとらえ、下記のことを実現するためクラウドプロバイダーと提携し様々なサービスを展開するようになったことも伝えていました。
 
「適切なデータを適切な場所に適切な時に配置する」
「28年の経験から構築したクラウドデータサービスやソフトウェアにより、データ活用を支援」
「ミッションクリティカル、パフォーマンス、効率性、可用性をパブリッククラウドに、パブリッククラウドの簡易性と柔軟性を企業にもたらす」
 
 
さらにDataFabricも進化しておりSpot、Talon、CloudJumperなどの買収におけるクラウド機能の強化により『アプリケーションドリブン』のプラットフォームを確立することでクラウドコストを最大90%削減できることをアピールしていました。
 
 

●クラウドプロバイダーとの対談

KeynoteではGeorge Kurian氏が4社のクラウドプロバイダーと対談を行いました。
 

Microsoft

Microsoft社はCEOであるSatya Nadella氏が登壇しました。
Microsoftとのパートナーシップに関して、Azure NetApp Filesを利用しているCoca-Cola社、FERGUSON社、REPSOL社の事例を紹介していました。
 
 

▶IBM

IBM社はCEOであるArvind Krishna氏が登壇しました。
IBMはコロナ禍における様々な危機がビジネスにおけるアクセラレータになっており、3つのビジネスのベクトルとして「デジタル化への加速」、「ハイブリッドクラウド」、「AI」があると紹介していました。これらの促進のために今後ともNetAppとの連携を強化すると語っていました。
 
 

AWS

AWS社はエンジニアのVPであるBill Vass氏が登壇していました。
Bill Vass氏は機械学習の重要性と機械学習には膨大なデータが必要なことを伝え、今後NetAppとはクラウド環境において、パフォーマンス、セキュリティ、スケーラビリティ、ROIを一緒に改善していくと語っていました。
 
 

Google Cloud

今回のNetApp Insight 2020 Digitalの目玉(?)としてNetApp社のCEOのGeorge Kurian氏とGoogle Cloud社のCEOのThomas Kurian氏の双子対談が実現しました。
Thomas Kurian氏はActivision社を例にコロナ禍によって増えたゲームの利用者に対応するための拡張可能な基盤としてGoogle Cloudへの移行を紹介していました。
ゲーミングプラットフォームは大量のイメージやメタデータが配置され、ワールドワイドで展開ができ、低レイテンシでかつ素早く配信されることが求められますが、Activision社はその環境にNetApp Cloud Volumesを利用することで拡張性やレスポンスタイムといった性能面の心配をすることなくクラウドへの移行を実現したと紹介していました。
 
 
 

●ユーザ事例

Keynoteではいくつかのユーザ事例が紹介されました。
 

AstraZeneca

製薬会社であるAstraZeneca社はコロナウイルスのワクチンやその他の新薬を開発するため20億人分のデータを使用しています。その際にAWS、Azure、GCP、アリババといったパブリッククラウドを利用しており、そのパブリッククラウド間の連携でNetAppのソリューションを利用しているとのことでした。
 
 

Children's Cancer Institute

オーストラリアの小児がん研究所では80TBを超えるゲノム情報などのデータをクラウドへ移行するにあたりNetAppのソリューションを活用しました。
また、データを世界中で共有するためにDataFabricで異なるクラウド間でもデータを共有できることを評価していました。
 
 

●新プロダクトおよびソリューション

Spot

クラウドリソースの自動最適化を実現するソリューションであるSpotについて概要が紹介されました。
Spotの1つの利点として複数のクラウド環境でコンテナをデプロイするのに適切な価格、リソースを管理することが挙げられます。SpotがNetAppに加わることによりユーザはストレージのサイズ、設定、パフォーマンなども管理せず自動で最適化されるようになっていくとのことです。
 
 

ONTAP 9.8

ONTAPのメジャーアップデートである『ONTAP 9.8』が紹介されました。
ONTAP 9.8でさらなるシンプル化などが行われた、管理コンソールであるSystem Managerをデモを交えて紹介していました。
System Managerの改善はONTAP 9.7から実施されているのですが、その時からダッシュボードでパフォーマンスを確認するなどわかりやすい画面表示になっていました(ONTAP 9.7のSystem Managerについてはこちらの記事を参照)。
今回から更に ( 物理ポート )〜( LIF )〜( SVM )〜( 共有 )といったデータの流れがひと目で分かる表示や、ファイルシステムやディレクトリまで表示されるエクスプローラー、クラスタ全体のワンクリック無停止アップグレードが紹介されました。
 
 
ONTAP 9.8では管理画面の強化だけでなくアーキテクチャの改善や機能追加が成されています。
ストレージの効率化(圧縮、重複排除)に関してはアーキテクチャの改善によりストレージ効率が33%も向上したとのことです。
 
 
パブリッククラウドとの連携についても強化されています。
リモート拠点でのキャッシュ機能を実現するFlexCacheについてはSMBをサポートします。
FabricPoolについては、これまでAFFとオールフラッシュ構成FASでのみサポートしていましたが、HDD構成のFASでも設定が可能となります。
SnapMirrorによるレプリケーションについては、これまでパブリッククラウドへデータレプリケーションを実施するにはCloud Volumes ONTAPが宛先として必要でしたが、ONTAP 9.8ではAmazon S3に直接データを送ることが可能となります。
 
 

新ハードウエアモデル

ONTAP 9.8から対応する新ハードウエアモデルとしてAFF A250とFAS500fが発表されました。
AFF A250はNVMeに対応しパフォーマンスが強化されたオールフラッシュモデルで、特定のワークロードにおける性能が従来モデルの AFF A220 に比べて 45% も向上することが紹介されていました。FAS500fはFASで有りながらQLC SSDを用いることによりオールフラッシュで大容量かつGB単価が重視されたモデルになっています。
 
 
Keynoteでは新情報の一部を紹介していますが、紹介しきれていない製品の詳しい情報はBreakout Sessionで紹介されていました。
 
 
気になる情報が色々あるかもしれませんが、Breakout sessionの情報はConfidential情報のためこちらでは紹介できません。気になる情報がありましたらお声がけ下さい。
 
 
 Mega Sessionトピックス               
Mega Sessionに関しても様々なセッションが用意されていました。その中でもKubernetesに関してのトピックを紹介します。
NetAppでもよく「コンテナって重要なの?」と聞かれるそうです。
NetAppでは以下の観点からデジタルトランスフォーメーションに欠かせないものと紹介しています。
 
・アプリケーションの基盤において軽量であるため展開が容易
・開発環境から本番環境への移行が容易
・オンプレであろうとパブリッククラウドであろうと移動が可能
 
そのためNetAppではコンテナの管理に力を入れており「Project Astra」と「Spot」をデモを交えて紹介していました。
 

Project Astra

KubernetesクラスタをProject Astraに登録するだけで自動でアプリを探知しカタログからSnapshotやクローンを作成できます。
 

Spot Ocean

SpotのOceanはKubernetesクラスタのサイズや展開先のパブリッククラウドでのコストなど管理し適切なリソースを自動でスケールアップ、スケールダウンするツールです。
デモではOceanが管理するKubernetesに大量のトラフィックを送信しクラスタが自動でスケールアップする流れを紹介していました。
 
 
 NetApp Insight 2020 Digitalその他トピックス               

 

●ハンズオンラボ

これまでのNetApp Insightでも人気が高くキャンセル待ちまで出ていたハンズオンラボが今回のオンラインイベントでも受講できました。
今回のハンズオンラボでは21個のラボが用意されており、REST APIやKubernetesといったラボ受講できました。
オンラインイベントのため人数制限やキャンセル待ちがないので、これまでよりも快適に受講できました。ハンズオンラボに関してはこれからも同じ形式で受講できると嬉しいです。
 
 

●Gear Store

例年はイベント会場にてNetApp関連グッズが販売されていたのですが、デジタルイベントとなったためGear Storeは出店しないと思っていたのですが、イベント参加に応じて貯まるポイントでグッズを交換できるイベントやオンライン販売でのグッズ購入が用意されておりイベントを盛り上げていました。
 
 
 
 NetApp Insight 2020 Digitalまとめ               
今回のNetApp Insightはオンラインという形でありながら数多くの情報が公開されていたのが印象的でした。
クラウドに対応するためのライナップ強化はもちろんのこと、これまでのNetAppの主軸であったストレージ製品に関してもハイブリッドクラウド目指すための機能強化がより進んでいると感じました。
また、どのセッションを受講しても「Cloud」、「アプリケーション」、「Kubernetes」というキーワードが出てきておりストレージのビジネスだけでなく『クラウド全体をNetAppソリューションで管理できる未来を作る』という方向性が感じ取れるイベントでした。
 
まか今回のNetApp InsightのKeynoteやMega SessionはYoutubeで公開されていますので、NetAppが目指すハイブリッドクラウドをより体感したい方はチェックして下さい。
 
●Day 1 Keynote & MegaSession
 
●Day 2 Keynote & MegaSession
 
来年はどのような形で開催されるかわかりませんが、皆様もご参加頂き高いレベルのクラウドビジネスの変革を体感してください。
 

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著者紹介

SB C&S株式会社
技術統括部 第1技術部 2課
小川 正一(VMware vExpert)

 
 

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SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第1技術部 2課
河村 龍