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実はすごい!NetAppのSAN専用ストレージ ASAシリーズのご紹介!

ストレージ / HCI
2024.04.17

みなさん、こんにちは。
SB C&S 技術担当の河村です。

みなさんはNetAppが提供する「ASAシリーズ」のことをご存じでしょうか。
NASやSAN、オブジェクトストレージまで網羅したユニファイドストレージの先駆者としてストレージ業界に君臨するNetAppですが、実はSAN専用に最適化されたASAシリーズというブロックストレージをラインナップとして取り揃えています。

今回は、そんなASAシリーズについて、製品ポートフォリオやその特徴をご紹介いたします。

また、本記事を第1弾として、NetAppのASAシリーズに関する情報をシリーズものでまとめていきたいと思います。
第2弾からは実際に実機を使用したセットアップの流れや機能検証などもしていきたいと思いますので、次回以降の記事もお楽しみください。

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 NetApp ASAシリーズとは


NetAppは、「ONTAP」というストレージOS(データ管理ソフトウェア)によって、独自のファイルシステムやセキュリティ/データ保護機能など、多彩で柔軟なデータ管理を提供することで有名です。

そんなONTAPの1つの特徴として、NASやSANなどマルチプロトコルに対応していることが挙げられますが、ストレージ要件の中には用途を絞ったシンプルな構成が求められることも多々あります。

また、NetAppはファイルサーバーとしての実績の高さから、NASのイメージが強い一方で「NetAppをSAN環境でも利用したい」といった声も多く、そういった要望に応え誕生したのがSAN専用ストレージであるASAシリーズになります。

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SAN専用といっても従来のFASシリーズやAFFシリーズと同様、ストレージOSにはONTAPが採用されており、高速なデータアクセスやストレージ効率化機能はそのままでSANに最適化したカスタマイズがされています。

また、ASAは「All-Flash SAN Array」の略となっており、AFFシリーズと同じくオールフラッシュストレージとなっております。

 製品ポートフォリオ


続いてASAシリーズの製品ポートフォリオをご紹介します。

ASA Aシリーズ

ASA Aシリーズはミッションクリティカルでパフォーマンス要件の厳しいデータベースや仮想化環境向けのオールフラッシュストレージです。
小規模ワークロード向けのA150から大規模かつ高パフォーマンスが求められるワークロード向けのA900まで、幅広いラインナップで提供されています。

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ASA Cシリーズ

ASA CシリーズはAFF Cシリーズと同様、SSDの中でもQLCというストレージ効率の非常に高いNAND型のフラッシュメモリをストレージデバイスとして採用しています。
そのため、一般的なTLC SSDよりも大容量かつ低価格での提供を実現しており、オールフラッシュとしてのパフォーマンスを確保しながら、驚くほど導入コストを下げることができる製品となっています。

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ちなみに、上記のようなメリットからAFF Cシリーズの人気が急上昇している背景を鑑みるとASA Cシリーズについても今後の動向が非常に気になる製品の1つかなと感じています。

それぞれのシリーズの最適なワークロードは以下のようになっています。

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まず、ご注意いただきたい点として、ユニファイドストレージでもおなじみのハイブリッドフラッシュストレージであるFASシリーズですが、SAN専用ストレージで同等の製品はリリースされておりません。

そのため、パフォーマンス要件が厳しくない価格重視の選定をされる場合は、従来通りFASシリーズをご選択いただければと思います。

次にASA Aシリーズですが、こちらはオールフラッシュストレージとして、TLC SSDを採用したハイパフォーマンスなデータアクセスが売りとなっているため、VDIやサーバ仮想化基盤、SAPなどのミッションクリティカルなワークロードにおすすめな製品となっています。

そして最後にASA Cシリーズですが、QLC SSDの採用により、パフォーマンスと価格のバランスが良いため、Tier1~2のような幅広いワークロードにおいて能力を発揮できる製品となっています。

 ASAシリーズの特徴


ここからはASAシリーズについて、いくつかの特徴をピックアップしてご紹介します。

SAN専用に最適化されたONTAP

ASAシリーズ上で動作するONTAPは、SAN専用ということでNASに関連する機能がカットされて軽量かつシンプルな構成になっています。
一方でビジネスの可用性を担保するためのASAシリーズ専用機能も搭載するなど、SANのワークロードのために最適化されたONTAPが搭載されています。

また、軽量化されていることにより、従来のONTAPを搭載したAFFシリーズよりも低価格で提供することが可能となっているため、SANのみで利用する場合はASAシリーズをご選択いただいた方が機能とコストの両方でメリットを享受することができます。

SnapMirror Business Continuity(SM-BC)

SnapMirrorは、同一クラスタ内または、異なるクラスタ間でデータをレプリケーションする機能です。
バックアップやDR目的のため、同期先のボリュームでは書き込みが禁止されActive-Standby構成で動作する機能となっており、Active側で障害が発生した場合は、手動によるフェイルオーバーが必要になります。

しかし、特にSANのワークロードではVDIやアプリケーション基盤など、ミッションクリティカルなシステムの場合が多く、障害時の自動フェイルオーバーが求められる傾向にあります。

そんな中、ONTAPではSANでの利用に限り、SnapMirror Bussiness Continuity(以下:SM-BC)というActive-Active構成かつ、自動フェイルオーバーに対応したレプリケーション機能を提供しています。

【正常時の動作】
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【障害時の動作】
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※SM-BCはSAN専用の機能のため、ASAシリーズ以外にもAFFシリーズをSANプロトコルでご利用いただく場合は使用可能です。

Persistent Port(永続ポート)

もともとASAシリーズのネットワーク構成は「Symmetric Active/Active」というLUNに対する全てのパスがActiveとなることで、障害時でもデータアクセスの停止を最小限に抑える手法を取っていました。

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現在では、さらにビジネス可用性を高めるため、FCプロトコルの利用時のみ、Persistent Portという機能により、高可用性かつパフォーマンス劣化の少ない構成がデフォルト設定として採用されています。

仕組みとしては、Activeなパスと同じポート情報(WWPNや速度設定など)を持つシャドウLIFと呼ばれる冗長パスを各ノードに配置しておくことで、障害発生時にシャドウLIFがActiveパスへ切り替わり、データアクセスの遮断を防ぐ形となっています。

さらに、ホスト側からは障害発生前と変わらないポート情報が見えているため、フェイルオーバー自体も発生せず、かつActiveパスの本数や帯域幅も変わることなく、システムへの影響を極限まで低減することが可能になっています。

08.png※Persistent PortはASAシリーズでFCプロトコルを利用する際のみご利用可能です。

Tamperproof Snapshot

ONTAPにはSnapLockというボリュームのWORM化機能が存在します。
WORM化はデータ保護の観点において非常に強力ですが、一度しか書き込みができないという制約のため、ファイルシステムや仮想化基盤といったデータアクセスが頻繁に発生するワークロードでは使い勝手が悪く、アーカイブ目的で使用されるケースが多いかと思います。

Tamperproof Snapshotでは、ボリュームのスナップショットのみをWORM化することにより、通常運用に影響なくスナップショットの改ざん/削除を防止する堅牢性の高いデータ保護を提供します。

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※Tamperproof SnapshotはFAS/AFFシリーズ、ASAシリーズの全てでサポートされます。

VMwareとの連携

NetAppでは、VMware環境でのデータ管理を手助けする便利なプラグインを提供しています。
もちろんASAシリーズをご利用の場合もこれらのプラグインを使用することが可能です。

① ONTAP tools for VMware vSphere

ONTAP tools for VMware vSphere(以下:OTV)は、VMware環境からNetAppストレージを直接管理するためのvCenter用プラグインです。

OTVには、「Virtual Storage Console」「VASA Provider」「Storage Replication Adapter」の3つのコンポーネントが内包されており、vCenterからNetAppストレージのボリュームを使用したデータストアをプロビジョニングしたり、VMwareのSite Recovery Managerと連携したデータストアや仮想マシンのDRレプリケーション機能を提供することができます。

【OTVでデータストアをプロビジョニングする際の画面】
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② SnapCenter Plug-in for VMware vSphere

SnapCenter Plug-in for VMware vSphere(以下:SCV)は、VMware環境でデータストアや仮想マシンのバックアップ/リストアを実行するためのvCenter用プラグインです。

バックアップの実行処理はホストではなく、ストレージ側にオフロードされてバックグラウンドでONTAPのSnapshotが実行される仕組みとなっているため、ホストに負荷をかけない高速なバックアップが可能となっています。

また、バックアップしたデータをそのままSnapMirrorで遠隔地にレプリケーションすることも可能です。

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これらのプラグインは全て無償となっており、ストレージにNetAppを採用いただいた方は皆様ご利用できます。

まだまだASAシリーズの魅力はたくさんありますが、より詳細なご紹介については第2弾以降の記事でお話しさせていただければと思います。

 ライセンス


続いてASAシリーズに適用されるライセンスについてご説明します。

現在、FAS/AFFシリーズのライセンスは「ONTAP One」というすべての機能が利用できるオールインワンライセンスと「ONTAP Base」という基本的な機能のみが利用できるライセンスの2種類となっています。

一方でASAシリーズでは「ONTAP One for SAN」という専用ライセンスが適用されており、ASAシリーズで利用可能なすべての機能が含まれるオールインワンライセンスとなっています。
ASAシリーズにはONTAP Baseの代わりとなる基本ライセンスは存在しないのでご注意ください。

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※1.ONTAP One for SANでは、使用可能なプロトコルや機能に一部差分があります。

 勘違いされてる!? 昔のASAシリーズであった問題について


最後にASAシリーズのサイジングについて、勘違いされるケースが多い問題がありますので、こちらについてご紹介いたします。

・・・ASAシリーズではスナップショット用の容量をLUNの2倍確保しないといけない?

皆さんは、こんな言葉を見聞きしたことはないでしょうか?
ONTAPのSnapshotはRedirect on Writeという方式を取っており、ボリューム作成時にSnapshot専用の領域は持たせず、Snapshotを取得するたびにAggregate(ストレージプール領域)から必要な容量が自動で切り出される仕組みになっています。

そのため、Snapshotの容量が膨れ上がるとボリューム内の実データを入れるスペースが枯渇する可能性がありました。

ただし、これについてはRedirect on Write方式をシンプロビジョニングで使う際の一般的な仕様となっており、基本的にはオペミス以外にほぼほぼ起こりえないため、これ自体は問題ではありませんでした。

しかし、ONTAPの過去のバージョンでは、Aggregateの容量が枯渇するとLUNがオフラインになってしまうという仕様があり、これを避けるためにLUNの2倍の容量をスナップショット用としてAggregateに確保しなければならないという指針が提示されていました。

ですが!
この問題はとっくの昔に解決されています!!!

現在では、Aggregateの容量が枯渇してもLUNはRead-Onlyとなる設定(他社ブロックストレージと同様)や、ボリュームの自動拡張設定、古いSnapshotを自動削除する設定など、様々なオプションがデフォルトで有効化されており、過去にあったサイジングの問題については全て解消されています。

是非、安心してASAシリーズをご提案いただければと思います。

 まとめ             
 

今回はNetAppのSAN専用ストレージであるASAシリーズについてご紹介させていただきました。
製品ポートフォリオや機能、特徴など魅力的なストレージであることはお伝え出来たかなと思います。

NetAppのストレージは、機能性やカスタマイズ性を謳ったプレゼンが多いのが特徴ですが、ASAシリーズとくにCシリーズにいたってはこれらに追加して「価格面でも競争力がある!」というメッセージが出るほどコストについても1つの提案ポイントになる製品となっています。

是非、この機会にASAシリーズを知っていただけますと幸いです。
製品説明や案件のご支援など、NetAppのアレコレについては弊社までお問い合わせください。


次回からは、そんなASAシリーズのセットアップや機能検証などを実機を使ってご紹介していきたいと思いますので、ASA記事シリーズの第2弾を楽しみにお待ちください。


※サービスや製品の仕様ならびに動作に関しては、予告なく改変される場合があります。
※本記事は2024年4月時点の情報に基づいて作成しています。
 その後のアップデートによる仕様変更等についてはメーカードキュメントをご参照ください。


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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第1技術部 2課
河村 龍