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Omnissa ONE 参加レポート -Omnissa ONEで語られたロードマップ-

Omnissa
2024.10.03

こんにちは。SB C&Sの石井です。

2023年11月にBroadcom社によるVMware社の買収が完了しました。さらに、その中でもVMware EUC部門は事業売却が発表され、新たに【Omnissa】というブランドで新会社が設立されました。
Omnissaの紹介や主要プロダクト、買収後の製品の変化などについては以下ブログをご確認ください。
VMware EUCから独立したOmnissaとは

そして、2024年9月26日には、日本でOmnissaとして初の対外イベントである「Omnissa ONE」が開催されました。
本ブログでは、「Omnissa ONE」で発表された今後のビジョンや注目アップデートについて紹介します。

今後のビジョンについて

まずは、「Omnissa ONE」で発表された今後のビジョンについて説明します。

Omnissa ONEの基調講演では、CEOのShankar Iyer氏の登壇からスタートしました。
Shankar Iyer氏は、Omnissaが設立されたばかり企業でありながら、VMware時代からの20年以上の経験を持ち、年間1.5億ドルの継続収益をあげる大企業として成長していると説明されました。また、従業員も世界に4,000人以上おり、企業価値は40億ドルに達すると紹介されました。

そして、Broadcomからの独立に伴い、顧客やパートナーからも評価を受けており、新たな独立企業としてデジタルワークスペースの領域において迅速かつ的確な対応をし続けることを目指していると説明されました。

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今後の重点的な取り組みとしては、以下の3点挙げられました。

1点目は、従業員に対してスマートでシームレスかつセキュアな体験を提供することです。現代のビジネスにおいてデジタルワークスペースが、サイバーセキュリティ・AI・クラウドに並んで企業の優先事項であると語られました。特に、従業員体験(Digital Employee Experience)は、ビジネスにおいて重要視されており、従業員が生産的に働けるデジタルツールを提供することが求められています。

2点目は、エンドポイント管理の複雑化についてです。AIドリブンのプラットフォームを活用することで、管理者の手間を最小限に抑え、コストも削減することを示しています。

3点目は、セキュリティ、IT運用、コストの最適化についてです。エンドポイントのデータを確保し、セキュリティや運用の負担軽減に貢献します。

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今後の成長戦略として、以下の3点を挙げられました。

1点目は、ビジネス環境の改善です。顧客とのビジネスをスムーズにするため、カスタマーエクスペリエンスを統合し、製品の購入から運用までのプロセスをシンプルかつ効率的にする取り組みを進めます。さらに、将来的にはより柔軟な価格モデルの提供を目指していると紹介されました。

2点目は、テクノロジーイノベーションです。デジタルワークスペースの未来をリードする企業として、テクノロジー投資を継続し、デジタルワークスペースの分野でトップの企業を目指すと強調されていました。特に、日本市場ではVMware時代からの重要な市場であり、日本市場への投資を強化させて、成長を加速していくと語られました。

3点目は、エコシステムの拡大です。Omnissaは、パートナーエコシステムを強化し、MicrosoftやGoogle、Apple、Amazonとの関係を強化していきます。また、セキュリティ分野においても製品の連携を強化していくと説明されました。

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以上が、Shankar Iyer氏から語られたOmnissaの今後の戦略です。

 

注目アップデート&ロードマップ

続いて、製品担当副社長のBharath Rangarajan氏が登壇しました。Omnissaによるプラットフォーム戦略では、柱となる4つのソリューションがあると説明されました。

  • 仮想デスクトップとアプリ
  • 統合エンドポイント管理(UEM)
  • セキュリティとコンプライアンス
  • デジタル従業員体験(DEX)

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そして、これら4つのソリューションを元に、「よりスマートなIT」「シームレスな体験」「プロアクティブなセキュリティ」の成果を実現すると語られました。

 

ここからは、柱となる4つのソリューションを元に、特に気になったアップデートやロードマップを紹介していきます。

仮想デスクトップとアプリ

Horizonの重要なテーマとして、真のマルチクラウドソリューションとして機能を拡張していく方針が語られました。Omnissaに独立したことにより、パートナーエコシステムを強化していき、パブリックやプライベート、オンプレミスの自由な選択を目指していくと説明されました。

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現在オンプレミスでHorizonを利用する場合、仮想化基盤としての選択肢はvSphereのみとなっております。Horizonのセッションでは、どの仮想化基盤に対応するかは明言されませんでしたが、今後vSphere以外の仮想化基盤も対応していくとのことでした。

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Horizon Cloudに関しても現状Azureのみのサポートとなっていますが、Amazon Workspaceへの対応をしていくロードマップが発表されました。

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マルチクラウドソリューションとしてのロードマップは、Omnissaに独立したことをきっかけとする、他ベンダーとの関係を強化していくことが強く伝わる内容でした。弊社でも、Omnissaが独立したことによるHorizonの仮想化基盤の選択については、よくお問い合わせも受けるので今後の発表が楽しみです。


また、App Volumesのロードマップも発表されました。今後はVDIだけでなく、物理デスクトップに対するアプリケーション配信をサポートすることにより、全てのWindowsエンドポイントを対象に、パッケージしたアプリケーションを配信していくビジョンが語られました。
その他にも、App Volumesでパッケージ化されたアプリに対する、ユーザーレビュー機能がロードマップとして発表されました。異なるバージョンのアプリを配信し、どちらが使いやすいかユーザー評価を収集する機能として、デモを混じえて紹介されました。ユーザーの評価を分析し、従業員体験を向上させる機能となるようです。

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統合エンドポイント管理(UEM)

UEMの領域では、市場において、Workspace ONEはリーダーとして評価されていると語られました。IDC MarketScapeのUEM部門では4つの分野でリーダーに選出されています。
詳細な情報については、以下のOmnissaブログをご参照ください。
omnissa ブログ - Broadcom (VMware) named a Leader in four 2024 IDC MarketScape assessments for UEM


そして、今後もWorkspace ONEの強みであるマルチデバイス管理に力を入れていくと語られました。新しいデバイスのサポートとしては、Mixed Reality (MR)デバイスとして話題のApple Vison Proのサポートが発表されていました。プロファイルやコマンドのサポート、そしてWorkspace ONEの生産性アプリ等をサポートしていくようです。

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他にもiOSやmacOSに対しての宣言型デバイス管理やAndroid Management API(AMAPI)、Linuxデバイスの管理強化など今後もマルチデバイス管理を強化していくことが説明されました。

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さらに、Workspace ONEの裏側で動いているアーキテクチャを、マイクロサービスアーキテクチャというアーキテクチャに最新化すると語られました。最新化することにより新機能の迅速な提供やリソースの配信の改善、より柔軟なワークフローへの対応が可能になります。なお、最新アーキテクチャの提供は近日中に変更予定で、ユーザー側でアップデートに対する追加作業は必要ないとのことです。

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この最新アーキテクチャにより、様々な追加機能が利用可能になるとのことで、今後の機能アップデートが期待されます。

すでにリリース済みの機能ではありますがWindows マルチユーザーサポートも利用できます。これにより、1つのデバイスを複数のユーザーに利用させたい場合、デバイスを再加入させることなく、ユーザーのログイン/ログアウトでポリシーやアプリケーションのカスタマイズをすることが可能です。Windowsデバイスが、シフト勤務での利用や共有デバイスなどのユースケースに対応することが可能になります。

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セキュリティとコンプライアンス

セキュリティの領域では、Omnissaの独立によりTrust Networkを強化していくと語られました。他のベンダソリューションと連携してデータを共有することで、セキュリティの可視化や分析などを強化していきます。そしてCAEPプロトコルと統合することにより、リアルタイムでセキュリティのイベントを評価し、デバイス管理のアクションとして制御を実施していきます。

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Trust Networkの強化は、Horizonのマルチプラットフォーム対応のビジョンと同様に、Omnissaが独立起業となった事を契機とした他ベンダーとのエコシステム強化の指針を色濃く感じる内容でした。OktaおよびThalesとの連携が発表され、今後さらに追加される予定とのことで、ゼロトラストを実現する各社セキュリティ製品との連携について今後の発表を期待したいと思います。

 

デジタル従業員体験(DEX)

今後のDEXの重要なテーマとしては対応範囲の拡大と連携システムの拡充が挙げられました。WindowsデバイスだけでなくmacOSやモバイルデバイス、さらに仮想デスクトップやアプリに対してもDEXの範囲を拡大し、デジタルワークスペース領域全体で包括的なサポートをします。ユーザーは1つのソリューションを使用して、デジタルエクスペリエンス全体を確認できるようになります。また、連携システムも今後拡充していくとのことでした。

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さらに、Workspace ONEの大きな発表としてAIチャットボットの「Omni」が発表されました。自然言語処理を活用し、データクエリやドキュメントの検索、問題の解決を支援します。ユーザーからの質問に対して、データ分析をし、適切なアクションを提案することが可能になります。

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デモンストレーションでは、検出されたPC環境の障害に対し「Omni」に言葉で指示を伝え、障害原因を分析するダッシュボードの作成などを実施していました。

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さらに、将来的には対話型のアシスタントから、ユーザーの介入を必要せずに自律的に意思決定を行う、自律型ワークスペースを目指していると発表されました。
これにより、デジタル従業員体験(DEX)の対象をエンドユーザーだけでなく、IT管理者に対しての満足度向上も目指せるのではないか、と感じました。

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まとめ

本ブログ記事ではOmnissaの日本初の対外イベントである「Omnissa ONE」の内容をご紹介しました。

Omnissaへ独立したことにより、製品の投資を100%EUCに集中することができます。そのため、VMware時代より大きなアップデート等がこれから出てくるかと思いますので、引き続きOmnissaの最新情報を楽しみに待っていければと思います。
今後も、Omnissaに関する情報を発信していきますので、引き続きご確認いただけますと幸いです。

Horizonの製品情報はこちら

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部
第1技術部 1課
石井 基久 - Motohisa Ishii -

VMware vExpert