こんにちは。SB C&Sの石井です。
2024年7月1日にBroadcom社からVMware EUC(End User Computing)部門の売却が完了し、正式に【Omnissa】というブランドで新会社が設立されました。日本でも、2024年10月1日付で正式にOmnissaとしての活動が開始されます。
今回は、Omnissaについての概要や主要プロダクト、買収後の製品の変化についてご紹介します。
Omnissaとは
Omnissaとは、VMware EUC部門が独立して設立した企業です。投資会社KKRに40億ドルで買収されました。Omnissaは、VMware EUC時代と変わらずデジタルワークスペースをより良いものにするためテクノロジーを活用する志をもった企業です。そして、スマートでシームレスかつ安全な自動的ワークスペースを提供するビジョンを持っています。
このOmnissaが提供する主要な製品(プロダクト)として、代表的なものは仮想デスクトップソリューションである「Horizon」と、統合エンドポイント管理機能を提供する「Workspace ONE」という製品(プロダクト)です。
そしてこの2つのプロダクトを中心に、下記図のように4つのソリューション、5つのサービスを提供することをビジョンとしております。
ここからは、Omnissaの主要プロダクトであるHorizonとWorkspace ONEの概要を紹介します。
Horizon
Horizon概要
Horizonは、物理端末からOSやデータ、ハードウェアを分離し、デスクトップやアプリケーションを仮想化する製品です。データやリソースはデータセンターなどの仮想化基盤上に集約されるため、重要なデータを保護しながら利用できます。画面イメージだけを転送することでデバイスや場所に依存せずに企業のデスクトップやアプリケーションにアクセスできます。
このHorizonですが、オンプレミス環境だけでなくIaaSやDaaS環境でも利用することが可能です。そのため、お客様の環境に合わせて柔軟な選択をすることが可能です。また、既存でオンプレミス環境を利用しており、新しくクラウド上にもVDIを展開するような、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドの構成も可能です。
Horizon のライセンス
Horizonのライセンス形態ですが、旧提供形態(Omnissaとして独立する前)と大きく変わりません。従来と同様のライセンス形態で製品を購入することができます。
ライセンスの提供形態としては、TermライセンスとSubscriptionライセンスの2種類があります。Termライセンスについては、ライセンスを購入するとライセンスキーが提供され、そのライセンスを入力する形式になります。そのため、閉域網(インターネットに接続しない)で利用することができます。ただし、Horizonはオンプレミスのみの展開となります。
一方、Subscriptionライセンスは、ライセンスを購入してもライセンスキーは提供されません。別途Edge Gatewayと呼ばれるコンポーネントを構築し、クラウド上でライセンスを管理する形式になります。そのため、インターネットへの接続が必須となります。Horizonの利用は、オンプレミスとクラウドの両方から選択できます。
ユーザー種別としては、指定ライセンス(Named User)と同時接続ライセンス(Concurrent User)の2種類があります。指定ライセンスは、Horizonを利用するユーザー分ライセンスを購入する必要があります。
同時接続ライセンスは、Horizonを同時に接続するユーザー分のライセンスが必要になります。そのためHorizonを利用するユーザーが150人いても、シフト勤務などで同時に接続するユーザーが50人であれば、同時接続ライセンスを50ライセンス分購入すれば利用できます。
ここまでは、旧提供形態(Omnissaとして独立する前)と同じ考えになります。ただし、Broadcom社のVMware社買収によるライセンス変更の影響により、Horizonのライセンスに一部変更があります。
まず、VMware Workstationについてです。従来はHorizonのライセンスに含まれていたVMware Workstationですが、今後は含まれなくなっています。よってHorizonをご利用のお客様でWorkstationが必要な場合は、Broadcom社から「VMware Desktop Hypervisor Pro」を別途購入する必要があります。
次に、vSphere・vSANを含む"Bundle版ライセンス"についてです。
"Bundle版ライセンス"のvSphereやvSANは「VMware vSphere Foundation for VDI(VVF for VDI)」というHorizon環境専用で利用できる製品として提供されます。この製品では、Broadcom社のVMware vSphere Foundationとは異なり、AriaやTanzuを使用することはできません。これらの製品を使用したい場合は、"No vSphere 版ライセンス"のHorizonを購入し、Broadcom社から別途vSphereなどのライセンスを購入する必要があります。
BroadcomとOmnissaで企業が分かれる形にはなりましたが、Horizonを利用する仮想化基盤であるvSphere(VVF for VDI)の提供は続けられます。さらに、"Bundle版ライセンス"のHorizonを購入すれば、HorizonとvSphereに関する製品サポートを、Omnissaの窓口で一元的なサポートを受けることができます。
そのため、基本的な使い方や運用は、概ね今までと同じように継続利用できるかと思います。
VVF for VDIについての詳細は以下URLをご参照ください
Omnissa Horizonについて
Workspace ONE
Workspace ONE 概要
Workspace ONEはデジタルワークスペースを提供する製品で、WindowsやAndroid、iOSやmacOSといった様々なデバイス、そしてWin32アプリやパブリックアプリ、SaaSアプリなど管理する統合ソリューションです。
デバイス情報の確認や設定、アプリケーションの配信、SaaSアプリへのアクセス制御、デバイスの遠隔サポートなどデバイスやアプリケーションを1つの製品で一元管理することが可能です。
このWorkspace ONEは複数のコンポーネントで構成されています。今回は、主要となる3つのコンポーネントについて紹介します。
1つ目:Workspace ONE UEM
様々なデバイスを管理・制御することができる統合エンドポイント管理機能を提供しています。Workspace ONE UEMに管理したいデバイスを登録することにより、様々な設定やアプリケーションなどを遠隔から制御することが可能になります。
2つ目:Omnissa Access
ID管理のソリューションです。シングルサインオン(SSO)や多要素認証(MFA)を活用し、ユーザーが安全にアプリケーションへアクセスできる環境を提供します。
※以前は「Workspace ONE Access」という名称でしたが、Omnissaに独立後「Omnissa Access」に変更されました。
3つ目:Omnissa Intelligence
Workspace ONE UEMやAccess、その他サードパーティ製品と連携し、データを収集します。収集したデータを元にダッシュボードの作成やアクションの自動化、分析などを担うソリューションです。
※以前は「Workspace ONE Intelligence」という名称でしたが、Omnissa独立後「Omnissa Intelligence」に変更されました。
Workspace ONE のライセンス
Workspace ONEのライセンス形態も、旧提供形態(Omnissaとして独立する前)と大きく変わりません。従来と同様のライセンス形態で製品を購入することができます。
このWorkspace ONEのライセンス種別には、ユーザーライセンスとデバイスライセンスがあります。ユーザーライセンスは1ユーザー1ライセンスで契約する方式で1ライセンスにつき5台までデバイスを管理することができます。また、Workspace ONEに管理していないデバイスからでもアプリケーションポータルにアクセスできます。
デバイスライセンスは、1デバイス/1ライセンスで契約するライセンス方式です。Workspace ONEに管理していないデバイスからはアプリケーションポータルへアクセスできないのでご注意ください。
まとめ
本ブログ記事では、Broadcom(VMware)から独立したOmnissaの概要や主要製品について紹介しました。VMware EUC時代と変わらずデジタルワークスペースを掲げており、今後の継続的なアップデートに期待したいです。Omnissaに独立したことにより、様々なベンダーとの連携にも注力していくとのことなので、どのブランドと連携して行くのかも楽しみに待ちたいと思います。
今後も、Omnissaに関する情報を発信していきますので、引き続きご確認いただけますと幸いです。
Omnissa ONEの参加レポートはこちら
著者紹介
SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部
第1技術部 1課
石井 基久 - Motohisa Ishii -
VMware vExpert