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新しいNutanixライフサイクル「NCI Release Model」の紹介

ストレージ / HCI
2024.12.23

こんにちは。SB C&Sで技術支援を担当しています、萩原です。

Nutanixのソフトウェアのライフサイクルは、コアな製品であるAOSにおいて、LTS(Long Term Support)とSTS(Short Term Support)の2つのリリースサイクルで長らく運用されていました。それが、2024年に一時的に、eSTS(Extended Short Term Support)が採用され、この度AOS7.0のリリースに合わせて、新たなライフサイクルである「NCI Release Model」が採用となりました。

今回は、この新しい「NCI Release Model」のサポートポリシーをご紹介します。

NCI Release Modelとは

NCI Release Modelは、今までのLTS/STS/eSTSに変わる新しいリリースモデルとそれに付随するサポートライフサイクルになります。
NCI Release Modelの特長は、以下の通りです。

  • NCI製品群のリリース日を統一
    Prism(Central)、AOS、AHV、NCC、Foundation、Flowの各製品が同じ日付にリリースされ、サポートライフサイクル(期間)も揃う形となります。

  • 1年間に2回新バージョンのリリース
    今まで不定期なリリースが続いておりましたが、今後は年に2回リリースされるというサイクルに変わります。

  • サポート期間は、24ヶ月
    リリース後、15ヶ月間のメンテナンス+サポートを提供し、以降9ヶ月のサポートが提供されます。
    (リリース後サポート終了まで24ヶ月)

  • LCMによる段階的な提供
    従来は、LCMでユーザーが選択したバージョンがすぐにアップデート出来ていましたが、今後はLCMに出現するタイミングが制御されます。(詳細は下段で紹介します)

  • 本サポートポリシーは、AOS 7.0 / Prism Central 2024.3から適用

大きな特長としては、Prism CentralやNCCなどのAOSに密接に紐付く各コンポーネントが、全て同一のサポート期間に統一されることで、それぞれのEOSを意識する必要が無くなったという特徴があります。特にPrism Centralのサポート期間は、固定的なスケジュールではなかったため運用に苦慮されていた方もいらっしゃるかと思いますが、その問題も解消されます。

バージョン表記ととパッチリリースのサイクル

今回24ヶ月のサポートサイクルとなりましたが、1つのメインバージョンにおけるメンテナンスサポートは「15ヶ月」となります。
従来通り、以下のバージョン表記となります。

Major Release「X.Y.0」  ・・・ メジャーリリース
Feature Release「X.Y.0」  ・・・ マイナーリリース・新機能リリース
Maintenance Release 「X.Y.Z  ・・・ 一定の機能修正を行ったもののリリース
Patch Release 「X.Y.0.n  ・・・ パッチリリース

Nutanixでは、Feature ReleaseからMaintenance Releaseまで、およそ3ヶ月程度を想定したスケジュールとなっています。

アップグレードステップ(段階アップグレードについて)

従来までも、AOSなどアップデートにおいては,ダイレクトにアップデートを行えるパターンと前バージョンを間に挟んだアップデートである段階アップデートを踏む必要があるケースがありました。このアップデートについても今回明確に、新しくリリースされたバージョンから2世代前のFeature Releaseまで遡るバージョンからのダイレクトなバージョンアップが可能(n-2とNutanixドキュメント上では表記されます)と定義されています。利用バージョンのメンテナンスリリースについては、常にダイレクトにアップグレードが可能となります。

▼製品リリースサイクルとバージョンアップステップについて(バージョン表記は仮)

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LTS/STS時の運用スタイルからの変更について

今までは、STSは、新機能が多く搭載されてバグフィックスが完全ではないどちらかというとアグレッシブなバージョンというイメージが合ったかと思います。一方でLTSは、安定版とか長期サポート版といった印象をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。昔からNutanixに触れていた方は、AOS5.6の時代に突如現れたLST/STSのサポートサイクルでしたが、これが、AOS5.5以前の常に新しいバージョンバイナリの提供に変わるのか?というイメージもお持ちでしょう。本番環境で運用をしていると、どうしても新しく機能追加されたバイナリをすぐに本番環境に適用するのは、抵抗があることは否めないと思います。新しい機能実装により本番環境に支障が出ると業務に大きな影響が出るため避けたいというのは、特に日本においては、多く心配される事項であると思います。
そのような本番環境に影響がないように、新たにLCMを使った段階的なリリースが今回から用意されています。このLCMの段階的なリリースについてご紹介いたします。

LCMを使った段階リリースについて

LTSによるバグのない安定的なバイナリを利用したいという方と、新機能を今すぐ使いたいという方の為にNCI Release Modelでは、LCMを使った段階的なリリースが提供されます。このリリース方法についてご紹介します。

Step1.オフラインアップデートでのバイナリのみ提供(LCMのインベントリには自動表示されない)
新しいメインバージョン(Feature Release)がリリースされると、まずはNutanix Support & Insights Portalのにみ表示されます。ユーザーは個別にダウンロードしLCMにアップロードすることでバージョンアップができます。この段階では、早く新機能を利用したいアグレッシブなユーザーが利用対象となります。Nutanix社は、これらアグレッシブなユーザーからのフィードバックを受けながら利用状況をモニタリングします。

Step2.一部のユーザーに対してLCMで自動表示
一定のフィードバックを受けた後(必要があればパッチリリースを提供の上)、一部のユーザー(一部がどのような定義かは現状不明)にLCMのアップデート画面に自動表示されるようになります。(インターネットに接続されたNutanixクラスターである前提)それらのユーザーがアップデートをし、新しいバイナリを利用した状況をNutanix社は、モニタリングしさらに状況を確認します。

Step3.全てのユーザーにLCMで表示
Step1および2で、多くのフィードバックを受け製品の品質として問題ないとNutanix社で判断された場合、全てのユーザーのLCMに該当のバイナリバージョンが表示されるようになります。(1-Click Ready宣言)

まとめ

突如現れた新しいNCI Release Modelですが、従来のSTS/LTSで培った、新しい機能を使いたいユーザーとバグフィックスされたバージョンを利用したいというそれぞれのユーザーに対する意向を汲んだ形でLCMを使ったリリースモデルが提供されることになりました。NCI Release Modelでは、従来のSTS/LTSで課題であった新しいハードウェアの対応が、新しいLTSバージョンがリリースされるまでSTS利用に限定されるといった課題も解消されます。また、Prism CentralやFoundationなどの個々のコンポーネントのサポート期間が揃うことで、メンテナンスタイミングを計画的にかつ効率的に設定することができるメリットがあります。
なお、AOS 6.10については、今回ご紹介したNCI Release Modelの対象外となり、従来のLTSサポートの考え方が適用されることにも注意してください。

従来のサポートサイクルLTS/STSは、以下を参照ください。

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第3技術部 2課
萩原 隆博 - Takahiro Hagiwara - (Nutanix NTC)

HCIを中心とした仮想化とMicrosoft 365のプリセールスエンジニアを担当しています。
Nutanix Technology Champion 2018-2024