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仮想基盤アセスメントツールの紹介 ~Nutanix Collector編~

ストレージ / HCI
2025.01.14

こんにちは。SBC&Sの中里です。

本記事は、仮想基盤のコスト最適化を検討されている方に向けて活用いただけるアセスメントツールをご紹介するものとなっております。

「仮想基盤アセスメントツールの紹介」サマリ記事はこちら

本記事ではNutanix Collectorについて、概要と利用方法、ツールを使うことで確認できる情報などをお伝えしていきます。その他のツールについては、それぞれの記事にてご確認ください。


製品概要・特徴

Nutanix Collectorは、Nutanixから無償で提供されているITインフラ環境のアセスメントツールです。このツールを使うことで、収集対象の機器スペックやリソース、使用率などの情報を収集することができます。
収集したデータはツール上のGUIで確認したり、エクセル(XLSX)ファイルとしての出力が可能になっています。
また、Nutanix SizerにNutanix Collectorで収集したデータを連携し、Nutanixのサイジングを実施することができます。

Nutanix Collector利用イメージ

Nutanix Collectorを利用する手順としては、以下の流れとなります。

1.Nutanix社のWebサイトからツールをダウンロードする。
2.ダウンロードしたツールの中にあるexeファイルを実行する。
3.ネットワーク経由でツールが自動的にデータを収集する。

Nutanix Collectorはツールをインストールする必要がないため、お客様環境に余計な負荷をかけず、簡単に短時間でデータを収集することが可能になっています。


Nutanix Collectorの対応環境

Nutanix Collectorが対応している動作環境、データ収集可能な環境は以下の通りです。
※2024/12/13時点の最新バージョンv5.3の情報を記載しています。

表1:Nutanix Collectorが動作可能な環境

Windows

7、8、8.1、10、Windows Server 2016、Windows Server 2012 R、
Windows Server 2019、Windows Server 2022

macOS X - Moterey 12.3 and later
Linux Ubuntu 20.04

表2:Nutanix Collectorが取得可能なリソース

AHV Nutanix AOS (Prism) 5.8.1 and higher
ESXi vSphere 6.0 and higher
Hyper-V Windows Server 2019 and Windows Server 2022 (or Windows server with PowerShell 5.1 or higher)
NetApp ONTAP Clustered Data ONTAP 8.3
MS SQL Windows based virtualized MS SQL server 2019 and 2022 (or Windows server with PowerShell 5.1 or higher)
AWS Elastic Compute Cloud(EC2)、Elastic Block Storage(EBS)、Snapshots、Elastic File System(EFS)
Azure 仮想マシン(VM)、managed disks、snapshots

Nutanix Collectorの利用手順

Nutanix CollectorはWindows版、Mac版、Linux版とそれぞれのOSごとにツールが用意されています。今回はWindows版を利用して実際のNutanix Collectorを動作させてみます。

1.ツールのダウンロード

まず初めに以下URLにアクセスし、ツールをダウンロードします。
※どなたでもアクセス可能です。
https://portal.nutanix.com/page/products?product=collector
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ダウンロードしたZipファイルを展開すると、.exeファイルがあることが確認できます。
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2.Nutanix Collectorの実行

.exeファイルをクリックし、起動すると接続先情報の入力画面が表示されます。
データを収集する対象を選択し、接続に必要な情報を入力します。
今回はvCenterで管理されているvSphereクラスタを対象とするため、"vCenter"を選択し、その他必要な情報を入力して"Connect"ボタンをクリックします。
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Nutanix CollectorがvCenterへの接続に成功すると、接続したvCenter で管理されているデータセンターやクラスターの情報が表示されます。必要に応じて、データの収集対象にしたいクラスターおよびホストにチェックをいれます。
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その後、データ収集期間の選択画面に遷移します。収集対象がvSphere環境の場合、データ収集の対象期間として、7/30/90/180/365日間の中から選択可能です。
収集対象としたい期間を選択し、"Collect"ボタンをクリックします。
6.1.png

"Collect"ボタンをクリックすると、収集対象からリソース情報を取得します。取得が完了すると、ツールのGUI上にサマリー情報が表示されます。
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"Clusters Summary"タブの画面では、選択したクラスター単位のCPU、Memory、ストレージの利用率やDiskのスループット、ネットワークの負荷状況を確認することができます。
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"Host Summary"タブでは、任意のホストの負荷状況を確認することができます。
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"VMs Summary"タブでは、仮想マシンのOSの種類や仮想マシンの数、負荷状況に応じたグラフが表示されます。
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収集データのエクセル出力

Nutanix Collectorで収集したデータはエクセルファイルとしてダウンロードすることが可能です。
ダウンロードしたエクセルファイルを開くと、ホストや仮想マシンといった単位でシートに分かれて情報がまとめられています。
既存環境のアセスメントを行う際には、有用な情報となります。

エクセルファイルをダウンロードするには、Nutanix CollectorのGUI上にある"Save output as .XLSX"をクリックします。
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しばらくすると、エクセルファイルのダウンロードが完了します。GUI上に"Output saved successfully. Click here to open file location"という文言が表示されるので、"here"をクリックすると、ファイルが保存されたフォルダに飛ぶことができます。
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ダウンロードしたエクセルファイルには、Hostや仮想マシン、データストアといった様々な単位で情報を確認することができます。
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Nutanix Sizerへの取り込み

Nutanix Collectorで収集したデータは、Nutanix社が提供しているサイジングツール(Nutanix Sizer)へ連携することが可能になっています。

Nutanix Sizerへの連携手順

Nutanix Sizerでシナリオを作成します。
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ワークロード選択画面で、"Import Workloads"をクリックします。
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インポート画面で、"Collector"を選択し、先ほど出力したエクセルファイルをアップロードファイルとして指定します。
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その後、アップロードしたデータの中で、どのデータをもとにサイジングするのかを選択する画面が表示されます。利用したいデータを選択し、"Upload"をクリックします。
(※選択肢の詳細は、Nutanix公式ドキュメントをご参照ください。)
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アップロードが完了すると、Nutanix Collectorで収集したデータを元に、Nutanixのサイジングが行われます。
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まとめ

Nutanix CollectorはvSphere環境やクラウド環境など、様々な環境のアセスメントができるツールです。また、利用するためにソフトウェアのインストール作業も必要ないため、簡単に利用できる点も魅力の一つです。
仮想基盤のコスト最適化や次期仮想基盤のリソースを検討する上でも、必要となる情報を分析できる有用なアセスメントツールですので、ぜひご活用いただけますと幸いです。

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 第3技術部 1課
中里 隆二