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【セミナー告知あり】Nutanix .NEXT 2025 Day1 の速報をお届け

ストレージ / HCI
2025.05.08

本投稿で紹介される内容は、発表当時のものであり将来のアップデート内容をお約束するものではありません。

この記事では現在アメリカの首都ワシントンD.C.で開催されているNutanix社の年次イベント「.NEXT」で発表された内容について、Nutanixのプリセールスを担当する当社エンジニアの視点で要約して速報ブログ形式でお伝えします。

目次

.NEXT 2025のイベント概要
はじめに
Modernize Your Infrastructure(インフラのモダナイズ化)
Build Apps Once and Run Them Anywhere(コンテナアプリケーションの可搬性)
Enable Agentic AI(自律型 / エージェント型AI)
まとめ
【セミナー告知】

.NEXT 2025のイベント概要

.NEXT 2025は、5月7日から5月9日の3日間にわたって開催されるNutanixの年次イベントです。このイベントは例年、開催地域が変わるため、参加者にとって異なる街を訪れ、観光地を巡るなど異文化に触れることが楽しみの一つとなっています。(筆者の個人的な感想です)

昨年はスペイン・バルセロナでの開催となり、久々の欧州イベントとして注目を集めましたが、今年は再びアメリカに戻り、2017年以来となるワシントンD.C.での開催となりました。5月のワシントンD.C.は春から初夏への移行期であり、非常に過ごしやすい季節です。平均最高気温は約2225°C、平均最低気温は約1215°Cで、湿度も比較的低く快適な環境が楽しめます。

私たちSB C&Sの参加メンバーは、開催前日に現地へ到着し、会場周辺を散策しながらホワイトハウスやリンカーン記念堂といったワシントンD.C.を象徴する建物を訪れ、この街の歴史や雰囲気を肌で感じる充実した時間を過ごしました。なお、日本(羽田空港)からワシントンD.C.(ダレス国際空港)への移動は約13時間のフライトで、時差は日本から13時間遅れとなります。

▼イベント会場:Washington Convention Center

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はじめに

イベントのオープニングアクトとして、NutanixのChief Marketing OfficerであるMandy Dhaliwal氏が登壇しました。

Mandy氏によると会場には5,000名を超える来場者が集まったそうです。また、聞くところによると日本からは約80名のパートナー企業の皆様およびエンドユーザーの皆様が参加されたそうです。

Mandy氏は、「今が私たちの人生で最もダイナミックな時代である」と表現し、「変化は急速に進んでおりテクノロジーを活用して課題を解決し、共に前に進む方法を見つける必要がある。」と語り、現在の技術革新について触れました。毎日のようにAI関連のニュースが飛び交い、それらで提供されるアプリケーションとデータはどこにでも存在している状況を「まさに爆発的」と表現しました。また、「Nutanixは、複雑さをシンプルさに置き換えるために存在している」と述べ、「ベンダーロックインを減らし、より多くの選択肢を提供する」と語り、Nutanixがデータセキュリティとレジリエンスをプラットフォームに組み込むことで、自動化と効率化を実現していることを強調しました。

続いて、メインスピーカーであるNutanix 社長 兼 CEO であるRajiv Ramaswami氏が登壇しました。
Ramaswami氏は、本基調講演のトピックとして以下、3つのテーマを挙げました。

  • Modernize Your Infrastructure(インフラのモダナイズ化)
  • Build Apps Once and Run Them Anywhere(コンテナアプリケーションの可搬性)
  • Enable Agentic AI(自律型 / エージェント型AI)

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ここからはこの3つのテーマに沿って発表された内容についてお伝えします。

Modernize Your Infrastructure(インフラのモダナイズ化)

これまでNutanixは、Software-Defined-StorageHCI)を提供するAOSを中心としたポートフォリオを構築してきました。しかし、昨今の仮想化市場が混乱する中で、仮想基盤としてNutanixへの期待が高まりつつあります。これに応える形で、外部ストレージパートナーへの対応やアプリケーションエコシステムの拡大に伴う進化を継続することが語られました。さらに、新たなクラウド環境への対応も発表され、マルチクラウドによる柔軟性と拡張性がさらに強化される見通しです。

Nutanix Cloud Platform with Dell PowerFlex

昨年の.NEXT 2024で目玉発表となったPowerFlexサポートが、アーリーアクセス期間を経て正式にリリースされました。これにより、Nutanix AHVによる仮想化機能だけでなく、ネットワーク仮想化を実現するFlow Virtual NetworkingFlow Network Security、さらにデータ保護機能の提供も可能となり、プラットフォームの機能が大幅に拡充されています。

(Now Available)

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Nutanix Cloud Platform with Pure Storage FlashArray

今年の目玉発表の1つとなる、Pure Storage FlashArrayの外部ストレージ対応が発表されました。

Pure StorageCEOであるCharles Giancarlo氏から、この発表に向けたビデオメッセージが寄せられました。Giancarlo氏は、現在の"混乱"によってすべての企業が仮想化に関するアプリケーションとアーキテクチャの基盤を再考する必要に迫られていると述べ、ミッションクリティカルな仮想化環境に向けてNutanix Cloud PlatformPure Storageを組み合わせた共同ソリューションを発表すると宣言しました。 

さらに、2社の強力なパートナーシップについても触れられ、NutanixRamaswami氏は、Giancarlo氏とはCisco在籍時代の同僚であり、一時期は上司・部下の間柄でもあったことを明かしました。この背景には、市場のニーズだけでなく、2人の信頼関係がスピーディーな立ち上げを実現した要因として働いた可能性があると考えられます。

(EA:Summer 2025 / GA:Late 2025)

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(以下は、私が現地で聞いて回って得た情報となります)

  • 管理/操作性
    これまでHCIによる統合管理を最大のメリットとしてきたNutanixにとって、3-Tier構成のサポートは管理の煩雑化を懸念しましたが、従来と同様にPrismによる統合管理を目指しており、論理ボリューム(Nutanixから見たストレージコンテナ)の作成もPrism上で行えるよう設計されているそうです。その結果、Pure Storage側での操作は最小限に抑えられる模様です。
  • アーキテクチャ
    AHVとPure Storage FlashArray間の通信プロトコルにはTCPベースのNVMe over Fabric (NVMe-oF)が採用されており、Ethernetを活用して最大限のパフォーマンスを提供されるそうです。
  • ハードウェア構成
    AHVホスト用サーバーは従来どおりNutanixアプライアンスモデルを利用することを前提としており、各ハードウェアベンダーからディスクレスのコンピュートオンリー構成が順次リリースされるそうです。
  • ライセンス
    これまでAOSHCI)利用を前提としていたNCIライセンスとは別に、3-Tier構成専用のライセンスが新たに提供されることで、コストの最適化が図られるそうです。

FlashStack with Nutanix

先ほど発表された「NCP with Pure Storage」において、Cisco社のサーバーおよびネットワークスイッチを組み合わせた3-Tier構成によるCIConverged Infrastructure)が紹介されました。このフルスタックソリューションは、より大規模で複雑になりがちなエンタープライズ環境向けに、シンプルな設計と構築を可能にすることを目的としています。

(GA:Late 2025)

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右側のラックを拡大して確認すると、Cisco Fabric InterconnectPure Storage FlashBladeがラック内に配置されているのが見受けられます。これらの機器は、FlashStackを提供する際のオプション的な要素であると予想されます。

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Omnissa Horizon for AHV

20247月にOmnissaが設立され1年が経とうとしていますが、ついにHorizonによるNutanix AHV対応が発表されました。

(GA:Late 2025)

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管理機能の拡充

外部(インターネット)との通信が許容されないダークサイト環境において、以下の3製品を対応させる方針が発表されました。

  • Nutanix Central
  • Nutanix Data Lens
  • NCM Cost Governance

マイグレーションツールの拡充

VMware ESXiやMicrosoft Hyper-V環境からのマイグレーションツールとして提供されている「Nutanix Move」について、昨今のエンタープライズレベルの顧客環境において、1年間で24,000VMの移行を達成するという驚異的な実績が紹介されました。また、Moveの機能拡充が予定されていることも発表されました。

  • NCP with Dell PowerFlexへの移行
  • 既存Nutanix環境(非AHV)でのインプレース移行
  • NSXファイアウォールポリシーからFlowマイクロセグメンテーションポリシーへの移行

Nutanix Cloud Clusters(NC2) on Google Cloud

2020年の「NC2 on AWS」、2022年の「NC2 on Azure」に続き、今回「NC2 on Google Cloud」の対応が発表されました。これにより、Nutanixプラットフォームにおけるアプリケーションの可搬性がさらに向上し、クラウドへの選択肢が追加されることで、シームレスなクラウド移行や柔軟なスケーリングが可能になります。Nutanixは今後もマルチクラウドへの取り組みに注力していく方針です。

(EA:Summer 2025 / GA:Late 2025)

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Build Apps Once and Run Them Anywhere(コンテナアプリケーションの可搬性)

昨年、Nutanix Kubernetes Platform(NKP)がリリースされ、クラウドネイティブアプリケーションをNutanixの機能でオンプレミス、クラウド、ベアメタルといった様々なプラットフォームに展開することが可能になりました。今後さらにストレージ領域を提供するAOS(CVM)さえもコンテナ化して提供することにより、クラウドネイティブアプリケーションのデータもプラットフォームを問わずシームレスな移行が可能になります。まさに、「一度アプリケーションを展開してしまえば、どこでも実行可能」な環境が提供されます。

Cloud Native AOS in AWS

昨年の.NEXT 2024で発表された「Cloud Native AOS」のAWS対応が正式に発表されました。このソリューションは、Nutanix AOSCVM)のサービスをコンテナ化し、Amazon EKS上のPodとして動作させるものです。これにより、Nutanixでの統合管理が可能になるだけでなく、Nutanix Data Services for KubernetesNDK)を活用したNKP間のレプリケーションによって、アプリケーションの移動が容易になります。また、将来的には他のクラウド環境への対応も予定されています。

(GA:Summer 2025)

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Cloud Native AOS on Bare Metal

Cloud Native AOS」を物理サーバー(Linux OS)上に展開することが可能となり、クラウドネイティブアプリケーションをベアメタル上で直接起動したいエッジコンピューティングやAI、高性能ワークロードのニーズに応えることができます。

NKPを利用している環境では、ベアメタル用のOSとしてUbuntuを使用したいケースも存在します。
基調講演では具体的な説明はありませんでしたが、Ubuntuの商用サポートを提供するCanonical社とのパートナーシップが発表されており、Ubuntuを利用するシーンでのサポート強化が期待されています。

(EA:Late 2025)

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Enable Agentic AI(自律型 / エージェント型AI)

昨年発表された、Nutanix Enterprise AI(NAI)によるAIプラットフォームのアップデートとなります。

ここでは一般提供の開始が発表されると共に、NVIDIA AI Enterpriseとの統合が強化され、NVIDIA NIMマイクロサービスやNVIDIA NeMoフレームワークを活用することで、企業におけるエージェント型AIアプリケーションの導入が迅速化されます。

エージェント型AIをシンプルに提供、セキュアにコントールし、柔軟な拡張を実現します。

Nutanix Enterprise AI(NAI)とNVDIA AI Enterprise(NVAIE)によるインテグレーション

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まとめ

Day1基調講演で挙げられた3つのテーマは、昨年の.NEXT 2024で掲げられた類似のテーマを基に、昨今の市場の進化や変化を取り込んでブラッシュアップされた内容であると感じました。また、Nutanix社が「お客様のアプリケーションをOne Platformで提供し、価値を最大化する」という対応方針を一貫して維持していることを改めて強く実感しました。

明日のDay2でもGeneral Sessionが予定されており、例年通り、製品のより細かなテクニカルアップデートが紹介される見込みです。現地での時間が許す限り、今回のような速報ブログ形式で鮮度の高い情報を皆様にお届けしたいと考えていますので、ぜひ明日の公開もお楽しみにお待ちください。

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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第1技術部 1課
課長
長濱 歳也 - Toshiya Nagahama -

◇◇◇執筆書籍◇◇◇
・(2019年5月)Nutanix Enterprise Cloud クラウド発想のITインフラ技術
・(2017年4月)Nutanix Hyper Converged Infrastructure入門