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Devin Reviewで考えるAI生成コード時代のレビュー設計

Cognition
2026.07.07

はじめに

AIコーディング支援を使っていると、実装に着手するまでの時間や心理的な負担が軽くなったと感じます。軽微な修正やテスト追加、既存コードの調査、リファクタリングなどは、以前よりテンポよく進められる場面が増えてきました。

ただし、コードが速く書けることと、安全にリリースできることは別の話です。
チーム開発では、生成されたコードが既存仕様と合っているか、想定外の副作用を生まないか、セキュリティ上の問題を含んでいないかを確認する必要があります。AIが書いたコードであっても、人間が書いたコードであっても、レビューで見るべき観点がなくなるわけではありません。
むしろ、変更が作られる速度が上がるほど、レビュー側には「短い時間で変更の意図と影響を把握する力」が求められるようになります。

本記事では、CognitionのDevin Reviewを題材に、AI生成コード時代のレビューとセキュリティ確認について、一人のエンジニアの視点で整理してみます。

目次

レビューで見たいのは、コードの正しさだけではない

Review機能の使い方

既存ツールとの使い分けと、使用前の推奨事項

まとめ

レビューで見たいのは、コードの正しさだけではない

コードレビューでは、構文や型の正しさだけを見ているわけではありません。実際には、もう少し広い範囲を確認しています。
例えば、皆さん実際に次のような観点を、これまでの開発でも意識してレビューしてきたのではないでしょうか。

  • 変更の目的に対して、実装内容が合っているか
  • 既存の設計や責務分担と矛盾していないか
  • エラーケースや境界条件が考慮されているか
  • テストが不足していないか
  • 認証、認可、入力検証、ログ出力に問題がないか
  • 既存機能に意図しない影響を与えないか

ツールを活用して定型的に拾える問題もありますが、すべてを機械的に判断できるわけではありません。特にアプリケーション開発では、認可条件や業務ルールのように、コードベースや仕様の文脈を見ないと判断しづらい問題があります。
AI生成コードが増えると、この「文脈を踏まえて確認する作業」がより目立ってくるのではないかと感じています。特にセキュリティレビューという観点で、この作業は重要になってくるのではないでしょうか。
例えば、次のようなケースです。

  • 本人だけが更新できるはずの情報を、他人のユーザーID指定で更新できてしまう
  • 一般ユーザーが管理者向けの項目を変更できてしまう
  • 入力値の検証が不足し、想定外の状態を保存できてしまう
  • エラー時のレスポンスから、不要な内部情報が見えてしまう
  • 業務ルール上は拒否すべき操作が、実装上は通ってしまう

この種の問題は、構文エラーや型エラーとは違い、単純なチェックだけでは見つけにくいことがあります。認証の仕組み、認可の置き場所、既存APIの設計、業務ルールといった点まで踏まえて確認する必要があるためです。
こうしたレビュー上の負荷を下げるための仕組みとして、Devin Reviewを見ていきます。

Review機能の使い方

Devin Reviewは、PRの差分をレビューしやすい形に整理し、変更内容の理解を支援するための機能です。公式ドキュメントでは、大規模・複雑なPRを、整理されたdiffと説明に変換するコードレビュープラットフォームとして説明されています。

使い方の流れは、大きく分けると「PRを開く」「差分を確認する」「気になる点を深掘りする」「必要に応じてコメントや修正につなげる」という形になります。
公式ドキュメントでは、Devin Reviewは大規模・複雑なPRを、整理されたdiffと説明に変換するコードレビュープラットフォームとして説明されています。
DevinのWebアプリからReview画面を開くと、自分に割り当てられたPR、自分が作成したPR、レビュー依頼されているPRなどを確認できます。Devinが作成したPRの場合は、Devinのチャット内に表示される「Review」ボタンから確認することもできます。

全体.png

また、関連する変更を論理的にまとめるSmart diff organizationや、コピー・移動されたコードを検出して表示するCopy and move detectionといった機能も用意されています。
こういった機能により、Review画面では差分が関連する変更ごとに整理されます。通常のPR画面ではファイル順に読んでいた差分を、変更のまとまりに沿って確認できるため、APIハンドラ、バリデーション、テストなどがどのように関係しているかを追いやすくなります。
実際に画面を見て、内容毎に変更がまとまっていることによる可読性、確認漏れの低減といった効果を感じられました。

論理差分.png

次に、Bug CatcherSecurity scanningのFindingを確認します。
Bug Catcherではバグ候補が信頼度レベルに応じてラベル付けされ、Security scanningではセキュリティ脆弱性やハードニング改善の候補が、CWE分類や重大度とともに表示されます。
今回添付している以下の画面では警告と参考情報のみの提示で脆弱性は検出されていませんが、レビュー時には同じReview画面上でセキュリティ観点の確認も行えます。
参考情報に関しても「なぜこのような変更が行われているのか」という説明が実際の修正と並んで表示されるため、レビューにおけるハードルや負荷を大きく下げてくれることへの期待が高まりました。

警告.png

参考情報.png

指摘内容だけでは判断しづらい場合は、Codebase-aware chatでDevinに質問できます。
公式ドキュメントでは、PRについて質問すると、コードベース全体から関連するコンテキストに基づいた回答を得られるとされています。また、差分ビュー内のコメント、バグ、フラグから直接Devinに質問することもできます。
例えば、「既存処理の認可チェックはどこで行っていますか?」「更新権限があるユーザーはどのような条件で判定されていますか?」のように、現状の処理を確認できます。また、「この修正を入れる場合、影響しそうな箇所はどこですか?」のように、修正前の計画にも使えます。

チャット.png

ここまで紹介した内容からも、Devin Reviewの使い方は「AIにレビューを任せる」というよりも、「PRを理解するための情報を整理し、気になる箇所を深掘りし、人間が判断しやすい状態にする」と捉えるのが近いと感じます。

既存ツールとの使い分けと、使用前の推奨事項

Devin Reviewは、CIやlint、テスト、SAST/SCA、人間によるレビューを置き換えるものではなく、レビュー工程を補助するための機能として捉えるのが自然です。
例えば、構文エラーや型エラーはコンパイラや型チェックで確認できます。フォーマットやコーディング規約はlintやformatterで確認できます。また、依存ライブラリの脆弱性はSCAなどのツールで確認できます。こうした定型的なチェックが、ソフトウェアの品質維持に有効であることはこれからも変わりません。

一方で、PR全体の意図を理解すること、変更の影響範囲を考えること、認可漏れや業務ロジックの不備を疑うことは、ツールだけでは判断しづらい領域です。これらは、コードベースや仕様の文脈を踏まえた確認が必要になるため、人間の判断が必要になりやすい部分です。
Devin Reviewは、こうした文脈を踏まえたレビュー作業、つまり「差分の背景や影響を理解するための確認」を支援するツールだと捉えると、既存のレビュー工程に組み込みやすくなります。

そのため、導入時には以下のような点を事前に整理しておくと、どこで活用すべきか判断しやすくなります。

  • 現在のレビュー工程で、どの観点を誰が見ているか
  • CI、lint、test、SAST、SCAなどで、現状既に確認できている範囲はどこか
  • レビューで時間がかかっているのは、差分理解、仕様確認、セキュリティ確認、影響範囲調査のどれか
  • PRのサイズや頻度はどの程度か
  • AI生成コードを含むPRと、人間が手で実装したPRを同じ基準で扱うのか
  • Security findingが出た場合、誰が一次確認し、どの重大度から対応必須にするのか
  • Devin Reviewからコメント投稿や修正反映を行う場合、権限設定や承認フローに問題がないか

また実際にチームで使う場合は、機能を見るだけでなく、運用も考えておく必要があります。
例えば、どのリポジトリを対象にするのか、すべてのPRを見るのか、大きなPRや重要なリポジトリから始めるのか、Security findingが出た場合に誰が確認するのか、どの重大度から対応必須にするのか...といった事柄です。
ここが曖昧なままだと、チェック結果だけが積み重なり、肝心の対処が進みにくくなります。

そして、誤検知や見逃しがあり得る前提で扱うことも大切です。
AIの指摘を無条件に信じるのではなく、既存のレビュー体制や社内のセキュリティ基準と組み合わせて使う方が無理がありません。
そしてGitHubやGitLabと連携する場合は、リポジトリへのアクセス権限、コメントや修正適用に必要な権限、組織のセキュリティポリシーとの整合性も確認しておきたいところです。

まとめ

AI生成コードの活用が進むと、開発チームには「生成されたコードをどう確認するか」という課題が出てきます。

Devin Reviewは、PR差分の理解、バグ候補の検出、セキュリティ観点の確認、コードベース文脈に基づく質問、修正案の確認といったレビュー工程を支援する仕組みです。
特にSecurity scanningは、CWE分類や重大度を伴うFindingを提示することで、レビュアーが確認すべき論点に気づきやすくする機能として捉えられます。

ただし、AIレビューは最終判断を置き換えるものではありません。
CI、lint、テスト、SAST、人間レビューと組み合わせながら、レビュアーがより深く確認するための補助線として使うのが現実的だと感じます。

AIがコードを書く時代において、レビューの役割は単に変更差分を読むことから、変更の意味を理解し、安全に届けるための判断を支えることへ少しずつ広がっていくのだと思います。そこでDevin Reviewのような機能をレビュー体制にうまく組み込むことで、変更内容を理解しやすくし、レビューの質を保ちながら確認のスピードも上げやすくなるのではないでしょうか。

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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部 第2技術部 2課
佐藤 梨花

勤怠管理システムの開発(使用言語:Java)に約8年間従事。
現在はエンジニア時の経験を活かしたDevOpsやDX推進のプリセールスとして業務に精励しています。