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これからのvSphere環境はAzureの管理下に置いて運用するのはいかがでしょうか?

2024.06.03

クラウドサーバーご検討中の方必見 お役立ち資料一覧

皆さまこんにちは、SB C&Sの八釼です。
最近Broadcom社によるVMware社の買収が話題になりましたね。この手の話はIT業界に身を置いていると決して珍しくないですが、ユーザーはもちろん販売店にとっても(つまり関係者全員に)少なからず影響がでます。

そんなわけで、今回はvSphereを基盤としたシステムを運用をしている場合の今後について考えてみようと思います。

これを機に仮想化環境を変更するべきか?

今後の見通しが不明瞭ですし、この際仮想化基盤を替えるというのも一つの選択肢ではあります。現状がHCIであれば別のもの(競合製品)に変更すれば大きくは運用を変えないですみますが、3Tier(層)構成の場合にはHCIに移行するとハードウェア構成が大きく変更になるのでもう少し影響は大きいかもしれません(ただしシンプルになるので運用に乗せてしまえばその後は楽かもしれません)。もちろん3Tier構成を保つのであれば影響は比較的小さくはなります。もしくはAzureのようなクラウド基盤を選択しても良いかもしれません(ただし最終的な運用管理コストは小さくなりますが、最も変更による影響があります)。

ただ、いずれの場合でも現状の基盤を捨てることになるので今すぐ行動に移すのは中々難しい場合が多いのではないでしょうか。中長期的なIT予算の計画があるでしょうし、有形/無形資産の減価償却などの絡みもあるでしょう。そのため、まずは最新の状況を注視しつつ自組織にとって中長期的に最善の選択肢を模索する時期と言えるでしょう。結果的に現状維持が最善ということに落ち着くこともあるでしょうし、安易に短期目線での移行という選択肢は良いとは限りません。

疑似的Azure移行という選択肢

現状のvSphere環境とそこで運用するシステムはそのまま残しつつ、クラウドを効果的に導入するという選択肢をAzureではとることができます。少々不可解に思えるかもしれないので補足しますと、オンプレミス環境(vSphere環境)をAzureの管理下に置くことができるのです。これがより具体的にどういうことなのか?何をもたらすのか?というのは後述しますが、こうすることで状況に応じて柔軟にその後の選択が可能になります。

Azure Arcというソリューション

Azureの外(オンプレミス、他のクラウドなど)に存在するITリソースをAzureのリソースとして管理することができ、あたかもAzure上で実行されているかのように扱うことができるサービスです。

例えば、Azure Arcでの運用を始めたとしてもオンプレミスにあるvSphere環境はそこに存在し続けます。仮想マシンやvSphereの仮想化用ソフトウェアコンポーネントがAzureの基盤に移動してくるわけではありません。しかしAzureの管理コンソール(Azure portal)を使って、「仮想マシン」に対する操作・管理が可能になります。つまりこの場合、疑似的なAzureの仮想マシンに変換できるサービスと考えて頂いて差し支えありません。

以下に弊社エンジニアが過去に投稿した技術ブログの記事をご案内しますので、より詳細が気になる方はぜひ内容をご確認ください。

その後の移行を見越すのも良し、そうでなくとも良し

疑似的Azure移行、つまりArcによりvSphere環境をAzureの管理下に置いた状態になると、半分Azureの世界に足が浸かっていると言えます。ではその後半分でなく実際にAzure基盤に仮想マシンを完全に移行し完全に浸かっている状態にしたい場合を考えてみます。

まずは細かな理屈や手段はさておき、なんとなく比較的容易に移行して本番システムへの切り替えができそうではありませんか?だって半分Azureの世界に入り込んでいて疑似的とはいえAzureのリソースになっているわけですから、Azureの世界の中でリソースを移動させることはそれほど難しい話ではありません。少なくともAzureの外から中に移動させるよりは簡単になりますし、そのような予測が立つかと思います。加えて、システム運用を行っていく過程で嫌でも半強制的にAzureのトレーニングを受けることになります。少なからず公式のドキュメントなどを読んで自主的に学習しなければならないですし、Azure portal(管理コンソール)のUI/UXにも自然に慣れます。管理者や運用者にとっては切り替えた後に混乱は少なくてすみます。

さらに、Arcを活用するということは広く言えばAzure(サブスクリプション)が使える状態というわけです。つまり、Arc以外にも莫大な数のAzureの各種サービスが利用できる状態です。もちろんArc以外は使わないというのも一つの選択ですが、「せっかくなら便利で有用なものがあれば活用したい」となりそうではないですか?実際に本番環境に適用するかは別として、気になるものがあれば検証くらいは行う可能性はそれなりに高いと考えられます。課金を考慮する必要はありますが、リソースのプロビジョニングからデプロイまで短いリードタイムで容易にできてしまうわけですから。例えば、現状は3rd Party製品などで行っている可能性が高い仮想マシンやその周辺のログ監視について、Azureのネイティブサービスを試してみてこちらの方が良さそうであれば運用を切り替えてしまう選択肢があります。仮想マシンは既にAzureリソースとして管理されていますのでこの世界の仕掛けや規範などを手放しで適用できます。他にもセキュリティポリシー適用などもありかもしれません。もちろん直接的な運用管理系以外の有用なサービスの利用も検討してみても良いかもしれません。

なんならvSphere ReplicationのようなサービスもAzureにはありますので、こちらの基盤に日々レプリケートして仮想ディスクの状態でスタンバイしておけば実質的に基本的な移行が完了している状態になります。あとは然るべきタイミングで適切な切り替え作業を行えば本番システムがAzureに移行できるわけです。将来的にAzureへの移行を考えていない場合でも、緊急時にVMインスタンスを立ち上げシステムのフェールオーバーが可能ですのでDRサイトとしての利用価値があります。もしコスト効率が良いDRサイトを検討中の場合にも検討してみても良いかもしれません。

最後に

今やハイブリッドクラウドは当たり前、マルチクラウドも珍しくない状況になりました。重要なことは、何でもかんでもクラウドに乗せれば良いというわけではありませんし、どこか一か所に固めておくというのも逆にリスクだったり柔軟性を欠くことになるということです。最適な場所で最適な運用をしつつも最小限の手間で全体管理や統制を抜け目なく行う、また必要に応じて基盤を容易に移動できる、そんな環境が理想です。

なおArcについては確かに特徴的なサービスですが、大局的な視点で移行先のクラウド基盤を考えると必ずしもAzureである必要はないとお考えの方もいらっしゃると思いますが、それは間違っていません。細かな部分でそれぞれ向き不向きや得手不得手がありますので、Azure以外の選択肢の方が良い場合もあります。
ですが、ほぼ間違いない対象としてはWindowsアプリケーション(システム)が挙げられます。この場合には特にAzureをおすすめします。やはりマイクロソフト社の製品とサービスですので親和性や優遇措置などの面で優位性がある場合が多いです。業務(支援アプリケーション)システム、特に基幹(業務)システムについてWindowsを基盤としている場合は比較的多いのではないでしょうか。

Azure Arc は独特なサービスですので中々理解できない部分も多いかと思いますが、導入に当たって疑問やお困りごとがある場合にはぜひとも法人でのAzure導入前の相談窓口であるAzure相談センターまでお気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。弊社ではユーザー様のご状況やご要望を踏まえて最適な形でのAzureの導入やvSphere環境からの移行のご支援を提供しております。

  • 【 著者紹介 】
    八釼 友輔 - Azure エヴァンジェリスト
    SB C&S株式会社 ICT事業本部 クラウド・ソフトウェア推進本部
    クラウド・ソフトウェア戦略企画部 1課
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