Windows 365はAVDと何が違う?
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皆さまこんにちは。SB C&Sの五味です。
Windows 365 に関するお問い合わせがじわじわと増えてきています。まだまだ情報の少ないWindows 365ですが、現在までに発表されている情報を、日頃Office 365・Microsoft 365 相談センターでブログを書いている私 五味 が、まとめてご紹介します。
前回の前編では、Windows 365の基本的な情報をご説明しました。今回の後編では、AVD(旧称:WVD)と比較をしてみたいと思います。
Azureを取り扱っている販売店のご担当者さまはもちろん、セキュアなテレワークの方法を模索されている方、DaaSに興味がある方はぜひ最後までお付き合いくださいね。
1.[復習] Windows 365とは?
Windows 365とは、簡単に表現すると、一種の DaaS (Desktop as a Service)で、パソコン(Mac OSのPCでもOK)やiPadなどの端末上のChromeやSafari、FirefoxなどのWebブラウザから、クラウド上に設置したWindows OS(パーソナライズされた Windows 10 または Windows 11 デスクトップ)にアクセスして利用できるサービスです。
前回の記事で、Windows 365の基礎情報についてご紹介しているので、もっと詳しく知りたい方はまず前回の記事をご覧くださいね。
2.AVDとは?
AVD(Azure Virtual Desktop)は、2019年にリリースされたデスクトップ仮想化サービスで、デスクトップ環境をクラウドのサーバーから提供するものです。このようなサービスは一般的に、「Desktop as a Service(DaaS)」と呼ばれています。
元々はWVD(Windows Virtual Desktop)という名前でしたが、2021年6月にAVDへ名称変更し、リブランディングが行われました。
手軽にVDIを始められ、Windows10のマルチセッション接続が可能である点等が特長として挙げられます。
通常、VDI環境を整えるには、仮想マシンのほかにもさまざまな管理コンポーネントを用意し構築する必要がありますが、AVDはMicrosoft AzureというMicrosoftが提供しているクラウドコンピューティングサービスによって提供されるため、より簡単に利用することができます。
マルチセッション接続とは、通常、ユーザーごとに1台ずつ仮想マシンを割り当てる必要がある中、1台の仮想マシンで複数のユーザーが共同で利用することができるものです。これにより、コスト削減につながります。
3.Windows 365 と AVDとの比較
パッと読むと、Windows 365 は、すでに提供されているAVD(Azure Virtual Desktopの略称。旧称WVD, Windows Virtual Desktop)と非常に似通ったサービスのように見えますよね。実際似ているのですが、どんな部分が異なるのか、Windows 365とAVDの比較を表にまとめました。
※下記表内は、スペースの都合上略記を用いております。Azure Virtual Desktop=AVD、Windows 365=Win365、Windows 10=Win10、Microsoft 365=M365
AVD | Win365 | ||
---|---|---|---|
ライセンス | Azure | Azure サブスクリプション | Azure サブスクリプション |
M365/Win365 | 下記いずれか M365 BP/E3/E5/F3 または Win10 VDA E3 |
Win365ライセンスおよび下記いずれか M365 BP/E3/E5/F3 または Win10 VDA E3 |
|
ターゲットユーザー | どんなマシンをユーザーに展開するかカスタマイズしたい企業 | 導入、構築、設定の手間を最小限に省き、一般的なDaaS環境を利用したい企業 | |
ユーザー設定、管理範囲 | ・ユーザー管理・認証基盤 ・セッションホスト、セッションホストのOS ・マスターイメージ ・ネットワーク接続 |
・ユーザー管理 ・認証情報の同期 ・OS ・ネットワーク接続 |
|
利用料金 | ・セッションホストなどでかかる仮想マシンのAzure料金と、データ転送料金、ストレージ費用 ・Microsoft 365などのライセンス費用 |
・Azure上で発生するデータ転送料金(従量課金) ・Windows 365とMicrosoft 365などのライセンス費用 |
|
サイズの変更 | ホストプールの再展開/コマンドを利用してのサイズ変更 | Cloud PC リサイズで簡単に変更可能 | |
セッション形式 | マルチセッション | シングルセッション |
(1) ライセンス
まずライセンスについて見ていくと、AVDもWindows 365も、どちらもAzure サブスクリプションの契約が必ず必要です。AVDの場合は、Microsoft 365 BP/E3/E5/F3 または Windows 10 VDA E3の契約がその他に必要ですが、Windows 365の場合はこれに加えて更に、Windows 365 のライセンスの契約も必要となります。
関連情報:ついにGAされた Azure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop) とは!?
[アーキテクチャ/価格編]
(2) ターゲットユーザー
これは次の項目でご紹介するユーザー設定・管理範囲の話とも関係してまいりますが、AVDはユーザーが設定/管理出来る範囲が比較的大きく、自分でホストプールを構築して、どんなマシンを展開するか、自社のポリシーやニーズに沿ってカスタマイズしたい企業向けと言えます。そのため、どちらかと言うと社内にしっかりAzureを熟知したIT人材・IT部門がある比較的大きい利用規模の法人企業がご契約されるケースが多いものでした。
それに対しWindows 365は、カスタマイズなどは求めておらず、導入、構築、設定の手間を最小限に省いて、一般的なDaaS環境を楽に利用したいという要望を持つ企業に向けたサービスです。自社でITのリソースを十分に確保できない小規模な企業でもDaaSを簡単に導入できるように考えられています。
(3) ユーザー設定・管理範囲
上述したように、AVDではユーザーが設定/管理できる範囲が比較的広く設定されています。ユーザー管理・認証基盤、セッションホスト・セッションホストのOS、マスターイメージ、ネットワーク接続までユーザーが設定/管理できます。
Windows 365は、導入や設定の手間を最小限に省いて楽に利用開始が出来るように設計されているため、ユーザーが設定/管理できる範囲は、ユーザー管理・認証情報の同期、OS、ネットワーク接続となっています。
関連情報:ついにGAされた Azure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop)とは!?
[構築手順/接続方法編]
(4) 利用料金
AVDを利用する際に発生する料金は、セッションホストなどでかかる仮想マシンのAzure料金と、データ転送料金、ストレージ費用、さらに、Microsoft 365などのライセンス費用でした。
Windows 365では、Azure上で発生するデータ転送料金(従量課金)とWindows 365とMicrosoft 365などのライセンス費用が発生します。
関連情報:ついにGAされた Azure Virtual Desktop(旧Windows Virtual Desktop) とは!?
[アーキテクチャ/価格編]
関連記事:使った分だけお支払い!Azureの価格の仕組みと利用料金をご紹介!
4.まとめ
いかがでしたか?今回はWindows 365とAVD(旧称:WVD)とを比較してみました。
- 五味ちゃん の ワンポイントまとめ
- ■Windows 365とは
パソコン(Mac OSのPCでもOK)やiPadなどの端末上のChromeやSafari、FirefoxなどのWebブラウザから、クラウド上に設置したWindows OSにアクセスして利用できるサービス - ■ターゲット
AVD:どんなマシンを展開するか、自社のポリシーやニーズに合わせてカスタマイズ出来る専用のITリソースを自社で持っているような比較的大規模な企業
Windows 365:クラウドシフトを検討しているものの、SIerに手を借りるのも負担だったり、自社でITのリソースを十分に確保できない中小企業 - ■ライセンス
AVD:Azure サブスクリプションと、Microsoft 365 Business Premium/E3/E5/F3 または Windows 10 VDA E3 のいずれか
Windows 365:Azure サブスクリプションとWin365 のライセンス、"及び" Microsoft 365 Business Premium/E3/E5/F3 または Windows 10 VDA E3のいずれか
Windows 365のリリースは2021年8月2日、利用できるリージョンについての発表も現時点(2021年7月29日)ではありませんが、リリースされてまた情報が揃ってきたら、随時情報をお届けしてまいりますね。
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