こんにちは!
無線LANの技術を紹介するブログ第2回は無線の管理方法と屋内用/屋外用アクセスポイントの違いについてです。
無線LANの管理って?
まずは無線LANの管理方法について紹介します。
無線LANを利用するにはアクセスポイントというデバイスが必須となります。
ではそのアクセスポイントを管理するにはどのような方法があるのでしょうか。
今のところ無線LANを管理する方法は4つに分類することが可能です。
・自律型
・集中管理型
・仮想コントローラー型
・クラウド管理型
それではそれぞれの管理方法について、簡単な解説を。
・自律型
アクセスポイントが単体で動作し、管理もアクセスポイント単位で行います。
ある程度の規模以上の導入となると目に見えてはこない管理負荷の恐怖におののくでしょう。
ただし一般的にソリューションとしては安価ですむことが多いようです。
ですので設置するアクセスポイントの台数が少数であるなら、選択の候補となるでしょう。
・集中管理型
無線コントローラーとはアクセスポイントを管理する機能をもった製品です。
本ブログでは、その無線コントローラーがアクセスポイントを管理する手法を集中管理型と呼称します。
今までもアクセスポイントの複数管理という観点であれば、管理ソフトウェアを利用したソリューションが存在しましたが、無線コントローラーは単純なアクセスポイントの設定、ファームウエアの管理だけではなく無線機能そのもの(例:カバレッジホールの動的変更やアクセスポイント間の無線機能の連携など)を制御可能である点が異なります。
アクセスポイント間での連携動作によって、自律型よりも優れた無線環境を提供することができます。
・仮想コントローラー型
本ブログでは仮想コントローラーとはアクセスポイントに無線コントローラー機能が含まれているものを想定しています。
従って仮想アプライアンス(無線コントローラーが仮想環境に展開されているアプライアンス)と呼ばれるものではないことに注意してください。
この方式のメリットは集中管理型と同様の管理が可能であるにも関わらず、別途無線コントローラーを用意する必要がないということです。
ただし一般的な無線コントローラーと比較して機能的に弱い部分や、管理可能なアクセスポイント数が少ないといった制限が存在します。
・クラウド管理型
言葉のままなのですが、アクセスポイントを管理する機能がクラウドに存在するというものになります。
アクセスポイントと連携して無線機能を制御可能なものもありますし、単純にアクセスポイントの設定管理しかできないものなど様々な違いがありますので製品選択は慎重に行うことが必要です。
クラウド管理型の共通メリットとしては、どこからでもアクセスポイントを管理、監視を行うことができることです。
それでは自分の利用したいアクセスポイントがどのような管理方法を利用可能なのかを確認するにはどのようにすればいいのでしょうか。
こちらは残念ながらメーカーのデータシートなどを参照しないとわからないというのが実情です。
しかも名称がメーカー毎に異なる状態というのは機器選定の難易度が高いですね。
屋内・屋外アクセスポイントの違い
次に屋内用/屋外用アクセスポイントに違いについて。
屋外にアクセスポイントを設置する場合に考慮すべき内容は何はともあれ環境の違いだと考えています。
環境というのはどのようなものがあるのか思いつく限りのものをあげてみましたが結構ありますね。
・温度
・水
・ほこり
・直射日光
・外部ネットワークとの接続
・電源
・取り付け方法
・雷
・塩
・ガス
・風
このうち、メーカーのデータシートには以下の情報であれば記載されている事が多いようです。
温度、水(IP規格)とほこり(IP規格)、外部ネットワークとの接続(光イーサネット or 銅イーサネット or 同軸 or バックホール)、電源(AC電源アダプタ、PoE、DC電源)、取り付け方法
これ以外の環境についてはアクセスポイントから調査を行うのではなく、別の観点から調査を行う必要があります。
塩、ガス、風、直射日光などについては耐候ボックスと言われるものにアクセスポイントを収容し保護するものが多いと思われます。
また忘れがちなのが雷です。こちらは避雷器を利用して防ぎます。雷による影響が想定される場合にはアクセスポイントと外部アンテナの間に使用してください。
次に屋外のアクセスポイントにおいて無線LANとして考慮すべき内容について話したいと思います。
ようは使っていい電波環境って何よ?という話です。
屋外において無線LANとして利用可能な周波数帯は2.4GHz帯(802.11b/g)と5GHz帯(802.11a/ac)がありますが5GHz帯には注意が必要です。
2.4GHz帯は屋外での使用に制限ありません。しかし5GHz帯はW52及びW56と呼ばれる周波数帯のみが利用可能です。
W52,W56とはなんぞ?という紹介は本ブログ連載の別の回で紹介しますので、今は屋外で5GHz帯を利用する場合に制限事項があるんだ。ということを覚えておいてください。
また無線電波の出力先にも注意が必要です。
技術適合を満たした機器であれば屋外でも高出力のアクセスポイントを利用することが可能となっています。
しかしながら人工衛星に対する影響を考慮する必要があります。
そして気象レーダーとの競合についても考慮する必要があります。
アクセスポイントを利用する場合には既存環境との干渉を防ぐために十分な配慮と、登録申請が必要となる場合がありますので注意してください。
詳細については総務省の案内を参照してください。
総務省 無線LANの屋外利用について
https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/wlan_outdoor/index.htm
いかがでしたでしょうか。
今回はアクセスポイントの管理と屋内/屋外のアクセスポイントの違いについてでした。
もっと短くまとめるつもりだったのですが、だいぶ長くなってしまいました。
次回はIEEEの規格についてです。ご期待下さい!
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著者紹介
SB C&S株式会社
技術本部 技術統括部 第2技術部 1課
柴山 弘