
みなさんこんにちは、いかがお過ごしでしょうか。梅雨になったかと思いきやあまり雨は降らずにすっかり真夏!みたいなお天気ですね。
今日はMerakiのライセンスについての記事になります。Subscriptionライセンスも少し前から始まっておりますが、デフォルトで設定されている"Co-term"形態に関する内容です。
すでにMerakiのライセンスは十分知っている!という方もいらっしゃるかもしれませんが、「これからMerakiはじめてみようかな」という方や「そう言えばライセンスの期限ってどうやって考えたらいいんだっけ?」という方はぜひ読んでいただけると嬉しいです。
Merakiではライセンスが必須!ということの詳細について今回は割愛しますが、Merakiダッシュボードで管理するためにはライセンスが必要です。ライセンスが適用されていなかったり有効期限が切れてしまうと「ライセンス違反状態」と判断され、その環境は正常に動作しなくなります。
ライセンス管理方法として、以下の3つのやり方が用意されています。
- Co-term
- Per-Device(新規は終了、現状この管理方法の場合にのみ継続可能)
- Subscription
改めてですが、今回はCo-termでMerakiの環境を運用した場合の期限の考え方に関する記事になります。
Co-termというのは"co"が付いていることからも分かるように、「一つの有効期限」が設定されます。つまり、そのオーガナイゼーションの中にいくつネットワークがあろうが、MRやMSを含めたMerakiの機器がどれだけの台数あったとしても、有効期限は一つだけということです。非常にシンプルですね。
そう、つまり管理者の方にとって気にすべき期限というのは一つだけですので、運用時に「この環境は2025年12月に切れて、こっちの拠点は2030年の12月か...」など別々の期限を気にする必要がないのです。
では、このシンプルなCo-term形態で注意すべきポイントは以下の三本立てになっております。
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一年ライセンスを購入したのに有効期限が半年しか延びてない!?
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機器の入れ替え時のライセンスの取り扱いにご注意!
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購入前に知りたい有効期限!
まず一つ目ですが、一年分購入したのに一年分延長されないの!?と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、ご安心ください。この記事を読んで正しく適用すればこうはなりません。
2025年8月31日に有効期限を迎える環境があったと仮定します。切れる前に適用を行うために発注して、一年分のライセンスが6月30日に納品されたとします。オーガナイゼーションが有効期限を迎える直前に適用すれば良いと考えたAさんは、8月30日にライセンスの適用をオーガナイゼーションに対して行いました。"2026年8月31日"が新たな有効期限になると考えていましたが、ダッシュボードに表示された新たな有効期限はなぜか2026年6月30日でした。
Aさんが原因を探していると、どうやらライセンスの適用を遅らせたとしてもライセンスの消費自体は行われており、新規で購入した一年ライセンスも2ヶ月分は消費されてしまっていたらしい、ということが分かりました。
つまり、ライセンスの適用を先送りにしていたとしても消費は行われてしまっているので意味がないということになります。下の図の赤い矢印部分が消費されてしまっていた期間になります。
では、Aさんはどうすべきだったのでしょうか?
「ライセンスが(メールで)届いたらすぐにオーガナイゼーションに対して適用する」が回答になります。ライセンスの適用をすぐに行っていれば、発行された一年分のライセンスが、既存の有効期限にくっつく形になり、有効期限が一年分延長されます。
今回のケースでは、既存環境にあるライセンスとは別に新規のライセンスも消費が行われてしまっており、同時に二つのライセンスの消費が日々行われていたイメージを持っていただければわかりやすいかと思います。
二つ目についてです。
APが古くなってきたのでそろそろ入れ替えたいな~と思ったとします。MRシリーズなど一部の機器については、ライセンスの型番が全モデルで共通です(なので、それぞれのライセンスが用意されているMXシリーズなどは今回のケースに当てはまりませんのでご注意ください)。
ライセンスの期限を確認すると半年しか残っていなかったので、一緒にライセンスも購入することにしました。
今回購入したのは、CW9176を10台と三年分のライセンス10本と仮定します。既存環境には、MR33が10台あると考えてください。
環境のネットワークを止めたくないので一時的にMR33とCW9176をどちらも設置することにします。ただ、ライセンスの適用時に「追加デバイスのライセンス(License more devices)」ではなく「マイダッシュボードライセンスの更新(Renew my dashboard license)」とすることがキモになります。
というのも、今後使用するAPの台数は10台のままなので必要なライセンスの数量は本来10です。しかし、「追加デバイスのライセンス」を選択してライセンスを適用すると、既存ライセンスと合わせてトータルの数量が20としてカウントされてしまいます。
こうなってしまう理由として、Merakiにおけるライセンスの考え方には有効期限のほかに"デバイスカウント"があるためです。これは、ライセンスの数とデバイスの数が一致しているかを確認するためのもので、デバイスの数の方が多い場合には、ライセンス違反状態になってしまいます。
(以前は、一年分のライセンスを5本購入して本体が10台の環境であれば半年間は使用できていましたが、仕様が変更されています)
既存ライセンスと新規ライセンスが按分されて新たな有効期限が設定されることになりますが、三年より手前の日付が設定されることになります。考え方としては、(180日*10本)+(365日*3年*10本)/20台=637.5となり、およそ1年9ヶ月後が新たな有効期限になります。
これは意図した運用の仕方ではありませんので、適用する際にはデバイスの追加なのか、有効期限の更新なのかを必ず確認してから作業を行う必要があります。もし間違えたとしても、7日以内であれば作業の取り消しが可能です。
また、一時的に台数が増えてしまうことでデバイスカウントを上回ってしまう=違反になってしまうのではないかとご心配の方もいらっしゃるかもしれません。Merakiでは30日間の猶予期間が設けられており、ライセンスが違反状態になったとしてもすぐさま影響が出るわけではなく、この期間中はライセンスが正常に適用されている時と同様に利用することができます。ですので、このケースのように作業のために一時的に違反状態になったり、うっかりしていてライセンスの購入を忘れていた!といったときでも、この期間中であればライセンスの購入と適用を正しく行えばネットワークがダウンすることなく使い続けられます。
ライセンスの期限が近づいてくるとオーガナイゼーションの管理者に対してメールが送られます。有効期限の90日前、30日前、2日前、1日前です。猶予期間があるとはいえ余裕を持ってライセンスの適用を行われることを推奨します。
ただし注意していただきたいのが、この並行運用が可能なのは猶予期間として30日間が設けられているからであり、その期間を越えて作業を行う場合にはAPの台数分のライセンスが必要になります。あくまでも限定的な使い方であるとお考え下さい。
三つ目ですが、今まで記載してきた内容で有効期限の考え方は分かったけど、実際にどのライセンスをどれだけの年数適用したらどれぐらい延びるの?というのが気になるポイントかと思います。さまざまなシリーズを利用されていて、購入予定のライセンスの種類も多岐にわたるような環境だとなおのことですよね。
再度になりますが、Co-termでは有効期限が一つだけ設定されます。これは、各ライセンスには価値(≒価格)が定められており、これらを按分した日にちで有効期限が設定されます。ですので、ライセンスの種類がMXやMSなど入り混じっていると。すべて三年分のライセンスを買ったとしても台数や比率によって前後する可能性があります。
こういった計算を自力で行うのは大変です......ということで、Merakiで提供されているライセンスカリキュレータのご紹介になります。Merakiダッシュボードにログインした状態でこちらにアクセスしていただくと計算画面が表示されます。
このページでは、ライセンスの日数/種別(Enterpriseなど)/ライセンスの対象となる機器モデル/台数を入力すると、それらのライセンスが全て適用された状態での有効期限がいつになるかを確認することができます。
日数を入力する部分が「一年/三年/...」などでないので、既存環境のライセンス状態を反映させることができます。オーガナイゼーションのライセンス情報については、「オーガナイゼーション>(設定)ライセンス情報」から確認可能です。
さて、今回はCo-termで管理した場合のライセンスの有効期限に関する情報をお届けしました。
シンプルだけど改めて考えるとどうだったっけ...?となることも多いライセンス問題(だと思っています)。少しでも問題解決のお役に立っていれば幸いです!
ではまた次の記事でお会いしましょう!
〈参考記事〉
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著者紹介

SB C&S株式会社
技術本部 技術統括部 第2技術部 1課
福田 睦