こんにちは!
無線LANの技術を紹介するブログ第3回はIEEEの規格についてです。
無線LANのWi-Fiの標準化された規格に「IEEE 802.11〜」があります。
以前は「IEEE 802.11〜」という呼び方しか無かったのですが
最近はWi-Fi Allianceが「Wi-Fi●」という新しい呼称を発表しました。
今回はそんな「IEEE 802.11」に関する下記項目を紹介します。
◆IEEE 802.11の歴史
◆IEEE802.11の規格の概要
◆2.4GHz帯と5GHz帯の特徴
◆最新規格「IEEE 802.11ax(Wi-Fi6)」の特徴
◆IEEE 802.11の歴史
IEEE 802.11は「IEEE 802.11a/11b」から始まり、最近では「IEEE 802.11ax」という規格が出ました。
2009年の「802.11n」では従来の規格ではAPとクライアントが通信する際に1本のアンテナを用いて
電波の送受信をしていたのに対して
複数のアンテナで電波を送受信する"MIMO"技術が適用され、通信が効率化されました。
さらに「802.11ac(wave2)」ではAPから複数のクライアントに
同時に送信する"MU-MIMO"の技術が適用されました。
最新の「802.11ax」では「802.11ac (wave2)」のMU-MIMOが
送信しか複数クライアントへ同時通信ができなかったのに対して
受信に関しても複数クライアントに対応できるようになりました。
※「MIMO」とは何?という疑問については後の回で紹介を予定しております。
◆IEEE802.11の規格の概要
IEEE802.11には複数の規格があることを紹介しましたが
規格ごとにスループットなどが異なっていますので
各規格の新名称やスループットの理論値などを簡単に紹介したいと思います。
各規格の特徴の一つとして「周波数帯(2.4GHz/5GHz)」があります。
規格ごとに使用できる周波数帯が違います。
また規格はAPが対応しているだけではなく
クライアント側も対応している必要があります。
周波数帯が同じであればそれぞれの規格は下位互換性があります。
例)5GHz帯を使用して通信したい場合、APは802.11axを含め全規格に対応しているが
クライアントは802.11acまでの規格しか対応していない場合は
802.11acを利用して通信を行います。
◆2.4GHz帯と5GHz帯の特徴
規格の概要中に出てきた「2.4GHz」と「5GHz」という電波の帯域ですが、両者の違いについて
利用面から簡単に紹介したいと思います。
現在、企業では一般的に「5GHz帯」を使用するという方向で
ワイヤレス環境の導入が進んでいることが多いです。
その主な理由としては下記の3点が挙げられます。
● 2018年まで通信速度が最も優れていた規格が802.11ac(5GHz帯のみ)だった。
●「5GHz帯」の方が「2.4GHz帯」よりも使用できるチャネルが多い。
●「5GHz帯」の方が「2.4GHz帯」よりも電波干渉が少ない。
2.4GHz帯の「電波干渉」に関しては、上図に記載してある通り
自社が管理していない外部のAPからの干渉以外にも
Wi-Fi機器以外の電子レンジなども電波干渉の原因となってしまうため
主にWi-Fi機器しか使われない5GHz帯の方が干渉は少なくなります。
使用できるチャネルが多いという点ですが、まずはチャネルとはどういったものかを簡単に説明します。
●チャネルとは?
◆最新規格「IEEE 802.11ax(Wi-Fi6)」の特徴
最新の規格「IEEE 802.11ax(Wi-Fi6)」ですが、様々な特徴があります。
ここまでで紹介した特徴としては
・「通信速度の最大理論値が9.6Gbps」
・「MU-MIMOが送信だけでなく受信も複数クライアント同時が可能」
がありました。
加えて「複数クライアントの同時通信」をMU-MIMOではなく別の観点から紹介します。
●OFDMA
Wi-Fiで通信をする場合はOFDMという技術を使用して20MHzの帯域をさらに細かく
複数の帯域(サブキャリア)に分けています。
従来使用されていたOFDMでは20Mhz内は全て同じユーザーが占有していました。
つまりサブキャリアに分けているとは言っても一つのチャネルで見ると
1つのクライアントと通信が終わった後に次のクライアントと通信を行っていました。
一方で、802.11axで使われているOFDMAはサブキャリアを最大9クライアントで分割し
同時に通信を行うことが可能です。
以上のことから802.11axは従来の規格よりも効率よく、高速に通信が可能な規格となっています。
ただし、802.11axの規格で通信をするためにはAPだけではなく
クライアント側も対応している必要がありますので注意が必要です。
名残惜しい。まだまだ話したい。そんな気持ちでいっぱいですが
お時間がきてしまったみたいですので、このあたりでIEEEの規格の紹介を終了したいと思います。
またどこかでお会いできることを楽しみにしています。
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著者紹介
SB C&S株式会社
技術本部 技術統括部 第2技術部 1課
石川 隆文