SB C&Sの最新技術情報 発信サイト

C&S ENGINEER VOICE

SB C&S

【セミナー告知あり】VMworld 2019 速報レポート -Day 1-

仮想化
2019.08.27

みなさん、こんにちは。
SB C&S 熊谷です。

私は現在、アメリカ・サンフランシスコで開催されているVMworld 2019へ参加しています。

VMworld 2019 の初日となる8/26(月) 9:00-10:30 (現地時間) に今後のVMware社の方向性を示す上で最も重要となるジェネラルセッション-Day 1-が開催されました。
本ブログでは、そちらの内容をセッション終了直後の現地からダイジェスト形式の速報でお届けをしたいと思います。

※可能な限り正確な情報を掲載するよう努めていますが、VMworld 2019 での発表直後の内容を含むために後日の修正が必要となることや、情報が古くなることで正確性を保持できなくなる可能性もあります。そのため、必ずしも正確性を保証するものではありませんことをあらかじめご理解ご了承ください。

VMworld 2019 ジェネラルセッション-Day 1-概要と主な発表内容

例年、VMworld のジェネラルセッション-Day 1-はVMware社のCEOであるPat Gelsinger氏が登壇をし、様々な新製品/新サービスの発表、またそれらの発表に基づいたVMwareの戦略が語られる形がとられています。今年もその形式を踏襲する形で非常に多くの発表がされました。

VMworldにおける発表という意味では毎年どのような内容が"いわゆる今年の目玉"になるのだろうと注目が集まるものですが、今年は特に以下2つの発表に代表されるKubernetesを使用したコンテナ環境への対応拡充に関する発表のインパクトが大きかったように思えます。

・Project Pacific (プロジェクトパシフィック):
 vSphere上へダイレクトにKubernetesクラスタやポッドを動作可能にするプロジェクトの発表
・Tanzu Mission Control (タンズミッションコントロール):
 vSphere上や他のあらゆるパブリッククラウド上でもKubernetes環境のシンプルな展開/管理を実現

※ Project Pacific / Tanzu Mission Control は共に発表された2019/8/26(月) 時点でTech Preview 扱い。

本日のジェネラルセッション内では、VMware社がここ数年掲げ続けている「Any Cloud, Any Application, Any Device」のコンセプトは変わらないまま、今年はさらにコンセプトをブレイクダウンしたVMware社の考えるマルチクラウド戦略における5つのキーポイント「Build」「Run」「Manage」「Connect」「Protect」を中心に話が展開されたため、これらの5つのキーポイントとそれぞれにマッピングされる情報を簡単にまとめてみたいと思います。

Multi-Cloud_Strategy.png

Build

ワールドワイドにおけるアプリケーションの総数が、2019年現在の約335 Millionから5年後の2024年には約792 Millionまで爆発的に増加することが予想されていることを引き合いに出し、これからのアプリケーションはBuildに関してシンプルで一貫性のある仕組みが必要であることが強調されていました。

この時に重要となってくるのが、先日の8月22日に発表されたVMware社によるPivotalの買収です。Pivotalはこれまで長年にわたりPivotal Cloud Foundary (PCF) というプラットフォームを提供し、顧客にモダンアプリケーション (コンテナアプリケーション) の開発を手助けしてきました。

Pivotalの買収直後ということもあり、ジェネラルセッション内では具体的なVMware製品との統合についてはあまり触れられませんでしたが、今後はPivotalと同様に以前に買収したBitnamiや後述のProject Pacificも含めた形でVMware Tanzuというポートフォリオを展開し、VMwareがこれまでの仮想インフラストラクチャベンダーからアプリケーション開発についても今後のロードマップとして視野に入れていることが間違いないと思われますので、ますます今後の動向が楽しみな分野です。

Build.png

Run

プラットフォームとしてモダンアプリケーションのBuildを容易にした次は、それらのアプリケーションをどのインフラストラクチャ上で稼働 (Run) させるかを検討する必要があります。本日現在であっても、オンプレミス内に自前でイチから複雑なKubernetes環境を構築する (もしくは商用ソフトウェアによるKubernetes環境の構築) か各クラウドプロバイダーによってあらかじめ準備されたKubernetes環境をそのまま利用するなどいくつかのインフラストラクチャの選択肢があるかと思います。

ここに更にKubernetes環境を動作させるインフラストラクチャの選択肢として冒頭の発表部分でも触れたProject Pacific (vSphere上で直接Kubernetesポッドが稼働) が加わることになります。これまでのvSphereはあくまでも「仮想マシン」を稼働させるプラットフォームであったため、vSphere上でKubernetes環境を動作させる場合は、一度vSphere上へLinuxの仮想マシンを構築した上でそれらの仮想マシンに対してKubernetes環境を展開するいわゆる多段式の構成のみが可能でした。それに対して、Project PacificではvSphere自体を拡張することでvSphere上で直接Kubernetesのポッドなどを動作させることを可能にします。つまり、vSphere上ではこれまで通りの仮想マシンも稼働させながら同時にKubernetesポッドも動作させることを可能とするプロジェクトです。

Run.png

今回のProject Pacificの対応により、近年VMwareが強く推進してきたハイブリッドクラウド/マルチクラウドの構想を一定の完成をさせることが可能になりました。例えば、VMwareはVMware Cloud on AWSの発表以来、オンプレミスとクラウド間を一定の互換性を保ったまま仮想マシンを行き来させるハイブリッドクラウドを推し進めてきておりましたが、あくまでも再ビルドの難しいアプリケーションの稼働している仮想マシンのクラウド移行が大きな目的と捉えられることもしばしばでした。しかし、今後vSphereがKubernetesのようなモダンアプリケーションプラットフォームとしても進化をすることで、これまで顧客がクラウド移行時に考えなければならなかった「移行 or モダナイズ」どちらかによる移行先のクラウドを検討するのではなく、「移行 and モダナイズ」の両方に1プラットフォームでの対応が可能である将来を示しています。

Manage

3つ目のManageに関して紹介された製品としては、これもまた冒頭で紹介をしたKubernetes環境の展開/運用/管理をシンプルにする「Tanzu Mission Control」の発表です。

Manage.png

また、セッション内ではマルチクラウド管理プラットフォームとして以前にVMware社が買収をした「CloudHealth」についても触れられており、あらゆるクラウド環境に対して、Tanzu Missiion Controlを使用してKubernetes環境を効率に展開しつつマルチクラウドにまたがって展開されたヘテロジニアスな環境をCloudHealthで一貫して管理するというものです。

導入時に無計画なクラウド利用を推進してしまい、クラウドのサイロ化が進んでしまったようなケースにおいてもVMwareはマルチクラウド環境を許容しつつ、一元的な管理を提供することを強調していました。

Connect

これからのデジタル時代は、ハイブリッドクラウド/マルチクラウドに加えてエッジコンピューティングなども加わってくることで物理的なロケーションまでも複数またがっていくことが想定されます。そのようなロケーションのサイロ化も進んでしまうような時に重要になってくるのが、VMwareの提供するSDN製品であるNSXによる柔軟なネットワーク接続性 (Connect) です。また、VMwareではNSXでのデータセンター内ネットワークの接続性のみでなく、2017年に買収を発表したVeloCloudによるSD-WANソリューションも提供することでデータセンター間でのネットワーク接続性についても1社で同時に提供できており、同時に仮想化インフラストラクチャとの融合性も高められていることを改めて強調していました。

Connect.png

Protect

いよいよ最後のProtectになります。ここではNSXによるマイクロセグメンテーションはもとよりWorkspace ONEを使用したユーザーエクスペリエンスを低下させることなくエンドポイントデバイスやID管理のセキュリティを向上させる手法について、これまで以上の必要性が高まっていくことについて語られるところから始まりました。

そして、これもまたPivotalと同日に買収を発表したCarbon Blackの今後の製品統合ロードマップについてで本日のセッションが終了となります。本日のセッション内では統合予定の順番等については明言されませんでしたが、今のところ以下の4つに徐々に統合していく予定を持っているとのことです。

・AppDefense (vSphere Platinum Editionとの統合も)
・Workspace ONE (Workspace ONE によるデバイス管理/ID保護に加えてエンドポイント保護まで)
・NSX (マイクロセグメンテーション機能との統合)
・クラウド関連 (Secure State by CloudHealthとの統合)

Protect.png

セミナー告知

上記のようにジェネラルセッション-Day 1-のダイジェストをかいつまんでお伝えするだけでも一苦労のVMworldですが、帰国後には「VMworld 2019報告会」と題して、今回のVMworldに参加したSB C&S SE陣によるセミナーも企画しています。

vExpertが語る!VMworld2019報告会 ~見て聞いて感じた、新たな発見~(仮想化,クラウド,HCI)SB C&S株式会社 2019-08-26 17-00-49.png

【9/10(火) 大阪】vExpertが語る!VMworld2019報告会 ~見て聞いて感じた、新たな発見~
https://licensecounter.jp/engineer-voice/seminar/20190813_vexpertvmworld2019.html

【9/13(金) 福岡】vExpertが語る!VMworld2019報告会 ~見て聞いて感じた、新たな発見~
https://licensecounter.jp/engineer-voice/seminar/20190813_913_vexpertvmworld2019.html

【9/17(火) 東京】vExpertが語る!VMworld2019報告会 ~見て聞いて感じた、新たな発見~
https://licensecounter.jp/engineer-voice/seminar/20190813_917_vexpertvmworld2019.html

【9/18(水) 名古屋】vExpertが語る!VMworld2019報告会 ~見て聞いて感じた、新たな発見~
https://licensecounter.jp/engineer-voice/seminar/20190813_918_vexpertvmworld2019.html

まだまだ、VMworld 2019 は初日が始まったばかりです。

帰国後の報告会ではより多くの情報をお伝えできるように引き続き現地での最新の情報収集に努めていきたいと思いますので、是非とも今から「Save the date」していただき当社セミナーまでお越しいただければと思います。

vExpertが語る!VMworld2019報告会 ~見て聞いて感じた、新たな発見~

著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 ICT事業戦略・技術本部 技術統括部 第1技術部
熊谷 哲人 - Akihito Kumagai -

VMware vExpert 2013~2022