
SB C&Sで仮想化製品のプリセールスエンジニアとして活動している、平田と申します。
2025年3月24日よりVMware Cloud Foundation、vCenter Server、ESXi およびvSANファイル サービスの VMware ソフトウェア バイナリ (アップデート/パッチを含む) のダウンロード方法に重要な変更が行われることが発表されました。
内容を確認したところ、運用だけでなく構築にも影響があり直近で対応が必要なことが想定されるため、
本投稿にてお知らせおよび注意喚起したいと思います。
なお、詳細については、
VMware Cloud Foundation Blog「Important Update: Changes to How You Download VMware Software Binaries」をご参照ください。
また、ほぼ同内容となりますが、VMware Cloud Service Provider (VCSP) パートナー様向けとして、別のアナウンス記事も公開されておりますので、合わせてご紹介させて頂きます。
New VMware Software Download Guidelines: Key Changes Broadcom Partners Should Know
何が起きるのか?
vSphereなどのVMware by Broadcom製品から、更新用バイナリファイルを取得する際のアクセス先URL(パブリック リポジトリ)に関連して変更が発生します。
1.単一のダウンロード サイトへの集中化:ソフトウェア バイナリは、複数の異なるダウンロード サイトではなく、単一のダウンロード サイト(dl.broadcom.com)からダウンロードされます。
2.ダウンロード検証の導入:ダウンロードは一意のトークンを通じて承認されます。新しい URL にはトークンを埋め込み、承認されたユーザー/パーティがファイルをダウンロードしているユーザーであることを確認します。
この2点が変更されることになりました。これにより従来の方法では、更新時に使用するバイナリファイルをダウンロードできなくなります。
影響
■今回の変更による影響
VMware by Broadcomのパブリック リポジトリから、インターネットを介して更新時に使用するバイナリファイルをダウンロードできなくなる
■影響範囲
対象製品およびバージョンは下記の通り
VMware vCenter Server 7.x
VMware vCenter Server 8.x
VMware vSphere ESXi 7.x
VMware vSphere ESXi 8.x
SDDC Manager 4.5.x
SDDC Manager 5.x
Offline Bundle Transfer Utility (OBTU)
Async Patch Tool (AP Tool)
Update Manager Download Service (UMDS)
vSAN File Services
■原因
対象製品におけるパブリックレポジトリおよび認証方法に変更が発生するため
■影響時期
2025年3月24日から
移行期間として、既存のパブリックレポジトリ(ダウンロードURL)は1カ月間ご利用いただけます。
2025年4月24日以降、既存のダウンロードURLは無効になるためアクセスできなくなります。
■影響の整理
vSphere環境を構成する必須コンポーネントが影響範囲に含まれているため、ほぼすべてのユーザーに影響がある変更になっております。しかしながら実際のところ、各製品から直接(または間接的に)インターネット上のリポジトリから更新をダウンロードする運用をしているユーザー(環境)に影響があります。
例として、下記のようにvCenter Server 8の管理インターフェース(VAMI)から、インターネット経由で更新バイナリファイルを取得し、アップデートを行うような運用をしているケースでは対応が必要になります。
一方で、vCenter ServerやESXiをオフライン環境で利用しており、パッチ適用などは事前ダウンロードしたバイナリファイルから適用する運用のケースでは、パブリック リポジトリを使用していないため、影響を受けず対応不要になります。
本投稿の公開時点(2025年3月26日)では従来のパブリック リポジトリもアクセス可能ですが、利用期限が残り1カ月を切っているため、影響があるユーザーは早急に対策を検討する必要があります。
対応策
本件についての対応策について、下記を実施するよう公開されております。
1.Broadcom Support Portalからトークンをダウンロード
2.各製品/コンポーネントのダウンロードリポジトリURLを更新
1および2の手順の詳細については下記のKBに記載がありますので、詳細は下記リンクから参照ください。
https://knowledge.broadcom.com/external/article/390098
本ブログ記事の後半では、よくご利用されているvSphere Lifecycle Manager ・ vCenter Serverに対して対応策を実施した内容をご紹介致します。
対応策の実施:vSphere Lifecycle Manager (vLCM)
対応策にある"KB390098"を参考にしながら、vSphere Lifecycle Manager (vLCM) について対応策を実施しました。
1.Broadcom Support Portalからtokenを作成
Broadcom Support Portalにログインします。次に、"VMware Cloud Foundation"を選択し、Quick Linksにある"Generate Download Token"をクリックします。
サイトIDを選択し、"Generate Token"をクリックします。
Tokenが作成されます。Tokenの文字列をコピーして控えておきます。
2.vSphere Lifecycle Manager (vLCM) のダウンロードリポジトリURLを更新
本記事では"Manual Method"(手動変更の方式)を実施します。"KB390098"にある表を確認し、該当する"KB390121"を参照しながら実施します。
対象の環境にあるvSphere Clientから"Lifecycle Manager"を開きます。
"設定" >" 管理" > "パッチのセットアップ" を開き、インターネットからダウンロードしたパッチに記載された項目を選択し、"無効化"をクリックします。
選択したパッチの"有効"が"いいえ"(無効化)にされます。同様にすべてのパッチに対して無効化を行います。
■新しいURL■
https://dl.broadcom.com/<Download Token>/PROD/COMP/ESX_HOST/main/vmw-depot-index.xml
https://dl.broadcom.com/<Download Token>/PROD/COMP/ESX_HOST/addon-main/vmw-depot-index.xml
https://dl.broadcom.com/<Download Token>/PROD/COMP/ESX_HOST/iovp-main/vmw-depot-index.xml
https://dl.broadcom.com/<Download Token>/PROD/COMP/ESX_HOST/vmtools-main/vmw-depot-index.xml
※<Download Token>には、前の手順(Broadcom Support Portalでの操作)で控えたTokenの文字列を置き換えます。
下記のように登録されます。同様に残り3つ(合計4つ)のURLを登録します。
登録が完了したらVCSAにSSHで接続します。下記のコマンドを実行してupdate manager serviceを再起動します。
service-control --restart vmware-updatemgr
"アクション" > "アップデート" > "更新の同期"をクリックし、動作確認します。
vSphere Lifecycle Manager (vLCM)の対応策の実施は以上です。
対応策の実施:vCenter Server
対応策にある"KB390098を参考にしながら、vCenter Serverについて対応策を実施しました。
1.Broadcom Support Portalからtokenを作成
vSphere Lifecycle Manager (vLCM) と同様の手順のため、割愛します。
すでにTokenを作成済であれば、同じTokenを使うことが可能です。
※作成済Tokenと同じSite IDに紐付く製品群であることが条件になります
2.vCenter Server のダウンロードリポジトリURLを更新
本記事では"Manual Method"(手動変更の方式)を実施します。"KB390098"にある表を確認し、該当する"KB390120"を参照しながら実施します。
該当のvCenter Server の管理インターフェース(VAMI)にアクセスします。
アップデートをクリックし、アップデートの確認処理を待ちます。
処理が終わると、操作可能になるので"設定"をクリックします。
URLの項目にある"デフォルト"を"指定済み"に変更し、新しいURLを入力します。vCenter Serverのバージョンによって入力するURLが違うため注意してください。
実施した環境はバージョン 8.0.2.00200のため、"vCenter Server 8.x"のURLを入力しております。
■新しいURL■
vCenter Server 7.xの場合:https://dl.broadcom.com/<Download Token>/PROD/COMP/VCENTER/vmw/8d167796-34d5-4899-be0a-6daade4005a3/7.0.3.02200
vCenter Server 8.xの場合:https://dl.broadcom.com/<Download Token>/PROD/COMP/VCENTER/vmw/8d167796-34d5-4899-be0a-6daade4005a3/8.0.3.00400
※<Download Token>には、前の手順(Broadcom Support Portalでの操作)で控えたTokenの文字列を置き換えます。
設定を保存すると自動的にアップデートの確認が行われます。処理が完了するまで待ちます。
vCenter Serverの対応策の実施は以上です。
参考情報
Important Update: Changes to How You Download VMware Software Binarie
https://blogs.vmware.com/cloud-foundation/2025/03/24/download-changes-vmware-software-binaries/
KB Article: VCF Authenticated downloads Configuration Update Instructions
https://knowledge.broadcom.com/external/article/390098
各製品の更新手順は 上記の KB Article: VCF Authenticated downloads Configuration Update Instructions
を参照の上、それぞれ製品別のリンク(KB)を参照してください。
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著者紹介

SB C&S株式会社
ICT事業本部 技術本部 技術統括部
第1技術部 1課
平田 裕介 - Yusuke Hirata -
VMware vExpert
NW機器メーカ、SIerでインフラエンジニアの経歴を経て、SB C&Sに入社。
SIer時代にサーバ仮想化と出会い、人生が大きく変わる。