みなさん、こんにちは
SB C&S 技術担当の小川です。
昨今さまざまなストレージメーカでパブリッククラウドとの連携を謳う機能がリリースされています。皆様も社会情勢などの理由でクラウドの利用を迫られているのでないかと思います。とはいえ、ストレージシステム内のデータを単純にパブリッククラウドへ移動させるだけでは「クラウドの利用料金が高くなるじゃないの?」、「パフォーマンスに影響が出るのでは?」などと頭を悩ませている方もいらっしゃるのではないかと思います。『FabricPool』の概要を説明させて頂きます。
FabricPoolを端的に言うと「特定データをポリシーに基づきオブジェクトストレージへ転送するONTAPの自動階層化機能」です。使用できるオブジェクトストレージはMicrosoft Azure BlobストレージやAWS S3などのパブリッククラウドのオブジェクトストレージだけでなく、オンプレで展開するオブジェクトストレージであるStorageGRIDなど利用者に合わせてオブジェクトストレージを選択できます。階層化の機能についてはこれまでも「FlashPool」(見た目似てますね)という機能がありましたが、これはSSDとHDDを組み合わせてアクセス頻度の高いホットデータをキャッシュ用のSSDに配置するという「パフォーマンス」に焦点をおいた機能でした。これに対しFabricPoolは「オンプレのプライマリストレージに配置されているデータが常時プライマリストレージに配置されている必要があるのか」という考えのもとプライマリストレージとオブジェクトストレージでデータの最適な配置を自動で実行しストレージコストを下げようという「容量」に焦点をおいた機能です。プライマリストレージをLocal Tier、オブジェクトストレージをCloud Tierとして自動階層化を実現します。
FabricPoolはアクリゲート単位で有効にし、ボリューム単位で設定します。対象となるボリュームの自動階層化のために4つのポリシーが用意されています。
●Snapshot Only
ボリューム内に作成されたSnapshotのデータのみをCloud Tierへ転送するポリシーです。
時間ごとの細かい頻度でSnapshotを取得している方や保存期間が長いSnapshotの保持が必要な方に有用なポリシーです。
●Auto
ボリューム内に保存されたデータの中でアクセス頻度の高いデータをホットデータ、アクセス頻度の低いデータをコールドデータと自動で判別し、ホットデータはLocal Tierに保存し、コールドデータはCloud Tierに転送するポリシーです。
ONTAPのNAS利用でアーカイブデータなど日頃アクセスしないデータを多く保存されている方に有用なポリシーです。
●All
ボリューム内に保存された全てのデータをCloud Tierに転送するポリシーです。
これまでSnapMirrorやSnapVaultでのデータの転送先としてSolidFireを選択することもでき、ONTAPを選択することが多かったかと思います。その際、普段使用しないデータにも関わらずONTAPにはデータを保存するだけの容量が必要でした。そこでSnapMirrorやSnapVault転送先のONTAPでFabricPoolのAllポリシーを適用することによりストレージコストをおさえたレプリケーション環境を構築することが可能です。さらにSnapMirrorやSnapVaultの転送先をONTAP Selectにすることで初期導入コストを抑えることも可能です。
●None
Cloud Tierへデータを転送しないポリシーです。一時的になどに利用することができ。
FabricPoolはNetAppのオールフラッシュ製品であるAFFシリーズだけでなく、SSDで構成するアグリゲートを含むFASシリーズやONTAP SelectをLocal Tierのストレージとしてことができます。エントリモデルから利用できるため初期コストを気にされる方にもおすすめです。
FabricPoolを利用できる製品を以下の表にまとめました(2020年4月現在)。
AFFシリーズ
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FASシリーズ
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ソフトウェア、サービス
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・A800
・A700S, A700
・A400
・A320, A300
・A220, A200
・C190
・AFF8080, AFF8060, AFF8040
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・FAS9000
・FAS8700
・FAS8300
・FAS8200
・FAS8080, FAS8060, FAS8040
・FAS2750, FAS2720
・FAS2650, FAS2620
※アグリゲートがオールSSD構成必須
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・ONTAP9.4以降のONTAP Select
※オールSSD構成推奨
・Cloud Volumes ONTAP
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FabricPoolで利用できるオブジェクトストレージ |
先にも説明しましたがFabricPoolのCloud Tierで使用するストレージはパブリッククラウドのオブジェクトストレージだけでなくStorageGRIDを利用することでオンプレ環境のオブジェクトストレージへの階層化が可能です。オンプレ環境でも利用できるためサービス事業者様やパブリッククラウドの利用に制限がある方でもFabricPoolのところも魅力の1つです。
FabricPoolで利用可能なオブジェクトストレージを以下の表にまとめました(2020年4月現在)。
パブリッククラウド オブジェクトストレージ
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オンプレ オブジェクトストレージ
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・Alibaba Cloud Object Storage Service (Standard, Infrequent Access)
・Amazon S3 (Standard, Standard-IA, One Zone-IA, Intelligent-Tiering)
・Amazon Commercial Cloud Services (C2S)
・Google Cloud Storage (Multi-Regional, Regional, Nearline, Coldline)
・IBM Cloud Object Storage (Standard, Vault, Cold Vault, Flex)
・Microsoft Azure Blob Storage (Hot and Cool)
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・StorageGRID 10.3 以降
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また、Cloud Volumes ONTAP環境で使用されるストレージは以下となります。
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AWS
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Microsoft Azure
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Local Tier
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・EBS:gp2, io1, st1
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・Managed Disks:Premium(SSD), Standard(SSD,HDD※)
※SSD 推奨
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Cloud Tier
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・Amazon S3
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・Azure Blob Storage (Hot, Cool)
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製品の機能を使用する場合はライセンス費用は気になるところではないかと思います。そこでFabricPoolのライセンスについて紹介させて頂きます。
FabricPoolはをベースとしたライセンス形態となります。1TB 単位で購入することが可 能で、利用する期間(1年もしくは3年)でライセンスを購入します。
なお2020年4月現在、2つのキャンペーンが実施されています。
●2020年4月末までC190をご購入頂くと無償の10TB期間ライセンス(3年間分、ソフトウェア保守込み)が標準で添付
●期間未定のキャンペーンとしてONTAP9.5以降がインストールされたAFF(C190を除く)、FAS(SSDで構成されたアグリゲートがある場合)には10TB期間ライセンス(最長3年間分)を追加することが可能(ソフトウェア保守費用は別途必要)
また以下の構成ではFabricPoolのライセンス費用は無償です。
・Cloud TierでStorageGRIDを使用する場合
・Cloud Volumes ONTAPでCloud Tierにパブリッククラウドのオブジェクトストレージを使用する場合
以下、ライセンスを一覧にまとめました。
購入方法および構成
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ライセンス
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AFF C190
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無償の10TB期間ライセンス(3年間分、ソフトウェア保守込み)が標準で添付
※2020年10 月31 日発注分まで
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ONTAP9.5以降のAFF(C190を除く)、FAS(All SSDアグリゲート)、ONTAP Select
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10TB期間ライセンス(最長3年間分)を追加することが可能(ソフトウェア保守費用は別途必要)
※期限未定のキャンペーン
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Cpacity TierでStorageGRIDを使用
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Local Tierがどの構成でもライセンスが無償
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Cloud Volumes ONTAPでCloud Tierにパブリッククラウドのオブジェクトストレージを使用する場合
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ライセンスは無償
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FabricPoolのライセンスは容量ライセンスであるためライセンスの容量を超えた場合書き込めなくなるのではないかと心配になる方もいらっしゃるかと思います。FabricPoolを構成した際にライセンスの容量を超えても書き込めます。ただし、ライセンスが追加されるまでCloud Tierに転送されることはなくLocal Tierにデータが保存されます。
ここまでFabricの概要を説明させて頂きました。いろいろ説明させて頂いたのでポイントをまとめてみました。
FabricPoolのポイント
●「容量」を焦点としてプライマリストレージとオブジェクトストレージの自動階層化機能
●ポリシーベースで自動階層化
●AFF、FASだけでなくONTAP Select、CVOなどのソフトウェアやサービスでも利用可能
●オブジェクトストレージはパブリッククラウドのサービスだけでなくStorageGRIDも選択可能
●ライセンスは1TB 単位で1 〜3 年の期間を選び購入する
●C190を購入すると10TBまでのライセンスが標準で添付!!(2020年10月31日まで)
●現在10TBまでの期間ライセンスを追加できるキャンペーン中!!(2020年4月現在)
皆様もFabricPoolの魅力がご理解頂けたかと思います。
今後もFabricPoolの階層化における技術詳細などさまざまな情報を公開してまいります。
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